『英文法の核』は、東進ブックス発行の大学受験生向け英文法書です。著者は『ポレポレ英文読解プロセス50』などの著作で有名な予備校講師(東進ハイスクール)、西きょうじ氏です。
『英文法の核』のキャッチフレーズ
「英語は暗記科目だ」というのは、よく言われてきたことです。学校で英語を学び始めると、単語や文法事項など、次から次へと覚えなければならないことが出てきます。
その結果、学校の試験で良い点を取るには、「なぜそうなるのか」よりも、「とにかく丸暗記」という対処法が手っ取り早いと思われてきました。しかし根本的なルール、考え方を学ぶことなく、枝葉の部分だけを丸暗記しても、どこかで壁にぶつかることが多いものです。
『英文法の核』のキャッチフレーズは、「英文法は『丸暗記』では使えない!!」です。著者は「文法の核とは、語(あるいは情報)の配列ルールと単語の使い方(品詞の情報を含む)である」とし、使える文法を身につけるには、それをしっかり学ぶべきだと述べています。
単語だけ知っていても、カタコトにしかなりません。自分の言いたいことを伝える文章に組み立てるには、やはり一定のスキルが必要なのです。
大学受験生向けレベル、予備校の授業を思わせる本文
本作は、レベルとしては中上級者向けとなっています。ある程度の知識は学んできたが、それをさらに深めたい、という学習者に適しています。主に国公立大、難関私大受験者向けでしょう。
まず「Core point」で項目の全体像を説明、次に「Guideline」で順を追って解説しています。
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西きょうじ『英文法の核』 |
ポイントとなる項目には「Focus」「TOPIC」欄で細かく説明を加えています。例文には番号がふってあり、各文の説明でその番号の例文を参照できるようになっています。
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西きょうじ『英文法の核』 |
掲載の基本例文(500)は巻末に別冊としてまとめてあり、例文暗記に利用できます。
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西きょうじ『英文法の核』 |
ひとつひとつ順番に読んでいくと、予備校の授業のような感覚で学習を進めていくことができます。説明がていねいなぶん、まわりくどく感じられる部分もあるかもしれませんが、一般的な参考書ではスルーされそうな箇所も、“腑に落ちる”まで説明しようという意図が感じられます。
復唱に向いたポーズ入りのリスニングCDが付属
別冊の「基本例文500」に収録している英文の朗読音声です。各例文は発音したあとに、3~4秒ほどのポーズを入れてあり、復唱(リピーティング学習)しやすくなっています。速度はナチュラルスピードとなっています。
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西きょうじ『英文法の核』付属CD(1枚組) |
例文を何回も音読・復唱することで、徐々に使われている文法事項の理解が深まっていきます。目から耳から例文をインプットして、例文・単語・文法を記憶に定着させていきましょう。
英語はそれなりにできる。でも伸び悩んでいる……という人に
要領がよく暗記が得意な人なら、範囲が明確な定期テストでは労せずそれなりの点が取れるものです。しかし、そうやって「とりあえず暗記で」乗りきってきた人でも、応用力の必要な実力テストや模試では点が伸び悩む、というケースがしばしばみられます。それは、真の英語運用力がついていないからではないでしょうか。
単語の並べ替え問題で手も足も出なかったり、あるいは英作文で冠詞や前置詞の抜けがたくさんあって減点されたり……という経験はありませんか?それは、英文法の「核」を理解していないからかもしれません。けして英語は嫌いじゃないけれど、どうも伸び悩んでいる……という人は、読んでみると参考になると思います。 実況中継型で解説が進行する、英文読解の問題集と解説書です。著者の西きょうじ氏は、東進ハイスクールを代表する英語講師の一人で、読解解説書以外にも『英文法の核』など英文法の学習書も出版されています。 英文 ... 続きを見る
同著者の英文読解本【レビュー】西きょうじ 図解英文読解講義の実況中継:英文読解の解説書を読むと眠くなってしまうアナタのための実況中継型の読解学習書
まとめ
- 国公立大・難関私大受験生レベル向け文法参考書です。
- 予備校の授業のような、ていねいな説明です。
- やみくもに丸暗記するのでなく、文法の「なぜ?」を学びたい人に適しています。