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【レビュー】The Economist:金融・経済分野の記事を中心とした知識人からの評価が高いイギリスの経済紙

『The Economist』はイギリスの経済紙です。経済分野に関しては知識人層からの評価が高く、世界的に権威のある経済紙と言えます。なお、本紙は雑誌の形態をとっていますが、あくまで新聞扱いなので記載は「本紙」としてご紹介します。

Economist

金融・経済分野では欧州だけでなく世界中のニュースを収録

本紙は先端の科学技術の紹介や国際政治分野、さらに書評も扱っていますが、何と言っても目玉は金融・経済分野の記事です。

イギリスの新聞ですが金融・経済分野では広く世界中の記事を収録しており、ヨーロッパやアメリカ、日本などの先進国だけではなく、中東やアフリカの記事まで収録しています。

イギリス国内だけでなく世界中の記事を収録
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『The Economist FEBRUARY 27TH-MARCH 4TH 2016』

記事の内容も格調が高く、経済分析も鋭い視点から分析しており、英語力を十分に身に付けており、経済・金融分野でグローバルな活躍をしたい人にはアメリカの『The Wall Street Journal』と並んで必読の一紙です。

経済学の基本的な知識がないと読みこなすのは少々厳しい

本紙は一般紙ではなく専門紙であると私は考えています。

特に本紙のオピニオン記事は、理論面から見た経済分析が多くなっています。先に記事の内容が格調高いと書きましたが、それは文体だけではなく、前提となる経済知識が多少はある人向けの記事になっているということでもあります。

本紙のメインディッシュとも言える経済・金融分野では、

「レッセ・フェール、見えざる手、需要と供給による価格決定システム、預金創造、ビッグマックレート、ゲームの理論、ゼロ・サム・ゲーム、囚人のジレンマ、モラルハザード」

といった用語が当たり前のように飛び交います。

ランダムに例を挙げましたが、これらの基本的な経済用語に関しては何の説明もなく「わかっていて当たり前」として記事が書かれ編集されていますから、一瞬でぱっと意味が分からないといくら英語力があっても読みこなすのは少々厳しいと考えます。

経済・金融分野の専門用語が飛び交う高度な英文
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『The Economist FEBRUARY 27TH-MARCH 4TH 2016』

本紙で本格的に経済記事を読みたい、ビジネスに役立てたい、ひいては経済・金融分野もしくは関連分野で英語も使ってグローバルに活躍したいと考えておられる方は、本紙に挑戦する前に基本的な経済・金融知識を身に付けておくことをおすすめします。

そうは言っても、あくまで「基本的」なもので大丈夫です。経済学者のような高度な理論を完璧にマスターする必要があるわけではありませんし、微分積分などの数学知識を使った経済分析までできる必要は全くありません。イメージがあれば十分です。(経済はそのイメージを作るのにそれなりに苦労するのですが…)

例えば『英語で読む 池上彰の経済のニュースが面白いほどわかる本』を読んで理解しておけばある程度はついていけます。

池上彰の経済のニュースが面白いほど

これに加えて経済学の入門書などを日本語で読んでおけば本紙を読む前提としての経済知識としては十分です。

英語に加えて経済・金融の最新情報・最新知識を身に付けたい人向け

本紙をスラスラと読み、また内容が理解できるレベルに達していれば、少なくともリーディング力としてはグローバルに活躍するビジネスマンとして十分なレベルに達していると考えられます。

英検1級を持っている人や、TOEICスコア900台が当たり前に取れる人でも読みこなせない人が多いです。その原因は英語力の不足ではなく、経済・金融の素養の部分の問題です。

経済・金融分野の英語に強くなりたいと考えて本紙に挑戦するのであれば、まず英語力としてはFORTUNE誌、TIME誌を読んでみて、大きな苦労がなく読めるかどうかチェックしてみてください。

特に苦労せずに読めることを確認してから、または学習書やこれらの雑誌を読んで勉強をし、苦労せずに読めるレベルに達してから本紙にチェンジしても遅くはありません。

参考書から見た目安ではZ会の『速読速聴・英単語 Business 1200』クラスの語彙はマスターしているレベルです。できれば『Advanced 1100』収録の語彙も習得しておきたいところです。

速読速聴_BUSINESS_1200 速読速聴ADVANCED

本紙のような専門紙では読む際に使う労力の割合が、「英語を読むために使う割合」よりも「記事の内容を理解するために使う割合」の方がずっと多くなります。

もちろん専門用語や高度な言い回しも多用されるため、語彙力の増強、ひいては英語力の向上という観点から見た場合でも有用ではありますが、それ以上に経済・金融知識の獲得という面が大きくなります。

少々無理はあると思いますが、英語力の試験のスコアや成績に置き換えるなら少なくともTOEICスコア850~900以上、英検であれば準1級は取得済みで1級の勉強もリーディングに関してはかなり進んでいるレベルから、といった印象です。

本紙を読む際は「英語を道具に経済・金融の最新知識や最新情勢を分析し、実践していく」という意識で読む方が挫折しにくく、かつ興味深く読めると考えます。

定期購読すれば全記事の音声を聴くことができる

TIME誌やFORTUNE誌とは異なり、本紙は定期購読者であればPCやスマホアプリから全ての記事の音声を、イギリス英語で聴くことができます。

英語上級者で、かつ経済・金融知識もある人であれば記事を読んだ上でリスニング・シャドーイングの材料にもなり、相乗効果が見込めます。

本紙の経済・金融系の記事をシャドーイングすることはかなり大変ですが、チャレンジしてみる価値はあるでしょう。

まとめ

  • イギリスの世界的に権威のある経済紙。
  • 経済・金融関係の記事は世界中の情報を収録。
  • 内容が高度で読むにあたっては経済・金融の基本知識は欲しい。
  • 英語に加えて経済・金融分野の知識も使ってグローバルに活躍したい人は必読。
  • 定期購読すれば全記事の音声を聴くことができる。

あわせて読みたい

●編集長からひとこと
専門知識が必要な英文を読むための参考書として、その他にZ会『テーマ別英単語』シリーズがあります。基礎的な専門知識を日本語で仕入れてから英文を読むというスタイルの本です。語彙レベルも高くてとても良い本なので、興味があれば書店で探してみてください。
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さかえ

さかえ

上智大学法学部国際関係法学科卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。『TIME』『Newsweek』は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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