発音

【レビュー】UDA式30音練習帳:鵜田豊氏のシンプルで分かりやすい発音トレーニング教材

「UDA式」と呼ばれる独自の30音トレーニング手法により発音力を鍛える教材です。発音教育に力を入れている鵜田豊先生の代表作です。

UDA式30音練習帳

ネイティブの発音の仕方を写真と図でつかめる

日本人の苦手とするrとlの発音の違い等の代表的なものから、t、dの発音等意外と盲点になりやすいところまで、基本から詳しく解説しています。

日本人が苦手な代表的な発音 "r"
UDA式30音_1S UDA式30音_2S
鵜田 豊『UDA式30音練習帳』

発音教材と言うと、紙面は単に発音記号の羅列と発音の注意点だけで、CDで発音を単に聞き取り、口に出して練習するという単純作業を延々続けるというイメージがありますが、本書ではそういった構成は取っていません。

単に発音記号を読んでCDで実際の発音を聞いても、発音されている「結果」だけを聞いている状態で、実際にその音をネイティブと同じように発音するにはどのように発音すれば良いかの「過程」はつかみにくい。発音の苦手な人が発音教材を使いたがらない理由ではないでしょうか。

本書では実際に発音する際の口の動きを写真で、口の中での舌の動かし方や響かせ方等を図で表示しているので、発音する際の過程がはっきり分かるようになっています。

口の中での舌の動かし方や響かせ方を図示
UDA式30音_3S
鵜田 豊『UDA式30音練習帳』

音読の効果を最大限に引き出すことができる

英語を勉強する際に、シャドーイングや音読は読解力・語彙力・リスニング力を同時進行で向上させられる非常に有効な方法です。

音読で英語力が向上するメカニズムは大まかに言うと「返り読みができないため前から順に書かれている通りに英語を英語で理解する訓練になる。更に自分で発音した英語を自分で聞く回数が増える結果、英語を聞く回数が増えるため自然とリスニング力が向上する」というサイクルを繰り返し、英語回路を構築して深めていくことになります。

例えばareaを正しく発音できない「カタカナ英語」であったり、発音が適当であったりするとこのメカニズムが上手く働かず、いくら声を枯らして音読しても特にリスニング力がつかず伸び悩むという経験をすることがあります。

音読をする際には「多く音読する」ことはもちろん大切ですが、「正しい発音で音読する」ことが最も重要になってきます。そうすることで音読に費やす労力を最大限結果に結びつけることができます。

本書ではターゲットを発音記号別に30音に絞り、最低限のトレーニングで結果が出せるようになっていますので、汎用性が高く効率が良い構成になっています。

ターゲットを30音に絞ったトレーニング
UDA式30音_4S UDA式30音_5S
鵜田 豊『UDA式30音練習帳』

特に例に出したareaは簡単な単語ですが中々正しい発音が難しい語です。本書で解説されている「アゴを下げながら発音する」等の説明はわかりやすく、やってみるとすぐネイティブらしい発音が身に付いてきます。

軽快なリズムに合わせて発音を楽しくトレーニングできるCD

発音トレーニング教材なので、実際のトレーニングに使用するCDが付属しています。軽快なリズムの音楽に合わせて、発音を一つ一つ楽しく学習できるようになっています。ナレーターは女性で、聞き取りやすい声です。

UDA式30音練習帳_CD
鵜田 豊『UDA式30音練習帳』付属CD(1枚組)

本の解説を見ながら、実際にCDの発音を真似て発声してください。できれば、面倒くさがらずにボイスレコーダー等で自分の発音を録音してみて、正しく発音されているか客観的にチェックしてみましょう。

「話す・聞く」に苦手意識がある人に特におすすめ

正しく「聞く」ためには正しく「話す」ための方法を学ぶことが、遠回りなようで最も効率の良い方法です。英語に限らず人間の頭は自分ができることはなじみ深く入ってきやすいようにできているからです。そのためネイティブではない英語学習者にはレベルにかかわらず正しい発音を身に付けることが必要です。

本書ではネイティブレベルに近づく発音を過程から丁寧に写真・図入りで解説しています。その他にも音便等が多く使われた発音を聞きとるコツや民族ごとのお国訛りも解説しています。「読み・書き」は十二分にできるけれど「話す・聞く」に不安のある人全般におすすめできる本です。

まとめ

  • ネイティブの発音を学ぶ発音トレーニング教材。
  • 発音するときの口の動き等を写真や図で説明。「結果」だけでなく「過程」が分かる。
  • 音読学習に払う労力を最大限結果に結びつけることができ、学習者全般向け。
  • 国民族ごとの発音の特徴のいわゆる「訛り」も収録。
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さかえ

さかえ

上智大学法学部国際関係法学科卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。『TIME』『Newsweek』は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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