広範の教養となるような歴史的・現代的に関わらず様々なテーマに関する英語長文の本で、英語を学びながら、同時に社会人や教養人としての知識を身につけることができます。
ある程度英語での思考力や読解力が身についている人をターゲットとしています。
興味深いテーマと難しすぎない英語
会話の種になるような、ちょっとした教養を感じさせるテーマに関する英語長文が11テーマ、各テーマはパート1と2に分けられて掲載されています。いずれも知的好奇心をくすぐるようなテーマで、読んでいて楽しいものになっています。
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東京大学教養学部英語部会『東京大学教養英語読本II』 |
長文の難易度も「東大」とタイトルに入っている様子から予想されるよりは難しくなく、ある程度の基礎(難関大学入試レベル)ができていれば(辞書を使いながら)読み進めること自体は難しくないでしょう。しかし、前書きにもある通り、学習到達点はその先にあります。
テーマについて自分で考えること、そして文章の味わいを感じること
『東京大学教養英語読本II』では、テーマについて特定の答えを提示するのではなく、読者に考えさせるような形となっています。
文章の中には「どうしてこんな表現がここにあるのだろう」と一見すると疑問に思ってしまうような表現もあり、教養のあるネイティブの書く英文のエッセンスを十二分に感じることができるはずです。
問題に取り組むことでさらに深く学ぶ
通常であれば何となく読み飛ばしてしまうような表現の多くについては、問題という形で取り上げられています。ここで立ち止まってその表現の意味を考えることで、前述の「エッセンス」を感じるきっかけにもなるでしょう。
ただ、この問題の答えは巻末に用意されている一方、あまり詳細な解説ではないため、必要に応じて学習者が自分で調べることで疑問を解決しなければいけない面もあるでしょう。
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東京大学教養学部英語部会『東京大学教養英語読本II』 |
さらなる知的好奇心の探求の入り口
ネイティブの英語表現や文章表現を学ぶことができる本であることは間違いありませんが、それ以上に本書は知的好奇心の探求の入り口としての役割を担っていると言えるでしょう。
英語をある程度勉強した人が、実践的に英語を使ってみたいと感じたとき、自分の知識を広げるためのツールとして用いることを考えたなら、良いガイドとなるはずです。
まとめ
- 英語である程度の思考力・読解力をつけている人向けの本。
- 色々なテーマについて簡単に触れながら、ネイティブの英語表現を学べる。
- 英語的な解説は最小限に抑えられており、むしろテーマに関する補足説明的解説が見られる面もある。