Z会の速読速聴・英単語シリーズの『Business 1200』と『TOEIC TEST GLOBAL 900』は、いずれもビジネス英語を学ぶための英単語教材(というよりも、英文読解・リスニング等を含めた総合英語教材)ですが、それぞれの違いについてお話しします。
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『速読速聴・英単語 Business 1200』と『GLOBAL 900』の違いとは?
とてもざっくりした分け方ですが、区別をつけるとすると以下の違いがあります。
・『速読速聴・英単語 Business 1200』は「書類の英語」
・『速読速聴・英単語 GLOBAL 900』は「ビジネスの日常英語」
例えば、『Business 1200』では以下のように、"depreciation"という語が、「減価償却」という意味で用いられており、さらに英文の内容もキャッシュフローの計算や原価管理等の、会計処理というやや専門的(経理部門の方等であれば常識ではありますが)な内容になっています。
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松本 茂『速読速聴・英単語 Business 1200』 |
"depreciation"という語は、『GLOBAL 900』にも挿入されていますが、単なる「価格の下落」という意味で用いられており、同じ語が持つ中でも専門知識が全く必要ない、平易な意味で用いられています。英文の内容も、自動車の購入の相談という比較的平易な内容です。
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松本 茂『TOEIC TEST 速読速聴・英単語 GLOBAL 900』 |
以上のような例は両書を比較した時に多く見られ、『Business 1200』は報告書に記録したり専門的な処理をしたりといった意味での「書類の英語」、『GLOBAL 900』は注文をしたりクレーム対応をしたりといった意味での「ビジネスの日常英語」が収録されていると言えます。
『GLOBAL 900』は『Business 1200』より易しいのか?
そうみると、『GLOBAL 900』の方が『Business 1200』よりも簡単だと思うかもしれませんが、そんなことはありません。収録されている単語や英文の性質が異なるだけです。
日常のメールのやり取りや交渉の中でも、比較的レベルの高い英単語を使わざるを得ないことは当然あります。また、その業界で生きているのであれば知っておかなければどうにもならない言葉もあります。
ビジネスマンの方であれば、「文書に残す言葉」と、「日常会話する言葉」は違うということはすでにお分かりでしょうし、同じ「文書に残す言葉」としても上司に送るメールと同僚・部下に送るメール、取引先への報告書と日報等のように、それぞれの文書の目的や性格によって書き方も使う言葉も変えるというのは日常茶飯事でしょう。
つまり、『Business 1200』は「日常のビジネス英語」の中でも、ややレベルの高いものを扱っているということです。
『Business 1200』は仕事の必修レベル、『GLOBAL 900』はTOEICと口語練習向け
そう考えると、この二つの本は目的も性格も違うと思って利用するべきです。
英語で仕事をすると、当然英文の書類も読み書きしなければなりませんし、その書類は一定のレベルが求められます。また、ある程度専門的な英文も読みこなせなければいけませんし、日本語で学んだ株式等の経済知識、相場の動き等といった情報も英語で読み、表現していかなければなりません。
といって、ビジネスの分野は多岐にわたりますから個々人でニーズも当然異なります。
そのためとても一冊の学習書で必要な語彙や文例を詰め込むことはできない、だから必要と思われる最大公約数をまとめましたというのが『Business 1200』という書籍の性格であると考えます。
その一方、『GLOBAL 900』はTOEIC高得点を狙う人向けの教材ですとタイトルがつけられている通り、TOEIC対策用の本ですし、構成も完全にそれを意識しています。
TOEICは英語によるコミュニケーション能力を測るための試験ですから、口頭での会話も書類等に書く言葉も両方に対応できなければいけません。そのため、「書類に書く」方についてはややレベルを落とす必要があったものと理解できます。
いずれにせよ、ビジネスマンであれば「書類の英語」も「日常のビジネス英語」も両方対応できる必要がありますから、できればどちらか一つ、ではなく両方併せて学習されることをおススメします。
まとめ
- 『Business 1200』と『GLOBAL 900』は性格が違う本と思って勉強すべき。
- 『Business 1200』は専門知識をやや掘り下げたものが多く、『GLOBAL 900』は日常会話も多い。
- 英語でビジネスができるようになることが目標であれば、どちらか一方ではなく両方やることが理想的。