英語を話したり書いたりしようとするときについつい日本語の発想を流用してしまう学習者が陥りやすいミスについて解説しています。
タイトルからは不必要に危険を煽る大衆向けの本という印象を受けますが、その中には非常に有用な文法知識が沢山詰め込まれており、初学者から上級者まで幅広い学習者にオススメできる本です。
3つのチャプターで英語のスキルを底上げ
『なぜ、その英語では通じないのか?』は、日本語と英語のギャップを考えるところから始まり、抜け落ちやすい文法事項や語法を受け、更に洗練された英語表現を用いるためのヒントの解説をしています。
![]() |
![]() |
マーク・ピーターセン『なぜ、その英語では通じないのか?』 |
和製英語をそのまま使うことへの警鐘といったことから理由を表すbecauseとsinceの厳密な使い分けまで、幅広く、かつ知っていると知らないでは全く違ってくる重要な情報が目白押しです。
例文で覚えることで定着率アップ
それぞれのテーマでは、間違えやすい点を解説し、解説の中で出てきた例文が最後にまとめられています。例文の中で表現を構文的に覚えることができるほか、生きた英文の中で違いを理解することができるので、生き生きとした表現を身につけることができるでしょう。
![]() |
![]() |
マーク・ピーターセン『なぜ、その英語では通じないのか?』 |
上級者も見逃せない知識が沢山
howeverを「しかしながら」、almostは「ほとんど」といったように、たいていの人にとっては対訳的に理解しているにとどまっている単語が少なからずあるものですが、著者はこれを危険であると言っています。
![]() |
![]() |
マーク・ピーターセン『なぜ、その英語では通じないのか?』 |
そして、それぞれの言葉が持つニュアンス、カジュアルさやフォーマルさにも触れて、より洗練された英語を用いるためにはどういった言い換えが良いかを示唆してくれます。言葉の丁寧度や固さ、柔らかさといったものに興味がある人にとっては、かなり参考になると言えるでしょう。
分詞構文や倒置など分かりにくい文法にも切り込む
著者は大学で英語の添削を行うという経験を持っており、実際に日本人が間違えやすい表現や一定のパターンから解説を行っています。
その上で、分詞構文や倒置、限定用法と非限定用法の違いなど、多くの学習者が苦手とする項目にも分かりやすい切り口で解答しています。
![]() |
![]() |
マーク・ピーターセン『なぜ、その英語では通じないのか?』 |
単なる読み物として以上に、苦手な文法を克服するためのヒントが乗っている参考書としても活用できる良書です。
より洗練された、分かりやすく教養のある英語を話したい人へ
要は伝わることが重要であると考えれば、『なぜ、その英語では通じないのか?』を読む必要は無いかもしれません。
しかし、自信を持って教養人としての英語を話したり書いたりしたいのであれば、自分のレベルに限らずこうした本を手にとって知識に抜けがないかどうか確認していくことは重要です。
また『なぜ、その英語では通じないのか?』の最後には手紙の書き方の指南もありますので、それだけでも助かるという人は多いでしょう。
まとめ
- 洗練された教養のある英語を話したい全ての人にオススメ。
- 和製英語から文法まで、幅広く「もっと良い英語のためのヒント」をカバー。
- 上級者でもつい見落としがちな情報をネイティブの視点から理解できる。