研究社発行の大学受験用・長文読解の参考書です。河合塾講師3人による共著で、細やかな解説がなされています。
長文問題で高得点を取りたい受験生向け
『英文読解の透視図』は、長文読解の参考書の中でもとりわけハイレベルなことで知られています。国公立大上位校や早慶上智など、難関大学志望者向けの教材として人気が高いようです。
全体は3章構成で、第1章は英文構造、第2章では省略・倒置・挿入・強調構文を、そして第3章は仮定法と比較表現を扱っています。最後に、全体をまとめた卒業問題があります。大学受験だけでなく、英検準1級や1級試験の長文問題対策にも役立つでしょう。
別冊資料も大事。ぜひ一読を
また、この参考書には別冊「英文読解再入門」が付属しています。別冊の内容は、3つのセクションに分かれていますが、そのエッセンスは「文の要素」と「動詞」にまとめられます。SVOCなどの文型・品詞の説明や語法のほか、巻末には主な動詞をリストアップして、文型ごとにまとめてあります。
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篠田 重晃『英文読解の透視図』 |
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篠田 重晃『英文読解の透視図』 |
別冊の内容はごく基本的なものなので、難関大を目指す人なら既習事項でしょう。しかし、この部分に疑問を残していると、後でつまずきの元になりがちです。本編をじゅうぶん活用するためにも、こうした内容が身についているかしっかり確認しておきましょう。26ページとごく薄いものですし、本編学習前に必ず読むことをおすすめします。
演習問題を解いて読解のコツをつかむ
本文に入ると、まず「Challenge問題」として、実際の入試に出題された長文問題が提示されます。しかしその直後にあるのは解答ではなく、「Challenge問題を解く前に」という「演習問題」です。そしてこの演習問題の後に、Challenge問題の解答・解説へと移ります。
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篠田 重晃『英文読解の透視図』 |
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篠田 重晃『英文読解の透視図』 |
いきなりChallenge問題に挑んでみるのもいいですが、多くの人は英文の複雑さに途中で迷子になってしまうことでしょう。そこで、迷子になりやすいポイントに的をしぼって、演習問題を提示してあるのです。まずそれを解くことでコツをつかみ、それからChallenge問題にトライしてみてください。きっと少し取り組みやすくなっているはずです。
Challenge問題も演習問題も、どちらも実際の入試問題から出題されています。ほとんどの語句は英文の下に注釈として意味が載っていますので、そのぶん、英文の構造を読み解くことに集中できます。Challenge問題は、全文訳だけでなく、1文ごとに分けた形で詳しい解説と訳がありますから、自分で訳したものと見比べてみると良いでしょう。難しいぶん、学ぶことで達成感と実力がつく、頼りになる教材です。
まとめ
- 主に難関大学受験者など、上級者向けの英文解釈の参考書です。
- 別冊は読解のための基本事項です。既習事項の確認もかねてぜひ一読を。
- 難しい問題ばかりですが、演習問題をていねいに解くことで読解のコツを得られます。