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【レビュー】英語で意見を論理的に述べる技術とトレーニング:論理的な英語スピーチ力やディベート力を向上させるための必読教材

この本は、論理的な英語スピーチ力やディベート力を向上させる方法を解説した構成力を鍛える教材です。英会話教材として考えても良いと思いますが、文章構成力をアップさせる効果もあります。

英語で意見を論理的に述べる技術とトレーニング

英語の論理構成は例証やデータをどれだけ説得力を持って述べるかがカギ

英語で何か一つのテーマを扱ってスピーチやディベートを行う場合、論理構成は大体以下のようになります。なお、かっこ書きはその段階で目指す効果を示します。

●トピックの簡単な紹介・アウトラインの解説
(イントロ。聴衆や読者に何を伝えるか知らせる)

●結論や意見
(自分の立場を明確にする)

●結論や意見の根拠となる事例やデータ、理由付けを述べる
(リーズニングを行い自分の立場に説得力や客観性を持たせる)

●反対意見や対立意見に対する反論を述べる
(対比を行うことで自説の説得力をより高める。省略される場合も多い)

●だから私はこの結論をとる、またはこの意見をとると結論を再度異なる言葉で述べる
(結び。聴衆や読者を再度引き付ける)

日本語と比較すると「起承転結」や「序破急」などのように、最後まで聞いたり読んだりしないと結論が分からないということがあまりありません。

最初に結論を言うことが多いだけに、その後のデータや根拠とのつながり、いわゆる「論理性」が特に重要になります。

鮮やかな論理構成の紹介にとどまらず、「してはいけない」例も紹介

本書では第2章、第3章で論理性や説得力が低くやってはいけない、やるべきではないディベートやスピーチの例を多く挙げてから入る構成を取っています。

してはいけないアーギュメントの原則
英語で意見を述べる_01 英語で意見を述べる_02
植田 一三『英語で意見を論理的に述べる技術とトレーニング』

そのため、自分のスピーチがどれかのパターンに陥ってないかしっかりチェックしながらトレーニングの本番に入っていける構成を取っています。

ただ単にわかりやすく華麗な論理構成の紹介をするだけではなく、悪い例を見ることで自分がそうなっていないかを客観的にチェックしながら学習できます。

第4章では意外と使い分けられない「思う・考える」、「言う・話す」などの類語の使い方や、論理的な話には欠かせない接続詞の使い方などが解説されており、ここで表現力を大きく伸ばすことができます。

「言う・話す・しゃべる」の使い分けマスター
英語で意見を述べる_03 英語で意見を述べる_04
植田 一三『英語で意見を論理的に述べる技術とトレーニング』

第5章~第7章は社会問題やビジネスなどの各種トピックに関する実践トレーニングになっています。

相手の反論に対してどう切り返すかといったディベートでの必須テクニックや例が多く盛り込まれており、マスターすることでビジネスの場でのディベートや交渉にとどまらず、スピーチ力の向上に役立ちます。

英検準一級以上の対策などに効果てきめん

語彙力や文法力を鍛えることはもちろん重要ですが、英語学習の最終目標の一つは、「ビジネスや日常で英語を自在に使い、自分の言いたいことを伝え、相手に理解してもらうこと」です。

そのためには個々の英文が間違っていないことはもちろん、論理的に話を組み立てる能力を身に付ける必要があります。

試験においても英検準一級以上では試験官との対話式試験があり、自分の意見に対する試験官の指摘や厳しい反論に対してうまく切り返していく必要があります。そのため、英検準一級、一級を受けられる方には特にお勧めと言えます。もちろん、ビジネスの場で英語を使う方にはほぼ必須と言って良いでしょう。

なお、本書で述べられているトレーニング方法で身に付けた論理力や構成力は、日本語で文章を書く際にも役立ちます。ビジネスの場では日本語においても「起承転結」などは求められなくなっており、先に書いた英語的な論理構成がわかりやすいということで普及しつつあるためです。

また、本書で鍛えた論理構成力を更に高めたい場合は、Z会の『速読速聴・英単語 Opinion 1400』等のオピニオンをテーマとした教材を併用すると、相乗効果が見込めます。

まとめ

  • 論理的な構成力を身に付けることを目的とした教材。
  • 会話だけではなく文章構成力も身に付き、ビジネスの場で役立つ。
  • 英検準一級以上を受ける人に特にお勧め。
  • 『速読速聴・英単語 Opinion 1400』等の教材と併用すると相乗効果が見込める。

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さかえ

さかえ

上智大学法学部国際関係法学科卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。『TIME』『Newsweek』は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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