英検1級合格レベルの英単語・熟語を、「例文型」で暗記していくタイプの単語帳です。かつて旺文社『英検Pass単熟語1級』と呼ばれていた書籍の改訂版となります。
英検1級の語彙は『TIME』『Newsweek』等の英文雑誌や(語彙レベルが高い)洋書を読解するにあたって基礎となる単語です。ネイティブスピーカーの語彙力を目指す学習者にとっては「避けて通れない関門」といえます。
1単語1例文で難単語をひたすら暗記していく
英単語帳の形式は大きく分けて『フレーズ型』(代表:システム英単語、金のフレーズ)、『長文型』(代表:速読速聴・英単語、速読英単語、文で覚える単熟語)、『例文型』(代表:英単語ターゲット、パス単、DUO 3.0)があります。
どの方式が優れているということはないので、どの単語帳を使うのかは完全に学習者の好みによります。『英検1級 でる順パス単』は、このうち『例文型』に該当する単語帳です。『例文型』の特徴としては一つの本に収録されている単語が多く、比較的スピーディーに多くの英単語に触れられるという点です。
『長文型』の場合は、長文を実際に読まないといけないため、単語力に加えて長文読解力・長文リスニング力が同時に身に付くというメリットがありますが、単語だけ覚えるという観点からは1冊終えるのに時間がかかりすぎるというデメリットもあります。
単語リスト、例文と日本語訳を掲載したベーシックな構成
PASS単シリーズは長年親しまれてきた旺文社の有名単語帳なので、ページレイアウトはとても洗練されています。
見開き2ページの左側は単語リストとその日本語の意味、同意語・反意語の掲載です。右側は、例文とその日本語訳です。すでに例文式単語帳のスタンダードにもなっている、ベーシックなレイアウトです。
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旺文社『英検1級 でる順パス単』 |
例文中で覚えるターゲットとなる英単語は赤字になっており、付属の赤シートを使えば見えなくすることができるという、細かな工夫がうれしいですね。
難単語だけでなく、難熟語もいける
語彙レベルはもちろん英検1級で、8000語~1万数千語レベルまでカバーしている印象。TOEICは語彙が比較的易しい検定試験なので正確な換算は難しいですが、敢えて換算すればTOEIC900~満点を狙う上級者向けとなります。
同社の『英検1級 文で覚える単熟語』(文脈主義型)と比較すると、収録語彙数が800語ほど多い分、カバーする語彙レベルが全体的に少し高めです。
また、ボキャビルというと「英単語」ばかりに目が行きがちですが、「英熟語(イディオム)」を覚えることも、とても大切です。
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旺文社『英検1級 でる順パス単』 |
私は昔、熟語不足に悩んでいたとき、アルク社『TOEICテストイディオム 基本編・応用編』という熟語ばかり合計2500語以上収録している鬼のようなイディオム専用本で勉強していました。イディオムを沢山覚えておくと英会話がとてもラクになりますので、英検1級を受ける、受けないに関係なくひたすら覚えておきましょう。
『英検1級 でる順パス単』に収録されている熟語はわずか300語ですが、英検1級に登場しそうな難熟語ばかりが掲載されていて、とてもワクワク・ウキウキした気分にさせてくれます。
長文型単語帳大好きっ子でも使えるのか…?
私のようにZ会『速読速聴・英単語』シリーズや、旺文社『文で覚える単熟語』シリーズなど、長文型単語帳を中心にボキャビルしている学習者も多いとおもいます。
その場合でも、上級単語ばかり掲載している本書は有効に活用できます。なぜなら初~中級単語に関しては、上級の長文型単語帳では見出し語になっていないだけで本文中に時々登場するので、何度も触れる機会があります。しかし、上級難単語の場合は各上級単語帳で1回しか目にする機会がありません。
このようなケースでは『速読速聴・英単語 Advanced 1100』『文で覚える単熟語 英検1級』のハイレベル長文型単語帳をデュアル構成にして上級単語を目にする機会を増やすという方法がありますが、長文型は時間がかかりすぎてキツイという場合には『英検1級 でる順パス単』のような例文型をサブ教材と位置付けてサクッと復習することも大いにアリです。
単語帳は一つしか使っていけないというルールはありません。同じレベルの本を複数使うことで、同じ単語を別の例文で何度も見たり聞いたりすることができます。これは、単語の定着度を上げるためにとても有効な方法です。長文型単語帳のファンの方であっても、嫌がらずに例文型も活用してみてはいかがでしょうか。
英検1級レベルの単語を覚える必要はあるのか……?
よく「英検1級」に使われている難単語はネイティブスピーカーでもほとんど見かけない等という話を時々耳にしますが、本当にそうでしょうか?
確かに、メールやWebサイト等の日常的な文章では見かけない単語ばかりですが、英文小説や『Time』『Newsweek』等の英字雑誌では、それなりに見かける単語ばかりです。将来、英文小説・英文雑誌もスラスラ読んでみたいというガチの英語学習者にとっては、英検1級レベルの語彙を習得するのはマストであると言えます。
ただし『英検1級 でる順パス単』の収録語を完全に習得したとしても、1冊の英文小説や英字雑誌に出てくる単語をほぼ全部知っているというレベルには到達しません。
スラスラとはいってもほぼ全ての単語を知っている状態は非ネイティブには不可能と考えられますので(ネイティブでも無理?)、その場合には大人しく辞書を使うようにしましょう。我々は外国人だということを忘れてはいけません(笑)
例文暗記用のMP3データは旺文社のサイトからダウンロード!
CDはついていません。MP3形式の音声データを旺文社のサイトからダウンロードして利用します。
MP3ファイル1つにつき、10単語分の音声が収録されています。英単語の発音→日本語の意味→例文の発音の順で録音されています。私などは日本語が入っていると、とてもウザいと感じるタイプなのですが、これは好みによるものなので何とも言えません。
※しかし、CDではなくMP3ダウンロードを採用するのであれば、単語発音や日本語の部分を抜いた例文のみの録音ファイルも用意してほしいですが、いかがでしょうか?(→旺文社様)私は英語だけが聴きたいんです……!
いずれにしても、音声データがあれば暗記作業も捗るというものです。修行僧のようにひたすら聞いて、ひたすら黙読&音読して、全例文、全英単語を脳ミソに叩き込んでいきましょう!
苦行ですが、英語学習者であれば誰しも一度は通る道…英語はラクして上達できないということを念頭に、日々鍛錬を積んでいきましょう。
まとめ
- 英検1級に対応した例文型(1単語1例文)の英単語帳です。
- 暗記用の音声データはダウンロードで入手可能。
- (検定試験レベルで)クソ難しい単語をたくさん収録しているので、単語マニアなパパも大満足!