映画英語を題材にリスニングスキル強化を図るリスニング教材です。著者を同じくして「トップダウン式 ニュース英語のリスニング」という教材も発売されています。
ボトムアップ方式で丁寧に映画英語を拾う!
『ボトムアップ式 映画英語のリスニング』では、大きく「ボトムアップ方式」を掲げています。ボトムアップ方式でリスニングを学習すると、「細部の音の聞き取りに重点を置き、細部の理解を積み上げることで全体を理解する」方針となります。
映画英語はニュース英語のように話す内容がまとまっている訳でもなく、口調やスピードが一定な訳でもありません。短くスピードの早い会話が続き、音も多彩に変化します。リスニングのポイントになるキーワードも音の変化で違う単語と繋がってしまっている場合もあります。ニュースのように話していたら確実に聞き取れる簡単なレベルの文章でも聞き取れないことがザラに起きてしまいます。
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森田 勝之『ボトムアップ式 映画英語のリスニング』 |
細部の音の聞き取りに徹底的にこだわり、特に音変化の聞き取りの習得を目指します。本書の内容を完全にマスターすることで、ディズニー映画より少し上のレベルの映画の聞き取りも可能になると言えるでしょう。また、実際の会話においての聞き取りも改善されます。
ディズニー英語を初級とすると本書は中級以上の位置づけ
聞き取りの際に必要な音変化を全て凝縮した解説が記載されています。1冊仕上げることで知っておくべき細かいポイントを総ざらいすることができるよう、著者がオリジナルのプロットとストーリーを作成しました。これだけの音変化を学ぶには8から10本の映画素材が必要になってくるそうなので、非常に効率の良い仕上がりと言えます。
全体的にTOEICレベルで600から800と言えそうですが、細部のリスニングを苦手としている学習者はとても多いように感じますので、リスニングに少しでも苦手意識のある方は自分の実力に関わらず検討すべきでしょう。
自学自習を全面バックアップ
本書は4章構成で、収録シーンは16個です。
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森田 勝之『ボトムアップ式 映画英語のリスニング』 |
各シーンは「見開きの左ページが収録内容、右ページに日本語訳」→「発音で学んでおくべきポイント」という進行をとります。
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森田 勝之『ボトムアップ式 映画英語のリスニング』 |
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森田 勝之『ボトムアップ式 映画英語のリスニング』 |
随所に注釈や軽めのチェック問題も載っているので学習のリズムがつかみやすいです。
また、1章を終えるごとに章末の聞き取り問題もあります。章を通して聞いた後で取り組むことでより理解を深めることができるでしょう。章ごとにコラムも挟んであるので、勉強の息抜きに読むと新しい知識を獲得できます。
英語特有の発音要素が強調された吹き込み音声
全ドラマの音声が収録されています。本書の売りである「強弱」「音変化」「短縮音や同化音」など、日本人が苦手とする英語特有の発音要素がふんだんに含まれた音声となっており、他書に類をみない貴重なCDとなっています。
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森田 勝之『ボトムアップ式 映画英語のリスニング』付属CD(1枚組) |
いわゆる「教材的な」聴き取りやすい発音ではありませんが、話している内容自体が平易なため意味を取るのは意外と簡単だと感じました。
音の変化に弱い人の心を狙い撃ち
外国人の実際の会話のスピードについていけない!と挫折感を味わった学習者も多いでしょうが、「だからといって、どう強化したらついていけるようになるのかも分からない」と悩んでいた学習者も多いのではないでしょうか。
『ボトムアップ式 映画英語のリスニング』はそのような悩みを持つ方に大変おすすめです。映画英語から学べることの多さを実感できます。
ニュース英語のような教材が好きな方はなかなか取り組みにくいかもしれませんが、自分のリスニング能力を確実なものにするために「食わず嫌い」せず取り組んでほしいです。
まとめ
- 苦手にしやすい音変化を中心に映画英語から学びます。
- 細部の聞き取りポイントが1冊に凝縮されています。
- 実力をチェックできる問題が多数組み込まれています。