フィナンシャルタイムズ・エコノミストの記事を通じて、一流ビジネス誌を読みこなすことを目指す学習書です。
内容は専門的ですが英文自体はやさしくリライトされているため、TOEIC500~600点の学習者から読めるようになっています。
一流ビジネス誌を簡単に読める
フィナンシャルタイムズは1888年にイギリスで創刊し、発行部数44万部、世界140ヵ国、延べ150万人が読む英字経済新聞です。別名「ピンク・ペーパー」と名付けられており、世界中のエグゼクティブから高い支持を受けています。
エコノミストも1843年にイギリスで創刊された歴史ある英文ビジネス誌です。こちらも世界中の政治家やビジネスパーソンに影響力があります。
上記2誌は、読者層から想定されるように、主に高学歴で経済の専門知識に長けた人向けに書かれた内容となっています。掲載される語彙レベルが非常に高く、英語が得意な日本人でも完璧に読み解ける人はそう多くないでしょう。
しかし、この本は一流ビジネス誌を読みこなしたいと思っている、大半の日本人ビジネスパーソンに有効です。フィナンシャルタイムズとエコノミストから記事を厳選し、中級者が読みやすいようにやさしく書き換えてあるため、ビジネス文書を読みなれていない人でも読解できる文章となっています。
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中村 澄子『 1日1分!やさしく読める ファイナンシャルタイムズ&エコノミスト』 |
経済・ビジネスの知識を着実に身に付けられる
中級者向けに書かれた文章だけでなく、本の作りの観点からもしっかりと知識を体得できるよう配慮がなされています。
1章の「新入社員レベル」から、5章の「ファーストクラスの重役レベル」まで段階を追ってステップアップできます。1章ではオリンパス事件や再生可能エネルギーなどの身近な話題を取り上げ、最後の5章では、インサイダー取引やヘッジファンドといった手強い問題が並んでいます。
また、対訳やTOEICテストに頻出する単語の語注が掲載されているだけでなく、「参考」として、記事に紹介されている内容の背景知識も日本語で説明されています。
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中村 澄子『 1日1分!やさしく読める ファイナンシャルタイムズ&エコノミスト』 |
文章をただ読んで浅い理解に終始するのではなく、ニュースの中心となる人物や業界事情を知ることで、ニュースを俯瞰することができ、本質的に理解することを手助けしてくれます。
一流ビジネス誌を読みこなす方法がわかる
章末には、フィナンシャルタイムズ・エコノミストの実際の記事を読むにあたってのポイントが紹介されたコラムがあります。
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中村 澄子『 1日1分!やさしく読める ファイナンシャルタイムズ&エコノミスト』 |
各ステップですべきことが紹介されており、その理由まで明快に解説されているため、実際の記事を読んだことがない人でも安心してレベルアップできるようになっています。
フィナンシャルタイムズ・エコノミストを読み解く方法まで詳しく解説している本は少なく、海外の経済情報を英語で素早く手に入れたい人にとって、大変貴重な本だと言えるでしょう。
まとめ
- 英語力に自信が無くても一流ビジネス誌が読めます。
- 経済・ビジネスの知識が無くても、無理なくレベルアップができます。
- 海外の経済情報を素早く手に入れるためのコツが身に付きます。
FT&Economistの入門書としてだけでなく、TOEICのPART 7水準の英文を理解するための学習書としてもグッドですね。4章~5章の英文を語注なしでスラスラ読めるのなら、TOEIC L&Rで860にはもう到達しているのではないでしょうか?もちろん、TOEICの英文は海外英字新聞の英文と比較するとかなり易しいので、TOEICで高得点だからと言って英字新聞・雑誌が辞書なしで読めるわけではありません(逆に英字新聞を辞書なしで読めるならTOEICは間違いなく860~900以上出ます)。大切なのは、TOEICで高得点を取ることではなく「実際に海外の英字新聞が読みこなせるかどうか」です。