大学受験生や、英語リーディングを学ぶ社会人のための参考書です。初版が1996年の若干古い本ですが、著者は当時駿台予備校の講師だった薬袋善郎氏です。
複雑な文を読み解くための参考書
大学受験や英検などの上級試験をめざす場合、英語の長文読解問題は避けて通ることができません。英語の長文問題には、構造が入り組んだような文が多く、意味の取りづらいところが多々あります。
たとえ語彙だけを増強しても、文法知識がわかっていないと文章を正しく読み解くことはできないのです。そこで著者は、文の要素をひとつひとつ品詞分解することで、文章を論理的に読む方法を説明していきます。
まずは読み解き方を学び、実践へ
本書は大きく分けてパート1とパート2に分かれています。
パート1はチャプター1~19まで分かれており、文の読み解き方についてのレクチャーになっています。予備校の授業のような語り口です。
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薬袋 善郎『英語リーディングの秘密』 |
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薬袋 善郎『英語リーディングの秘密』 |
パート2は学んだ知識をもとにTIMEやNewsweekに出てくる文章15題を読んでみるトレーニングです。まず先に問題編、そのあと解答編があり、詳しい説明が載っています。
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薬袋 善郎『英語リーディングの秘密』 |
大学受験や、英語関連の上級資格を受ける人向け
この本を読むにあたっては、まず英文法の基礎知識がわかっていることが必須です。5文型あるいは形容詞や副詞の修飾関係など、基本的な文法項目が頭に入っていなければ、読むのは難しいと思います。動詞の現在形・過去形・過去分詞の活用も当然マスターしていなければなりません。
そうした内容は既にクリアしていて、シンプルな文は読むのは苦労しないけれど、「一つの文に動詞っぽい単語がいくつも出てきて文の構造がわかりにくい。どうしたらいいのか?」と悩むくらいまで学習が進んだ人が読むべき本です。大学受験や英検準1級以上、TOEICのハイスコアを狙う層あたりが対象になるでしょう。
英文の構造を論理的に解析
英語の文を読む基本は、主語と述語動詞を見つけることです。しかし、“動詞っぽい”単語が複数混じっていて悩むというのは、たとえば分詞構文や、接続詞・関係詞がらみの場合が多いです。そうした要素がどのようにからんでいるかの見分け方を、著者は非常に論理的に説明しようとしています。
まるで数学の問題を解くように、とことん理詰めでいきますので、本書は読者によって好き嫌いが分かれるかもしれません。説明用の記号等もしっかりと頭に入れて読まなければ、著者の説明についていくのは大変です。
本書を読むと、英文の意味を正確につかむためには、このくらいきっちりと修飾関係を吟味する必要があるのだ、と意識せずにはいられません。英文を論理的に、隙なく解析したいと思う学習者なら、取り組んでみる価値があると思います。
まとめ
- 構造の複雑な英文を、論理的に読み解くための参考書です。
- 使いこなすためには、英文法の基礎は身に付けており、文法用語がわかることが必須です。
- 大学受験や、英語関連の上級資格を目指すレベルの学習者向けです。