『これで話せる!英語のバイエル』は、NHKの語学講座でもおなじみの大西泰斗氏・ポール・マクベイ氏による、暗唱をメインとした英会話トレーニングの本です。
「バイエル」とは初心者向けの練習教材
「バイエル」とは、日本で非常に普及したピアノ教則本のことですが、初心者が必ず出会う練習曲集として知られています。この本は、その「バイエル」という名の通り、英会話学習のビギナーが基礎的なトレーニングを行うための教材です。
ピアノであれば、楽譜の読み方、指の番号、指の動かし方などを学んでから実際に弾いていくわけですが、英会話の場合も同じように、上達するにはステップを踏んで練習していく必要があります。
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大西 泰斗、ポール・マクベイ『これで話せる!英語のバイエル 初級』 |
本書ではまず、「英語は配置のことば」というコンセプトを学び、主語や動詞、その他の語句がどう配置されるのか、そのパターン及びネイティブスピーカーの意識を学びます。
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大西 泰斗、ポール・マクベイ『これで話せる!英語のバイエル 初級』 |
全200フレーズを暗唱して英語を話す回路を構築
それから、実際に声に出すトレーニングへと移ります。その方法とは「暗唱」です。くり返し音読し暗唱する作業は、ちょうどピアノを習い始めた人が、何度も練習して指の動きを身体で覚えていく作業に似ています。
全部で200のフレーズをくり返し練習していくことで、英文の「形のストック」、いわば英語を話す回路のようなものを、しっかりと頭と身体に構築するのです。
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大西 泰斗、ポール・マクベイ『これで話せる!英語のバイエル 初級』 |
200フレーズをすべて暗唱し、それがスムーズに口をついて出てくるようになれば、学習者は「英語を話すことが楽になっている」と意識できることでしょう。巻末には暗記用のカードもとじこまれており、切り取って使うことができます。
「読めるが話せない」人に使ってほしい本
本書のレベルは「初級」となっており、例文のレベルは中学校2~3年生くらいです。英検3級、TOEIC400点くらいあれば理解できる内容ですが、「読めばわかるが自分ではとっさに口にできない」という人に、とくに使っていただきたいと思います。
「読んでわかる力」と、「口に出して相手に伝える力」は全くの別物です。英語を話せるようになりたければ、やはり実際に口に出すトレーニングをしなければ無理なのです。読んで終わり、の本ではありません。「使い倒してナンボ」の本だと言えましょう。
続編として、『英語のバイエル[初中級]』もあります。初級をマスターしたら、そちらに移ってトレーニングを続けても良いと思います。英語はいわゆる「お勉強科目」ではなく、「実技科目」なのだと意識させてくれる本です。
まとめ
- 英会話ビギナーのための、暗唱教材です。
- 200フレーズを暗唱し、英文のパターンを頭と身体にしみこませることが目標です。
- 英検3級、TOEICなら400点程度くらいが目安です。