米・スタンフォード大学の講義内容を収録したリーディング教材です。著者のケリー・マクゴニカル博士はスタンフォード大学の心理学者で、個人の健康や幸福、人間関係の向上に役立つわかりやすく実践的な講義は絶大な人気を博しています。フォーブスの「人々を最もインスパイアする女性20人」に選出されており、『スタンフォードの自分を変える教室』は日本でもベストセラーとなっています。
「意志力」についてわかりやすく実践的に解説
本書は3章構成となっており、冒頭の「意志力」に関するインタビューでは意志力とは何か、鍛える方法や、心理学・生物学からみた意志力についての内容となっています。続く第1章では英語をモノにする意志力の鍛え方、第2章では「なりたい自分」になる意志力の戦略として、博士によるプレゼンテーションとなっています。
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ケリー・マクゴニガル『スタンフォードの「英語ができる自分」になる教室』 |
「意志力」とは言っても根性論ではなく、ゆっくり呼吸すると意志力が高まる、小さな目標でも自分のできる範囲内で目標を設定することなど、簡単ですぐに実践できる方法が多く書かれています。また、それについて研究者の立場からのリサーチ結果や人間の心理的なメカニズムの観点からの理由付けも述べられており、「なぁるほど!これならできる!」とつい言ってしまうこと請け合いです。
モチベーションの高め方や維持する方法について英語で解説
本書は英語の具体的な学習方法について書かれているわけではありません。英語の学習を題材に、学習を継続していくためのモチベーションを高め、維持する方法や、ストレスに対処し利用する方法等について説明されています。
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ケリー・マクゴニガル『スタンフォードの「英語ができる自分」になる教室』 |
英語学習に限らずどの勉強でもそうですが、モチベーションを高めることや、精神的に健康な状態を維持することが最も重要です。どんなに有名な先生についても、どんなに効率的な勉強方法を教わっても、結局学習というものは自分がやる気をもってやらなければ効果は全くありません。ダイエットをしようと思ってフィットネスクラブに登録し、エクササイズのやり方や食事管理の方法を教えてもらっても、実践しなければ効果を得られないのと同じです。
本書では、このモチベーションの維持について簡単にできる方法が、わかりやすく平易な英語で述べられています。英語学習にやや疲れてしまっている方や、上達すればするほどやるべきことが増えていくように感じてモチベーション維持に悩んでいる方には特にお勧めです。
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ケリー・マクゴニガル『スタンフォードの「英語ができる自分」になる教室』 |
ケリー・マクゴニガル教授自身の声を録音したリスニングCD
収録音声の速度は、全体的におよそ140語~150語/分となっていました。ケリー・マクゴニガル教授は、とてもメリハリがあり分かりやすい発音をしています。もちろん本業はナレーターではありませんが、リスニング練習用に適した良い声です。特に中級者にお勧めできる高品質なリスニングCDとなっています。
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ケリー・マクゴニガル『スタンフォードの「英語ができる自分」になる教室』付属CD(1枚組) |
プレゼン・スピーチのモデルとしての利用もお勧め
本書は基本的に博士によるテーマ別の講義という形式です。英文のレベル自体は高くはなく、初級者からついて行ける文章になっています。
ただし、英文が簡単だからと言って、中級者以上にとって読む価値がない本ではありません。平易な英文で、精神状態のコントロール方法というやや難解なテーマを心理学の観点からわかりやすく解説しているということは、逆に博士のプレゼンテーション・スピーチ能力が非常に高いことを示しています。
プレゼンはどれだけ聴衆に伝えたいことを伝えられるかの観点から考えるべきものです。良いプレゼン・スピーチとは専門知識をかみ砕き、高度な内容をオーディエンスに合わせてわかりやすく話すことであって、難解であれば良いというものではありません。TOEICスコア600以上の人であれば特段収録されている英文が難しくてついて行けないということは全くありませんが、英語でのプレゼン・スピーチのモデルとして利用するにもうってつけの教材です。
まとめ
- 「意志力」について解説したリーディング教材。
- モチベーションの高め方や維持の方法について実践的にわかりやすく解説。
- 英語学習のモチベーション維持に悩んでいる人に特にお勧め。
- 平易な英文はプレゼン・スピーチのモデルとして最適。