英検1級を目指す学習者に向けて編纂された長文問題集です。英検1級の過去問をメインに収録しているため、一部、同社の過去問集と重複する部分もありますが、ウォーミングアップで力試しをしてから過去問に取り組み、最終的にはオリジナル問題で実力を試すことができるように段階的に編集されています。
英検1級のリーディング問題がそうであることから、収録されているジャンルは、学術的なもの、政治的なもの、歴史的なもの、と多岐に渡ります。時には専門的な内容を含むこともありますが、全て文章中の情報だけで正答できます。
![]() |
![]() |
旺文社『英検1級 長文問題読解120』 |
英検1級だけでなくTOEFL対策にも使える長文問題
英検1級の取得を目指している人にとってはもちろん、TOEFLのリーディング対策としても優秀な問題集です。英検1級のリーディングにはボキャブラリ問題で出題されるような英単語がそのまま用いられることがあるので、英検1級やTOEFLの高得点を狙う学習者が、何かしらの単語帳を終えてから知識の定着させる目的に向いています。
またジャンルの豊富さから、新しい知見や知識の発見に繋がります。TOEFLや英検準1級以上の二次試験では面接がありますが、その際の話題の引き出しを作っておきたい方にも役に立ちます。
大量の過去問をひたすら解いていく構成
全体として、とにかく多く問題を解くことを重点に置いているような構成になっています。そのため、解説は必要最低限にとどまっており、読解のテクニックついては深く触れられてはいません。
また、収録されている問題のほとんどは過去問ですが、念入りな取捨選択により良問が選ばれているだとか、絶対に覚えなければいけないという語彙が含まれるものが厳選されている、ということはないようです。
![]() |
![]() |
旺文社『英検1級 長文問題読解120』 |
改めて、英検1級レベルの難易度の文章を問題付きでとにかく読みたいという人をターゲットにしていると言えるでしょう。
学習者の目的に応じて利用方法を柔軟に変えられる問題集
本書の使い方としてはいくつかパターンが考えられます。1つは、普通に問題集として活用することです。英検1級はどのような問題が出るのか知りたい、あるいは少し難易度の高い長文問題に取り組みたい、という人はこれに当てはまるでしょう。
間違えた問題については、「どうしてそのように読み違えてしまったか」を意識しながら解説を読むことで、同じ間違いを犯しにくくなります。
また別の本書の利用方法としては、単純に読み物として広いジャンルの文章に触れるための窓口とすることが挙げられます。様々なジャンルの文章を読むうちに、自分が苦手としているジャンルや語彙の習得が不十分な分野があることに気付くでしょう。ただ単に読むのではなく、自分の弱点を見つけるつもりで、そして新たな知識を得るつもりで取り組むと学習効果が高くなります。
まとめ
- 様々なジャンルのトピックが掲載されているため、知識や知見の増強に良い。
- 大量の長文問題により、多読したいニーズにも応えている。
- 解答のテクニックや問題の詳細な解説についてはあまり触れられていない。
- ストイックに骨太な問題集に挑戦したい人向け。