TOEICテストで満点を獲得したい学習者に向けた、超上級者向け単語集です。解説されている単語のレベルは非常に高く、これまで多くの単語帳に当たってきたという人でも見たことの無い単語が頻出することでしょう。
990点を"取る"ための単語帳では"ない"
『TOEICテスト990点満点達成のための英単語と英熟語』は990点満点達成を目標として掲げていますが、この単語帳は900点を取ったことのある人が990点を狙うために用いる本ではありません。
990点を充分に獲得できる能力を持っている受験者が、万が一にも単語を知らないことで点数を落とさないようにするための本なのです。
言い換えれば、990点に到達するための勉強ではなく、990点から落ちないようにするための勉強をする段階に来ている人への単語帳なのです。ちなみに、英検のレベルで言えば1級のレベルを超えています。国連英検特A級並と言っても過言ではありません。
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川村 一代『TOEICテスト990点満点達成のための英単語と英熟語』 |
解説などは期待できない
掲載されている単語はどれも難度が高いのですが、それぞれの単語には1つか2つ、日本語で簡単な訳が載っている程度です。例
文は載っていますが、コロケーションや類語、反対語なども載っていないので、自主的に調べない限りは単語ごとの関連性を広げることはできないでしょう。
ただし、こうした単語帳を用いる学習者であればある程度の単語のネットワークが既に出来上がっているはずなので、この点はそれほどネックにはならないかもしれません。
単語はレベル別に分けられているが、順不同
単語はAからCの3段階、熟語はAとBの2段階に分けられています。簡単なレベルとされているものも、英検ならば1級に相当するものばかりです。後半の難単語は、国連英検特A級などを狙う人にも参考になるでしょう。
しかし、同一レベル内の単語はアルファベット順でもなければ難易度順でもありません。体系的に整理されている単語帳とは言いがたいので、自分なりに勉強方法を確立できていないと覚えていくのが難しかったり非効率になったりする可能性もあります。
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川村 一代『TOEICテスト990点満点達成のための英単語と英熟語』 |
英会話的実用性にも疑問
必ずしも難単語は非実用的というわけではありませんが、本書に掲載されている単語の多くは平易な英会話や日常的な(専門性の低い)文面では用いられない、あるいは用いる必要がないものばかりです。
もちろん、こうした単語を用いることが不自然かどうかは状況によりますが、スピーキングやライティングのために必要単語かと言えば、答えはNOです。
高難度の単語帳の価値とは
単語というのは、身につけようと気持ちを新たにしない限りは、文章を読んで出会った単語しか身に付かないものです。
単語帳を読むということは、本来であれば出会うことの無かった単語と出会うことができる機会を増やすということなのです。つまり難度の高い単語帳を読むということは、自分がこれまで触れることのなかった単語に触れて、表現の幅や単語の知識を大きく拡張することに繋がります。
もしも貴方がTOEIC 990点を本気で狙っているのであれば、あるいは知らない単語を少しでも減らしたい、より多くの単語を使いこなして表現の幅を広げたいなどと思っているのであれば、本書はその助けになることでしょう。
そしてもちろん、ライティングやスピーキングに必要不可欠という単語ではありませんが、こうした単語を使いこなすことで貴方の英語能力は非常に高く評価されることになるでしょう。
難単語と言ってもTOEICの出題範囲であることは変わらず、それはつまり、ネイティブならば少なくとも知っている程度の単語であるということだからです。
英単語→日本語が交互に発音されたシンプルなCD
収録している英単語→日本語が交互に発音されているCDです。英文を発音しているわけではないので、リスニング学習用というよりは、各英単語の発音をチェックするためのCDのようです。
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川村 一代『TOEICテスト990点満点達成のための英単語と英熟語』付属CD(1枚組) |
リスニングの練習をしたいという学習者には向いていませんが、このレベルの単語帳を利用する学習者は、すでに高度なリスニング能力を身に付けているはずなので、特に英文である必要性はないのかもしれません。
なお、テキストの各英単語についている例文を音読して覚えることは可能です。
まとめ
- TOEIC990点を確実なものとしたい超上級者向けの単語集。
- 掲載されている単語や熟語はコミュニケーションに必須というわけではない。
- 掲載順序はレベル別になっているのみであり、解説も無いに等しい。