長文読解問題を入門レベルから学習できる問題集です。学研出版の「大学受験TERIOS」シリーズの一冊で、本書の他に『イチから鍛える英語長文300(同500・700)』があります。
高校初級からセンター試験レベルまで
『イチから鍛える英語長文Basic』は、「一度解いて終わりにしない、反復型長文問題集」がコンセプトです。問題集らしからぬ装丁が特徴で、若者向け文芸書のような表紙デザインが目をひきます。表紙カバーの紙質は、どこか画用紙を思わせるあたたかな手触りで、心地よく手になじみます。
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内川 貴司、武藤 一也『イチから鍛える英語長文Basic』 |
目次に続いて、「本書を使った勉強の仕方」と「読解力を鍛える10の鉄則」という項目があり、その後「DAY1」~「DAY15」まで15日分の問題演習を行えるようになっています。最初に語句の確認、次に問題文と設問という作りです。解答と解説は、後半に15日分まとめて載っています。
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内川 貴司、武藤 一也『イチから鍛える英語長文Basic』 |
「入門から学べる」との言葉通り、前半の問題文は高校入試用の英文が使われています。後半、問題文は徐々に難しくなり、最終的にセンター試験レベルになっていきます。
ですが、詳しい解き方や構文解説・全訳がありますので、しっかり読んでいけば無理なく学習をすすめることができるでしょう。返り読みをしないための「読み下し訳」が全文についているのも親切です。なお、全体的に解説の文字が小さめですので、目が疲れやすいとか、細かい字が苦手な人は、書店で実物を確認してみることをおすすめします。
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内川 貴司、武藤 一也『イチから鍛える英語長文Basic』 |
反復学習が実力アップの鍵
著者は、精読・音読などによる反復学習の重要性を強調しています。しかし、問題文そのままだと途中に空欄があったり、並べ替え問題があったりして、使いづらい面があることも確かです。
そのため、本書には別冊として「トレーニングブック」が付属しています。こちらは空欄のない完全な英文ですから、読み返す際にはとても便利です。後半には重要な単語をまとめた「語句」のパートもあり、手軽に確認を行えるよう工夫されています。
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内川 貴司、武藤 一也『イチから鍛える英語長文Basic』 |
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内川 貴司、武藤 一也『イチから鍛える英語長文Basic』 |
問題集としてだけでなく、長文問題の学び方を知るにも役立つ
巻頭の「勉強の仕方」や「10の鉄則」という項目は、長文問題を学ぶうえで非常に優れた内容になっています。書かれている内容は具体的でわかりやすく、また実際に役に立つものです。これらの「鉄則」にのっとって学習すれば、確かな実力がつくことでしょう。問題集の部分だけを消化するのでなく、こうしたページも、じっくりと読むことをおすすめします。
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内川 貴司、武藤 一也『イチから鍛える英語長文Basic』 |
リスニング入門に適したスロー音声を収録したCDが付属
大学受験基礎レベルだけあって、リスニングCDには約90~95語/分のかなり遅い音声が収録されています。一つ一つの単語もはっきりと発音されているため、入門用のリスニング素材としてとても優秀なCDです。
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内川 貴司、武藤 一也『イチから鍛える英語長文Basic』付属CD(1枚組) |
参考書に付属しているCDはオマケではありません。1回聞いて終わりにするのではなく、繰り返し聴くことで耳で英文を覚えたり聴解力を上げる練習に用いるものです。慣れてきたら単純に黙ってCDを聴くだけでなく、聞きながらテキストを音読(オーバーラッピング)や、テキストを見ないで真似するシャドーイング学習等も行って英文を頭に叩き込んでいきましょう。
まとめ
- 長文読解問題を入門レベルから学べる問題集です。15日間完成で、徐々に難度が上がります。
- 問題演習を終えても、音読やリスニングなどで反復学習を続けられるよう工夫されています。
- 長文問題を学ぶうえで重要なポイントが、巻頭にわかりやすくまとめられています。