英語学習を独学で行っている人にとって、リスニングの能力を伸ばすのは非常に苦労する点の1つです。とにかく英語の本を読むようにしている、とにかく語彙を鍛えようとしている、ということはあっても、聴覚という五感のうちの一つを鍛えるとなると尻込みしてしまう人も多いようです。しかし、リスニングこそ毎日取り組まねば伸び悩んでしまう能力。ネット上にある無料の英語音源で、リスニングを身近に楽しみましょう。そのための1つとしてお勧めなのが、TEDです。
TEDがリスニングに良い理由
TEDは、シェアする価値があるとされるような情報(業界の最先端の話や、国際問題の裏側・現実など)を登壇スピーカーが世界に発信するプレゼンテーションプログラムです。こう聞くと、語彙が難しいのではないか、ネイティブが話すのだから難しいのではないか、という印象もあるかもしれません。しかし、TEDには「聞きやすい」理由があるのです。
まず、TEDはオーディエンスに向けて話されるものです。当たり前ですが、スピーカーは聴衆を意識して話をしています。そのため、聴衆が理解しにくいと考えられる部分はゆっくり話してくれたり、繰り返し様々な表現を使ってくれたりします。対して、例えば映画や海外ドラマだと、言葉を話している人はオーディエンス(こちら側)ではなく、その場に居るキャラクターに向かって話しています。もちろん最終的には視聴者に伝わるように話しているはずですが、こちらを意識して話してくれているケースとそうでないケースでは、伝わりやすさが大きく異なるのです。
また、TEDには様々なタイトル(伝えたい内容、トピック)があるので、自分の興味にあったものから選ぶことができます。中には身近なテクノロジーがどのように可能になっているか、ということや、ある仕事の哲学など、専門的語彙が無く、理解しやすいタイトルも多いのです。どれから選んで良いか分からないと思ったら、まずは5分以内の短いタイトルから聞いてみると良いでしょう。要点がまとまっていて、理解しやすいタイトルが集まっています。
TEDの具体的な内容やスピーカー
TEDで話す人は、人種もジェンダーも様々です。早口の人も居れば、特定の音が聞きにくい人、逆にものすごくはっきりとした綺麗な発音の人も居るでしょう。そのため、どの程度の学習者にお勧め、とは一概に言いがたいものです。それぞれの学習者に合ったスピーカーが居るはずです。ちなみに個人的には、ミシェル・オバマ氏のスピーチは非常に明朗で聞き取りやすいものでした。
(該当スピーチ:https://www.ted.com/talks/michelle_obama)
ただ、こうした人々のスピーチには、アドリブや、言い間違いなども入ってくることもあるため、それがどうしても辛いという人も居るでしょう。そういう場合は、TEDEdというシリーズを聞いてみてください。これは、歴史的な知識、日常の不思議、あるいはちょっとしたパズル、哲学に関する問題などを、五分程度でまとめた教育に特化しているTED動画です。ほとんどの動画の最後には動画の内容を理解できたかどうか確認するための(簡素な)問題もありますので、合わせて活用すると良いでしょう。
(URL:http://ed.ted.com/)
TEDを活用した勉強方法
これは個人的な感覚ではありますが、勉強をしよう、という姿勢で取り組むよりも、興味のある話を聞く、という姿勢で居た方が良いと思います。また、TEDは身振り手振りとスピーチの両方があって成立しているプレゼンテーションですので、通勤・通学途中に耳からだけで内容を理解しようとすると難しいかもしれません。そのため、最初は実際に動画として見ながら内容を追うようにして、慣れてきたら何かをしながらでも聞き流すようにしてみると良いでしょう。お勧めとしては、朝起きた後や、夜寝る前に、日課として必ず何か1つ、新しいTEDトークを聞くことです。日常的にリスニングに触れることで、少しずつ英語に慣れていくことができます。
基本的には内容さえ理解できれば部分的に分からない箇所があっても構いません。スピーカーが台本にない冗談を即興で言った結果リズムが崩れて理解しにくくなっているということもありますし、部分的に高度な単語が使われていることもあります。全体として何を言っていたのか理解できればおおよそOK、というくらいの気持ちで取り組みましょう。日本語でも、スピーチを一言一句間違えずに聞く、ということは少ないはずです。全体から相手が何を言いたいのかを理解できれば、スピーチを理解できたことになるでしょう。
ただ、いくつかのTEDトークには原文の書き起こしや、和訳がついていることもあります。そういうトークを見つけたら、一言一句聞き漏らさないようにリスニングすることで、より確実なリスニング力とすることもできるでしょう。訓練としてのリスニングに前向きな気持ちになったときには、ぜひ試してみてください。もちろん、ディクテーションやシャドーイングも有効です。ただ、発音が綺麗でないスピーカーのシャドーイングを行うと、良くない発音が移ってしまう可能性もありますので注意しましょう。ディクテーションは、最初は5分以内(3分程度)の動画の書き起こしから始めてみてください。意外と時間が掛かることに気がつくかと思います。
その他、例えば訛りの強い英語(ヨーロッパ系、中東系の訛りが入っているもの、あるいはイギリス英語の発音に強くなりたいなど)に強くなりたい場合には、そういった国籍のスピーカーのタイトルを選ぶことで訓練することもできるでしょう。
ただ、何よりも楽しむことが最善の勉強方法です。「よし、英語を聞くぞ」ではなく、「ちょっとだけ面白い話を聞こう」という感じで、隙間時間にでも活用してみてください。iTunesでの配信や公式アプリもありますので、次の待ち合わせまであと15分だけある、といった時にちょっとだけ聞き流すようにしておけば、知り合いとの話のきっかけにもなるかもしれませんよ。