中学英語レベルから、英検1級をめざすまで
私は帰国子女でもなく、海外勤務や留学経験もない「純国産」英語学習者です。大人になってから英語を学び直した、いわゆる「やり直し英語組」でもあります。
大学生の頃、入試直後の勢いで英検2級を取得。ですが社会人になっても、子育てで家庭に入ってからも英語を使う機会はなく、気がつけば「えーと、"市役所"って英語でなんて言うのだっけ?」というレベルになっていました。英語での道案内すら、おぼつかなかったのです。
そんな状況から、私は英語のやり直し学習を決意しました。スタートは高校入試用の問題集です。このくらい楽勝と思いきや、結果は誤答だらけ……。そこで中・高校生向けの参考書を数冊、一から読み直してみました。
今思えばこの“文法の基礎固め”が、その後の学習を支えてくれたと思います。当時は子育てや家族の介護を抱えていましたが、時間を見つけて勉強を続け、4年ほどで準1級に合格することができました。自分の時間が取れるようになってからは、「せっかく勉強したのだからその経験を生かしたい」と、塾講師の仕事も始めました。
英検1級攻略は、語彙と総合運用力の二本立て
私が1級の受験を真剣に考え始めたのは、準1級を取って数年後、TOEICでAランク(860点~)が取れた頃からです。それでも、1級で要求される語彙はかなり難しいと感じました。
語彙セクションはもちろんのこと、長文読解も、まずは単語が理解できなければ話になりません。そのため、最初に取り組んだのが語彙強化でした。
私は「iKnow」「Weblio語彙力診断」というインターネットサイトに登録していました。この2つのサイトで毎日必ず学習することをノルマにし、その他にも、英単語を手書きするという原始的な方法も併用しました。使った参考書は、『出る順で最短合格・英検1級単熟語』と、『英検1級語彙・イディオム問題500』です。
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語彙強化と並行して、ネット上の英語ニュースサイトを視聴・音読するという学習も行いました。利用したのは「News in Levels」というサイトです。これは、3段階のレベル別スクリプトを用いて、最新の海外ニュースを紹介しているものです。最も難しいレベル3には、実際に配信されたニュース映像がついています。音声を聞いてスクリプトを確認し、自分でも音読するという作業を毎日行いました。
ニュースのトピックは多岐にわたり、芸能から科学、政治経済など幅広いので、英作文や2次のスピーチのネタにもなります。こうした学習をトータルで毎日2時間程度、試験数ヶ月前からは3時間以上やっていました。
1次試験は一度不合格になりましたが、合格ラインまであと数点という「不合格A」だったため、すぐに再受験を決意。2回目の挑戦で合格することができました。
2次試験対策は「沈黙を作らないこと」
2次試験対策としては、スピーチ練習用に市販の参考書からトピックを選んで、かたっぱしから原稿を書きました。
メインの参考書は、旺文社の『英検1級英作文問題』です。1次試験用に購入しましたが、面接対策にもじゅうぶん使えます。そしてタイマーで時間を計りながら、原稿を見ずに実際にスピーチしてみました。制限時間の2分を、身体で覚えるためです。それからネットで2次試験合格者の体験談を読み、「沈黙を作らないこと」を心がけて本番に臨みました。
スピーチはミスを極力減らすため、シンプルな構文を使いました。そして質疑応答では、自分の経験から具体的なエピソードを織り込みました。2次試験では、社会問題への意見を求められる場合も多いようです。その点では、比較的年長の受験者のほうが有利では、という気がします。日頃からTVのニュースなどを見て、意見をまとめる練習をしておくと良いでしょう。
また、私はグループでフリートーキングをする英会話講座にも通っていました。次から次へと変わる話題に臨機応変についていく、という経験を積んでいたのも、良かったように思います。
自信はありませんでしたが、どうにか話し続けて面接を終えました。結果はまさかの一発合格!1級を受けようと決意してから、合格まで2年ほどだったと記憶しています。
とある合格体験談の記事で、「面接官は敵ではなく、頑張ってきた人を合格させようと思っている」という言葉に出会いました。その通りだと思います。失敗を恐れすぎるより、「ありのままを見てもらおう、面接の機会を楽しもう」という気持ちで向き合うことをおすすめします。
学ぼうという気持ちさえあれば、1級だって大丈夫
英検1級合格という結果は、私に「これまでの勉強法は間違っていなかった」という自信を与えてくれました。海外在住経験があるに越したことはありませんし、英会話学校での1級受験特訓コースにも、通えるならそのほうが効率的かもしれません。
ですが、そういう機会が得られなくても、そして、中年になってからでも大丈夫。学ぼうという気持ちさえあれば、自分の身の回りで英語力は磨ける。私はそう思っています。