『英語で読む不思議の国のアリス』は、イギリスの名作童話「不思議の国のアリス」を英語と日本語訳の両方で楽しめる本です。
名作童話「不思議の国のアリス」を対訳で楽しめる
「不思議の国のアリス」は、アニメや映画にもなっており、映像を思い浮かべる人も多いでしょう。もともとは著者ルイス・キャロルが、知人の娘に「ナンセンスなお話を」とせがまれ、即興で作ったお話がもとになったと言われています。個性豊かなキャラクターが次々と現れ、奇想天外な物語を繰り広げます。
本書は見開き左ページに英文、右ページに日本語訳というレイアウトで、本文の段落を揃えて表示してあります。英文でわからない箇所があれば、すぐに右側のページで訳文を参照することができます。
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ルイス・キャロル『英語で読む不思議の国のアリス Alice's Adventures in Wonderland』 |
本文は3つのパートに大きく分けられています。パートごとに「覚えておきたい英語表現」として8フレーズほどがピックアップされ、語句や文法についての解説もついています。
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ルイス・キャロル『英語で読む不思議の国のアリス Alice's Adventures in Wonderland』 |
言葉遊びやパロディの多い物語
英文は単語のレベルとしては中学英語程度で、注釈を参考にすればそれほど難しくはありません。英文そのものは英検準2級・TOEIC500点程度の人ならじゅうぶん読めるはずです。
ただ、この物語はストーリーが不可思議なうえ、様々な言葉遊びやパロディにあふれています。その面白さを味わうには、背景知識やパロディの元ネタなども理解することが必要かもしれません。
英文を対訳で読むメリット
原文オリジナルそのままではなく、ある程度日本の読者に読みやすいよう書き下ろされたもののようですが、それでも言葉遊びのような部分はたくさんあります。
たとえば、文中に童謡「きらきら星」の歌詞のパロディが出てくるのですが、その英文が「きらきら星」の歌詞に似ていると気づかなければ、その面白さを理解することはできません。
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ルイス・キャロル『英語で読む不思議の国のアリス Alice's Adventures in Wonderland』 |
翻訳済みのものを読んでも、そうした部分はわかりにくいです。ですから、そこにこそ対訳で読むことの意味があります。日本語訳に、わけのわからない詩のようなものがあったときに、英文のほうを見てみます。すると、英文のほうではきっちりと韻が踏んであり、言葉遊びになっていたのだ、と気づくというわけです。
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ルイス・キャロル『英語で読む不思議の国のアリス Alice's Adventures in Wonderland』 |
とてもゆっくりとした発音の初心者向けリスニングCDが付属
吹き込み音声のスピードを測定したところ、約90~100語/分でした。とてもスローな録音であり、かつ英文自体も中学校レベルで平易なため、リスニング学習の初心者には特にお勧めできます。
ナレータは女性で、はっきりクッキリと発音していますので、発音自体が認識できないという懸念はほとんどないと思われます。
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ルイス・キャロル『英語で読む不思議の国のアリス Alice's Adventures in Wonderland』付属CD(1枚組) |
また、中学校レベルの英文とはいっても、読んで理解できるだけでスピーキングはできないという方も多いでしょう。そのような方は、このCDで「シャドーイング」にチャレンジしてみてください。シャドーイングであれば、参考書であってもスピーキング練習をすることができます。
※本CDに収録されているのはMP3ファイルのため、パソコン等でファイルを取り出して再生してください。CDプレーヤーそのままでは再生できません。
「不思議の国」が教えてくれること
主人公アリスは、不条理な世界に放り込まれ、他の登場人物たちの無茶苦茶な物言いにとまどいながらも、できる限りお行儀よく、そして一所懸命に対話しようとしています。健気なその姿には幾度となく感心させられ、そして応援したくなります。
不思議の国に限らず、現実の世でも時に理不尽なことはありますし、周囲の人とわかりあえないことなど、いくらでもあるでしょう。そんな時、自分ならアリスのように真摯に向き合い、行動できるだろうか?と考えさせられます。
「不思議の国のアリス」は、単なる“面白おかしい童話”で終わらない、深い話だったのかもしれません。大人になって童話を読み返してみるのも悪くない、と思える一冊です。
まとめ
- 海外の童話「不思議の国のアリス」を英文と日本語訳の両方で楽しめます。
- 言葉遊びやパロディなどが理解できると、より面白さがわかります。
- 対訳で読むことのメリットを実感できる本です。