『ハリー・ポッター』の原書を読んで挫折した経験がある人や、これから原書を読んでみたい人向けの本です。
中学・高校レベルの単語でほぼ読める
『ハリー・ポッター 賢者の石』の原書に出てくる約80%の語句は、日本の中学・高校1年生のレベルです。『ハリー・ポッター』を読む際に難しいと感じるのは残りの20%の部分です。その20%は、造語や筆者が発音に合わせてスペルを変えて作った単語などから構成されています。
そこで、『ハリー・ポッター』を原書で読んで理解するために、この20%に焦点を当てて解説しているのが本書です。語句だけでなく、原書を理解する際に文化的背景を考慮に入れるともっと内容が理解できるようになるので、その点も含めて解説されています。
本書を活用した『ハリー・ポッター』攻略法
これまで『ハリー・ポッター』の原書を読んだことがない人は、まず本書を読む前に一度、原書を読んでみましょう。英語で何か他のものを読むときも同じですが、知らない単語があってもいちいち辞書で調べるのではなく、どんどん読み進めていきましょう。わからない単語は前後の文の意味から推測するくせをつけます。そうすることで話の流れがつかめるようになってきます。
物語を読むときに辞書で調べてばかりいると、話を楽しむことができず、すぐに飽きてしまいます。難しくてこれ以上読み続けられないというところにきたら本書の出番です。もしくはこれまで原書を読んで挫折したことがある人も次のような方法で本書を使います。
この本は原書の章ごとに分かれているので、まずは1章の章題と章の展開、登場人物のところを読んで理解します。章の展開で、その章で注目したいポイントについて解説があるので、なんとなく原書を読むよりも注意して読むことができます。その後に原書の1章を読み切ります。わからない単語があっても推測しながら物語の内容を理解するように努めます。
![]() |
![]() |
クリストファー・ベルトン『「ハリー・ポッター」Vol.1が英語で楽しく読める本』 |
その後に、語彙リストでわからなかった単語の意味や解説を確認したり、地の文、せりふなどを読みます。語彙リストの素晴らしいところは、語彙に対する日本語の意味だけでなく、同義語を英語で記してある点です。英語上級者やレベルアップを目指したい人は特に、この同義語の部分を見て知らなかった語句を英語で理解していきましょう。
![]() |
![]() |
クリストファー・ベルトン『「ハリー・ポッター」Vol.1が英語で楽しく読める本』 |
![]() |
![]() |
クリストファー・ベルトン『「ハリー・ポッター」Vol.1が英語で楽しく読める本』 |
文化的背景を知って話を深く理解する
各章の最後には、What’s moreというコーナーがあります。物語の背景や文化的な視点など、話をより深く理解するのに役立つ情報が書かれています。『ハリー・ポッター』には独特の世界観があって言葉の理解だけでなく、文化的背景や筆者の意図を知る必要があります。
原書を読んで英語の理解に追われていると、物語を楽しんだり内容の深い理解を忘れてしまいがちですが、このコーナーをうまく利用すれば、より深く内容を理解できることでしょう。
まとめ
- 原書は20%の難解な語彙を除けば、基礎的な英語力で読み切れる。
- 本書の力を借りれば、難解な語彙を含めて原書を理解できる。
- 文化的背景を知って、より深く原書を理解するのに有用。
『ハリー・ポッター』は子供向けとはいっても、ネイティブ向けの小説です。日本の高校までで勉強する語彙で80%をカバーしていますが、このような副読本なしで読むことはとても難しい本です。本書に掲載されている語彙を見ると、どれも英検1級レベルで生半可な語彙力では太刀打ちできません。有名な作品だからといって、初心者~中級者が原書にチャレンジすると大きな挫折感を味わうことになるでしょう。