英検1級で要求される語彙とは?
英検1級の受験を考えるとき、まず立ちふさがるのが語彙の難しさです。合格のために必要な語彙はおよそ1万~1万5千語程度とも言われ、「ネイティブでも使わない単語」「実用的と言えるのか」とささやかれるほどの難単語が多く出題されます。しかし英字新聞やニュース、教養系の雑誌に触れると、こうした単語が使われることは珍しくありません。
たとえば1級用単語集に出てくる「provision(条項)」「quarantine(検疫)」「malady(弊害)」などの語で考えてみましょう。確かに日常的な会話では、使う機会の少ない言葉です。でも新聞やニュースなどでは出会う言葉だと思いませんか?つまり1級レベルの語彙とは、社会問題や学術的トピックなどの話題にも、きちんと対応できる語彙ということなのです。
語彙学習の教材はさまざま
1級受験用英単語集は、各社からさまざまなタイプが出版されています。どれを選ぼうか悩むかもしれませんが、1級を目指そうという学習者なら、すでに教材を選ぶ目も肥えているはず。
自分で手にとって「使いやすそう」と思えるものが一番です。単語の掲載順、例文・フレーズの扱い、レイアウトの見やすさなど、好みに応じて選んでください。そして単語集を暗記するのと並行して、過去問や問題集など、実践形式のもので演習をするとよいでしょう。
さらに、単語集だけではカバーしきれない言葉も多いので、日頃から英語のニュースサイトやテレビ番組、英字新聞などで、時事英語や学術的な語彙に触れておくことをおすすめします。
単語を身につけるには「頻度」と「印象づけ」
英検1級の語彙に限りませんが、何かを記憶しようとするときに重要なのは、「出会う頻度」と「印象づけ」だと私は考えています。単語を一度見ただけで覚えるなど、まず無理な話です。「忘れる」ことを前提として考え、そのうえで何度も「出会う」仕組みを作っておくことが肝心なのです。
私の場合はインターネットサイト「iKnow(http://iknow.jp/)」と「Weblio語彙力診断テスト(https://uwl.weblio.jp/vocab-index)」に毎日アクセスすることにしていました。iKnowの場合は、間違えた単語を重点的に出題してくれますから、記憶の定着に効果的です。Weblioは、利用登録すれば成績の履歴も記録できます。ランキングシステムもあるので、学習の励みになりました。
そして次に、「印象づけ」についてです。趣味に関するものなど、自分が興味を持ったものは覚えやすく、忘れにくいですよね。ですから、単語について「面白い」と思えるような印象づけをするのがコツです。
私は発音やつづりから連想したダジャレを作ったり、意味をイラストにしてみたりして工夫しました。ダジャレやイラストの出来はともかく、それを考えるプロセスそのものが、記憶を強化してくれます。
また、「おさんぽ英語」(http://park1.wakwak.com/~english/)という個人運営のインターネットサイトには、「英語イラスト広場」というコンテンツがあります。ここに掲載されたイラストやシンプルなアニメーションは非常によくできていて、単語のイメージを直感的に理解できます。
かわいらしいタッチのイラストですが、英検1級レベルの難しい単語もたくさんあり、例文や詳しい解説もついていて参考になります。
手書き学習も有効
インターネットでの学習だけでなく、私は単語の手書きも行いました。単語ノート(手帳のような縦長タイプ。1ページ20単語くらい書ける)を使って、左ページに英単語、右ページに日本語の意味を書きます。日本語のほうには対応する英単語の頭文字も書いておきます。
次に、日本語の意味だけ見て(英単語の部分を隠して)別なノートに英単語を書いていきます。いわば、「和→英」の単語書き取りテスト状態でトレーニングしました。
頭文字を書いておくのは、同義語が複数あるためです。1級の語彙には似たような意味の単語が多く、頭文字を書いておかないと区別できないものもたくさんあります。頭文字を使うことで「同義語のうち、どの単語か」を意識する訓練にもなりました。
なお1級には英作文もあります。最近はIT化で手書きの機会が減っていますから、書く作業は思ったより疲れます。日頃から書くトレーニングで慣れておくと、試験本番で役に立つかもしれません。語彙の強化は地味な作業のくり返しですが、続けていれば必ず成果は出ます。あきらめずに取り組んでみてくださいね。
「Weblio語彙力診断テスト」は私も良く使っています。テストで間違えた語彙を単語帳に一発登録して、登録した単語帳の例文を音読すれば、自分が覚えていない単語だけを集中的に勉強できて便利ですね。上記のように頭文字を使って和英変換する方法も記憶強化にとても有効な方法です(私は頭2文字を使っていますが)。ちなみに、Weblio基準では「レベル9~レベル12」が英検1級以上合格に必要な語彙とされているので、英検1級を目指されている方はまずはこのレベルの語彙は診断テストで間違わないようにしましょう。