知っているようで意外と知らない「日本のしきたり」を英語で学ぶ学習書です。中学英語レベルという人にも、取り組みやすい内容です。
日本のしきたりを英語で
英語を学ぶ方法として、やさしい文章をたくさん読む「多読」があります。この「多読」を行う際によく言われるのが、辞書を引かずに読むのが良い、ということです。わからない言葉をいちいち調べていると、読む気そのものが失せてしまう……というパターン、覚えのある人も多いでしょう。
辞書を引かずとも読み進むには、自分がよく知っている分野の本を読むのがコツです。内容をある程度類推しながら読めるからです。日本人なら、日本の年中行事や習俗は身近ですので、本書の内容の理解は難しくないはず。
とはいえ、その由来や正しいしきたりについて詳しく知っているかというとどうでしょうか。誰かに聞いて初めて「えっ、そうだったの?」という経験はありませんか?
たとえばお正月に門松やしめ飾りを飾るのは誰でも知っていますが、なぜ飾るのか、どんな意味があるかはご存じですか?あるいは、春分の日・秋分の日の前後を「彼岸」というのはなぜでしょう?そういったことを、この本では英語でわかりやすく解説しており、興味を持って読み進むことができます。
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新谷 尚紀『英語対訳で読む日本のしきたり』 |
辞書を引かずに楽に読める
本文は見開き2ページに1トピック200ワード前後の英文と、その日本語訳という構成です。単語のレベルは、おおむね中学英語程度。少し難しい単語にはアンダーラインが引かれ、日本語で意味が付記されています。
英検準2級程度の力があれば、辞書なしで楽に読み進められる内容です。必要に応じて、イラストつきの解説ページも挿入されています。コンパクトな新書判ですので、持ち歩いてもそれほどかさばらず、スキマ時間に手軽に読めるのもメリットです。
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新谷 尚紀『英語対訳で読む日本のしきたり』 |
わかりやすく簡潔な表現
国際交流の場が増える昨今、海外からのお客様に日本文化を説明する機会もあるでしょう。そんなときにもこの本が役に立ちそうです。
中学英語で大丈夫、というコンセプト通り、単語レベルはもちろん、文章もシンプルなのがポイントです。誰にでもわかりやすい言いまわしを選んであり、外国の方にも日本特有の事柄をかみくだいて説明できます。
直訳は難しいと思われる内容でも、英語で明快に表現してあり、とても感心させられます。難解な日本語で説明されるより、こうした英語のほうがわかりやすいかも、と思ったほどです。通訳や添乗員などを目指す人にも参考になるでしょう。
まとめ
- 日本人ならなじみ深い日本のしきたりを通して、楽しみながら英語学習ができます。
- 難しい単語には日本語の意味が添えられ、辞書なしで手軽に読めます。
- 日本特有の事柄を、外国人にもわかりやすく伝えられるような簡潔な表現が用いられています。
確かに著者も「中学生レベルの英語力で理解できる」ことを念頭にこの本を書いたそうですが、正直この英文は普通の中学生だと理解できないとおもいます(笑)県下有数の進学校を目指す、かなり英語ができる中学生=英検準2級くらいなら、語注を頼りに読めるかなあ?というレベルですね。「incence stick(線香:Weblioレベル10)」「porridge(粥:Weblioレベル10)」等の英検1級単語も若干含まれているので、侮れません。