「ネイティブはこう使う!」シリーズや「ネイティブに伝わる」シリーズで人気のデイビッド・セイン氏による英会話教材です。
ビジネス、日常生活のあらゆるシーンに対応したマンガでの解説
ストーリー仕立て、マンガでの構成となっています。
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デイビッド・セイン『「お世話になっております」を英語で言えますか?』 |
主人公が正しいつもりで話した英語に対してニュアンスやTPOの観点からツッコミが入る構成になっており、読んでいくうちに自然と英語学習者が誤って使いやすい表現が正されていくように工夫されています。
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デイビッド・セイン『「お世話になっております」を英語で言えますか?』 |
タイトルは「お世話になっております」を英語で言えますかとなっていますが、内容はそれにとどまりません。否定語はできる限り避ける、「~はどこにあるの?」で安易にWhereの疑問文を使うと盗んだと思われるから言い方を変える、といったビジネスや日常生活でのありとあらゆるシーンに対応した解説がなされています。
最初の頃は簡単な表現で間違いを連発していた主人公が、最後の方では致命的な間違いをしなくなり細かいニュアンスのミス程度になっていくことは成長を感じられて読み物としても楽しい構成です。
マンガだが語彙のニュアンスを深く考えることができる工夫も
本文の内容のほとんどがマンガですから、特に真面目な英語学習者で敬遠することもあるタイプの本かもしれません。
しかし、英語は生きた言語ですから、いつも難解な文章や高度な語彙ばかりに取り組んでいると実践の現場で思わぬミスをしてしまうことがあります。
日本語でも裁判例などでは「~と解する」とやや大仰な言い方がされますが、実際の会話では「~と考える」と言った方が適切ですよね。
実際の対人会話ではどういう言い方が適切なのかということは、かなり学習が進んで高度な語彙も身に付けている方も瞬間的に選択できるよう、見直しておくべきテーマと言えます。
各章末には、その章の本文のマンガで扱われたテーマの解説がなされていますから、単なる「こういうときはこういった方が良い」式ではなく、ある程度深く表現方法や語彙の微妙なニュアンスなどを考える解説がなされています。
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デイビッド・セイン『「お世話になっております」を英語で言えますか?』 |
ある程度の語彙力があるが、英会話に自信がない学習者向け
この本ではリーディング教材や英単語教材のように語彙が多く収録されているわけではありません。マンガなので取り組み安そうに見えますが、語彙力などの基礎的な部分があまりできていないと知識間のつながりが上手く作れずに表面的な理解に終わってしまう可能性があります。
むしろ語彙力がある程度あり、実際の会話の際に自信を持って話すことができるようになりたい人向けの教材です。
ある程度英語学習が進んでいる人でも、実際の会話となると採点してくれる人もあまりおらず、ネイティブと話しても「日本人が話す英語だから」と気を使ってくれて、細かいニュアンスの違いを指摘してくれない場合も数多くあるため、本当に自分が正しく話せているか自信が持てない場合もあるでしょう。
そういう方がそれまでに培ってきたボキャブラリーを実際の会話で意味の面からも、ニュアンスの面からも、TPOにあった適切な話し方ができているかの面からも検討・修正するために使うことがおすすめです。
まとめ
- ネイティブに伝わる~などのシリーズで大人気のデイビッド・セイン氏による英会話教材。
- 本文はマンガの構成で取り組みやすいが、盲点になりやすい表現方法を深く解説。
- 語彙解説は少ないが実際の現場でTPO・ニュアンスは大変重要なため、学習が進んでいる人向け。