英検1級試験における英作文とは
英検1級・1次試験において、英作文は大問の4として課されます。与えられたトピックに対し、3つの理由をあげて自分の主張を述べるという内容です。序論・本論・結論という構成で、200~240語と字数の指定があります。
上記の出題形式は、2016年度第1回検定以降のものです。それ以前との大きな違いは、まず、「200語程度」とされていた語数の範囲が明確に規定されたこと、そして、内容として触れるよう指定されていた、「POINTS」というキーワードがなくなったことがあげられます。古い参考書を使っている方は、公式サイトで情報を確認しておきましょう。
配点と採点基準を知っておく
2016年のリニューアルによって、試験の内容だけでなく、配点の基準も変わりました。その結果、Reading・Listening・Writingの3技能を等しく評価することになり、英作文の比重が以前より大きくなっています。採点基準としては4つの観点が提示され、それに沿ったライティングができているかを問われます。
●【英検公式】ライティングテストの採点に関する観点および注意点(1級・準1級・2級)
http://www.eiken.or.jp/eiken/exam/2016scoring_w_info.html
このページでは採点基準について詳細な説明がありますので、ぜひ目を通してください。
内容をどう考えるか
出題されるトピックとしては、たとえば「死刑制度は禁止されるべきか?」などの高度な社会問題が取り上げられます。専門家でも意見のわかれる難しい内容ですから、自分の主張が決まらず迷う場合もあるでしょう。
しかし悩んでいると時間をとられてしまいますので、自分の実際の意見とは違っても、論のたてやすい主張を選ぶ、というのもテクニックとしては有りです。自分が死刑制度を支持していても、反対のほうが書きやすいと思うなら、「死刑制度には反対だ。禁止すべきだ」と書いても構わないのです。問われるのは、いかに筋の通った、説得力のある文章になっているか、ということなのですから。
1級だからといって、ことさらに難解な語彙を用いて、高尚な文章を書く必要はありません。それよりも、すっきりと明快な文章を組み立てるよう心がけるべきでしょう。なにより、普段から社会の動きに興味を持ち、自分なりに意見をまとめるトレーニングをしておくことが大切です。これは二次試験の面接対策にもなります。
書き始める前に、自分の意見とその理由を、まず簡単なメモにするのがいいでしょう。思いつくままに書きだしてしまうのは危険です。方針が定まっていれば、書きやすいだけでなく、論がぶれることも防げます。
文章を作るトレーニング
書くための具体的なトレーニングとして、私は時事問題を扱った参考書やニュースサイトでネタを拾って、自分の意見に近い文章を筆写しました。英文として自然な表現にするには、いわゆる“英借文”(優れた内容の英文を参考にする)という方法が手っ取り早いと思ったからです。トピックによって単語を入れかえれば、さまざまな文章に応用できます。
参考にした書籍
・『英検分野別ターゲット英検1級英作文問題』(旺文社)
・『50トピックでトレーニング 英語で意見を言ってみる』(ベレ出版)
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また、文章を作った後に、インターネット上の翻訳ソフトも利用しました。翻訳ソフトは日本語→英語だと不自然な表現になることが多いようですが、英文を日本語文にする場合は、比較的きちんとした訳が出ます。そのため、自分の作った英文が正しく意味をなしているか、チェックするツールとしてよく利用しました。スペルの勘違いによるミスも発見できます。
実際に手書きで練習
学習の際には、時間を計って、実際に手で書いてみることをおすすめします。私の場合は30~35分程度を目安にしました。試験は時間との戦いですが、できるだけ読みやすく書き、スペルミスのないよう気をつけましょう。手書き作業は思った以上に疲れますし、時間もかかりますので、慣れておくことが一番です。
英検のウェブサイトには、本試験の解答用紙サンプルが公開されています。
http://www.eiken.or.jp/eiken/schedule/pdf/1q-hon.pdf
28行の用紙ですから、1行あたり8語書けば224語、字数制限にぴったり合致します。自分の書字サイズでうまく合うか、確認しておきましょう。用紙欄外にはみ出すと採点対象外となりますから、ご注意ください。
こうして実際に指定字数になるよう書き慣れておくと、自分なりの時間配分の目安もつけやすいです。手間を惜しまず、書くトレーニングに取り組みましょう。
注:私自身はリニューアル前の形式で受験しているため、新形式については英検の公式サイトなどの情報を基にしています。ただ、ライティングで問われる本質的な部分について、大きく違いはないと考えられますので、参考にしていただければ幸いです。