「英語リプロダクショントレーニング 短期間で飛躍的に話せるようになる!」はスピーキングに重点を置いた英会話教材です。
潜在的な英会話能力を話せる英語力にする方法を客観的に解説
プロ通訳者・翻訳者であり、通訳の訓練法をわかりやすくアレンジした「東大英語長文が5分で読めるようになる(語学春秋社)」等の学習書の出版実績を持つ小倉慶郎氏の著書です。
「本書の学習を始める前に」の項目を読むと分かりますが、日本人が難しい英文を読める割に英語でコミュニケーションが苦手な理由を、「学校の授業で漢文や古文と同じように翻訳を通して学んでいるためである。そのため、死語としての英語を学んでいる」と書いています。
その一方、このような英語学習も全く無駄ではなく、これまでの学習の結果として持っている潜在的な英語力をトレーニングによってアクティブなものにすれば英語を話せるようになる、とも書かれています。
これまでリーディングやリスニング等で英語に費やしてきた時間や労力は無駄ではなく、通訳訓練法をプラスすることできちんと話せるようになると教える点で、本書は客観的な立場で書かれていると言えます。
一部ネット情報や学習法指南では「これまでの方法は全てダメで、この方法が正しい」や、「~の方法は危険である」等というやや主観的なものもありますが、本書はこれらの類書や類似情報とは一線を画すものです。
段階を踏んだトレーニングで、通訳の訓練法を実感できる
通訳訓練で使われている以下のような方法でトレーニングをする構成になっています。
STEP1 クイック・レスポンス
STEP2 シャドーイング
STEP2 リピーティング
STEP3 日→英サイト・トランスレーション
STEP4 リプロダクション
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小倉 慶郎『英語リプロダクショントレーニング 短期間で飛躍的に話せるようになる!』 |
Lessonはテーマごとに21用意されていますが、全てのレッスンが同じ構成になっています。
まずクイック・レスポンスで語彙を習得しつつ単語・熟語レベルで反射的に英語を言えるようにします。
続いてシャドーイング・リピーティングで英語を英語のまま理解する訓練、発音訓練を行います。
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小倉 慶郎『英語リプロダクショントレーニング 短期間で飛躍的に話せるようになる!』 |
更にサイト・トランスレーションで和文を見てすぐ英文を言えるようにする訓練をします。
最後にリプロダクションですが、これはイラストを見て、イラストの内容やストーリーを英語で説明する訓練方法です。
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小倉 慶郎『英語リプロダクショントレーニング 短期間で飛躍的に話せるようになる!』 |
どのレッスンも、使う語彙をSTEP1で紹介し、英文例をSTEP2でトレーニングしますので、段階を踏んでトレーニングしていける構成になっています。
内容も専門知識がないとわからないようなことではなく、日常のストーリーといった内容になっており、初学者や中学生からでも取り組めるものになっています。
徐々に階段を上がるように、各レッスンを同じ段階・構成でトレーニングすることで、通訳の訓練方法が体感できるものになっています。
リピーティング学習用に無音を挿入してあるトラックも用意されたCDが付属
クイックレスポンス、シャドーイング、リピーティングのページに記載の英文を発音したものが吹き込まれています。シャドーイング用トラックの発話速度は約135語/分で、ゆっくりとした音声となっているので、モデル音声を真似して発音しやすくなっています。
テキストの英文は、リピーティング用に5語~10語毎の区切りの良いところでスラッシュを入れてあります。リピーティング用トラックでは、このスラッシュの位置に無音区間を挿入してあり、CDの発音に続いて復唱しやすくしています。
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小倉 慶郎『英語リプロダクショントレーニング 短期間で飛躍的に話せるようになる!』付属CD(1枚組) |
このようにリピーティング学習用に無音を挿入してあるCDは数少なく、とても貴重な教材です(たいていの教材CDはリスニング学習用に連続的に発音されています)。
英語スピーキング力を高めたい人や悩みのある人におすすめ。
本書は学習対象者を選びません。すでに書いたように内容は難しくないので、語彙があまり豊富でない、英語を学校で学び始めたばかりの中学生からでも取り組むことができます。
一方、TOEICスコアが700後半以上の上級者でも、ネイティブとの会話ペースに合わせると自分の言いたいことを十分に言えないケースもたくさんあります。このタイプの人は、これまでに多大な労力を払ってリーディングやリスニングを数多くこなし、語彙力や読解力は非常に高いはずですので、本書を使用することで一気にスピーキング力を伸ばすことが期待できます。
このように瞬間的に英文を組み立て、話していくトレーニングを紹介している本書は、初学者はもちろん、TOEICや英検等で十分な成績を持っていても、現実には思うように英語を話せないという悩みを持っている人にとって、スピーキング力を高める最適な訓練法を紹介している本と言えます。
まとめ
- 通訳の訓練法をアレンジした英会話教材。
- 通訳の訓練方法を4段階に分解してわかりやすく紹介。
- リーディング等で培った語彙力をスピーキング力に結びつける方法を体感できる。
- TOEICスコアが高いがスピーキング力の伸び悩みを感じている方には最適な処方箋。