日本の戦後史を扱っている対訳式の英語本です。比較的簡単な英語で書かれているため非常に読みやすく、扱っているテーマも興味深いものばかりになっています。
英語を学ぶというよりも日本史を学ぶための本
『対訳双書 日本現代史』は「歴史で英語を学ぶ」というよりも、「英語で歴史を学ぶ」本に近いと言えます。英語の文法解説や語彙解説は無く、英語学習を始めて間もない人が手に取ると困惑するかもしれません。
しかしその一方で、コラムや図など、歴史を理解する上で重要なデータが豊富に掲載されています。
1945年のポツダム宣言から、近代的な出来事としてのリーマンショック、アベノミクスまでの流れを丁寧に追っているので、現在の日本の背景にどのような事情があったのかということを含め、現代の日本についての理解を深めるのに役立ちます。
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ジェームス・M・バーダマン『日本現代史』 |
話のネタや、教養ある会話の事前準備に○
英語学習書としては、重要な単語や表現が太字になっている程度で、それも特に取り上げて掘り下げているわけではありません。
対訳になっているためどの表現が何に当たるのかについての理解は容易ですが、英語学習書として役立てたいと考える場合はさらに一歩踏み込んだ学習が必要になるでしょう。
一方、近代日本や現代日本に関する知識を英語で得られるというところから、英検などの英語の面接試験に必要な表現や知識をピンポイントで押さえることができる他、社会人として政治の話や歴史の話をする際に重要となる事柄も頭に入れることができます。
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ジェームス・M・バーダマン『日本現代史』 |
3.11や尖閣諸島問題の他、日本の芸能界の変化まで
一般的な史実の列挙のみならず、日本の相撲界の八百長問題やAKB48がもたらした芸能人というイメージの改革など、日本という国の現代を語る上では欠かすことのできないテーマが盛り込まれています。
過去から現在への時系列にはなっているものの、目次から気になるテーマだけを読んでそれに関する一般知識を付けておく、という使い方もできるでしょう。
政治的な内容としては、リーマンショックがどのようにして日本に影響を与えたか、尖閣諸島の問題、日本に存在する格差の問題、3.11の地震、アベノミクスなどがテーマになっており、これもいずれも国際社会で活躍する日本を語る上では外すことのできないテーマです。
こうしたテーマについて話す機会がある人は、ぜひ一読して語彙や表現、知識について再確認しておくのが良いでしょう。
まとめ
- 英語を学ぶというよりも歴史を学ぶための本。
- 英語的コラムは無いが、歴史や現代社会を理解するためのデータは豊富。
- 自ら勉強することのできる学習者向け。