英語を「話す」ことに重点をおいて、基本的な文章を瞬間的に英作文できるようにトレーニングするための本です。
CDが付属しており、CDのポーズの間に英作文ができるようにトレーニングしていくことで、実際の会話でも瞬間的に考えて英語を話せるようになることを目的としています。
中学校英語を軸にしたトレーニング
トレーニングは全部で3つのステージから構成されており、第1ステージと第2ステージは中学校英語、第3ステージは中学校英語の枠をやや超えるものの、高校程度の英文法を用いています。
ページ構成は左側が日本語、右側が英訳になっています。トレーニングは、日本語部分を見て瞬間的に英訳し、それを口に出してから右側部分で正解を確認する流れです。
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森沢 洋介『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』 |
著者は英文を実際に口にして発音することで発音に慣れることを強調しており、これもあって非常に実践的なトレーニングになっています。
英語で話したいけれどどうすれば良いか分からない人へ
独学の英語学習者の特徴として、「英語が得意」という人でもスピーキングには弱いという面があります。これは、スピーキングは実際に会話をしなければ伸びる技能ではないと考えている人が多いためです。
しかし、瞬間的に英作文を行うことができるようになれば、会話のリズムを崩さずに話すことができるようになります。もちろん、実際の英会話では「日本語を英語に訳して話す」わけではなく、英語のまま思考も英語でやり取りするのが基本になりますが、その前段階として瞬間的な英作文ができる能力を養うのは決して無駄ではありません。
本書は中学校英語を軸にしていますが、事実、会話のほとんどは中学校英語程度のレベルで成り立っています。この本により瞬間的な英作文ができるようになれば、それだけスピーキングの力が付くことでしょう。
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森沢 洋介『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』 |
特に重要なのは、瞬間的な英作文の中で、自分が用いる傾向にあるパターンや構文などに気付くことです。そうすることで「自分なりの言い回し」を自覚することができ、実際の英会話でもその表現が「口をついて」出るようになるでしょう。
リスニング、ライティング、リーディングの対策にもなる
リスニングについて悩んでいる人の多くは、「英語が速すぎて聞き取れない」と言う傾向にあります。これは、「自分が発音できるよりも早い言葉は聞き取るのが難しい」ことと事実が原因です。つまり、速い英語を聞き取るには、自分もそのスピードで英語を発音できる必要があるのです。その意味で、本書のトレーニングは、スピーキングだけではなく、リスニングにもある程度の効果があります。
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森沢 洋介『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』 |
もちろん、瞬間的な英作文はライティングにも役立ちます。スピーキングで役立つ文法知識はライティングにも応用が利きやすいので、分かりやすい文章を素早く仕上げる能力に繋がるでしょう。
また、この本のトレーニングの中では発音することも重要視されているため、リーディングの際に適切なリズムやアクセントで読むことができるようになります。これにより、リーディングにおける理解力も向上します。
まとめ
- スピーキングに必要な瞬間的英作文ができるようになるためのトレーニング本。
- 中学校英語の文法からスタートするので、分かりやすく始めやすい。
- スピーキング力を伸ばすことは、リスニングなど他の技能を伸ばすことにも繋がる。