『中学版 速読英単語』は、大学受験生に『速単(ソクタン)』として知られる、Z会発行『速読英単語』シリーズの中学生向け単語集です。
『中学版 速読英単語』の収録単語~高校入試の出題分析に合わせた単語選定
『速読英単語』は、大学受験生の間で人気の英単語集シリーズです。その高校入試向けバージョンとして『中学版』が刊行されました。大学入試版と同様、「単語を心に残る英文のストーリーの中で覚える」というコンセプトのもとにつくられています。
掲載単語の選定にあたっては、過去8年分の公立高校入試や最新の難関私立高入試を分析。頻出する単語のなかで、厳選した約1300語を掲載しています。
「はしがき」を読むと、単語の掲載基準についても詳しく説明されています。高校入試の長文問題では、難しい単語だと、脚注として意味が記載されることがよくあります。ですから出題頻度が高くても、ほぼ脚注がつく単語ならあえて覚える必要はないわけです。出題時の脚注の有無まで調べあげたという徹底ぶりも、本書の特徴のひとつでしょう。
ストーリーの中で英単語と出会う
『中学版 速読英単語』は単語だけを一覧で覚える単語集と違い、この本では短いストーリーが先行するのが特徴です。ストーリーの難易度は中学校の英語の教科書程度で、簡単で読みやすく、なおかつ面白いものが選ばれています。覚えるべき単語は、本文中には赤文字で表記され、ストーリー本文の後ろにまとめて列記されています。
文章を読むとき、私たちはその内容を頭に描くものです。ですから、たとえば「communicate(情報・気持ちを伝える)」という単語は、それ単独よりも「人間がイルカと意思を通じあう」というようなストーリーのなかで覚えたほうが、より印象に残ります。単語の使い方もイメージしやすくなりますね。
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風早 寛『中学版 速読英単語 高校入試突破のための必須1300語』 |
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風早 寛『中学版 速読英単語 高校入試突破のための必須1300語』 |
ストーリー部分のページでは、見開き左ページに英文、右ページに日本語訳があります。すぐに訳を確認することもできますが、付属の赤色シートを使えば、単語訳の該当部分だけを見えないようにすることができます。単語を覚えたかチェックしたり、文脈から意味を推測したりというトレーニングが可能です。
読むことのトレーニングにも
さらに、文章先行型の単語集を使えば、「読む」という作業に慣れることができます。この本で扱う文章は1ページ20ワード程度の短いものから、後半では長いもので120ワード弱ほどありますが、平均すると60ワード程度です。このくらいの量をさっとひと息に読めるようになると、長文問題への抵抗感も減ってきます。
英語の力をつけるのに、易しいものをたくさん読む「多読」という方法がありますが、その入門としてももってこいの教材です。中学生だけでなく、初級者・やり直し学習者がリーディング教材として使っても良いでしょう。別売りのCDを購入すれば、リスニングにも使えます。
各セクションには、学習した日付を入れる欄もあります。学習の記録を残しておくと、記録の確認だけでなく、日々の学習の動機づけにもなりますので、書きいれておくと良いですね。
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まとめ
- ストーリーを読みながら英単語を学ぶ形式の、高校入試向け単語集です。
- 単語力だけでなく、読む力も養えます。
- 中学生や中学英単語を未習得の高校生・社会人向けの単語帳です。
編集長からひとこと
小中学生向きに作られた初心者用の単語帳は、ただ単語が羅列してあるだけで学習しにくいものが多いのですが、『中学版 速読英単語』は比較的長い英文を読む中で単語「も」習得できるようになっています。つまり、英文読解力と語彙力が同時に身に付けられるということです(CDを使えば長文リスニング力も身に付きます)。