はじめに
『Time』や『Newsweek』といった英字ニュース誌は、世界情勢を理解する上でも非常に良いとされており、加えて英検1級に合格するための勉強方法の中で取り上げられることも多い雑誌です。ネット上で読むこともできるため、日常的な習慣として読んでいる人も多いかも知れません。
では、英検1級に合格できるだけのレベルであれば、これらの雑誌は簡単に読みこなせるようになるのでしょうか。答えは、イエスでもあり、ノーでもあります。
「イエス」でもあり「ノー」でもある理由
まず何より、『Time』や『Newsweek』に掲載されている「時事」に関する記事は、文脈を把握するのが難しい場合があります。特に海外のことだと、海外の社会情勢や社会システム、一般的な機運、その国に住んでいる人なら当然知っている有名人や著名人、場所などの名前などを知らなければ、簡単なはずの記事を読むのに非常に苦労するはずです。たとえ英検1級に合格したとしてもこのような知識は自然には身に付かない、と言って間違いはないでしょう。
しかし、英検1級に合格できたということは、幅広い文法知識と、どのような内容でも読みこなすことができる程度の語彙力が身についていることはおよそ間違いありません。その能力を活かせば、固有名詞に引っ張られたり、時に変則的な文章の書き方がされていたりしても、それのせいで読むことが困難になることはありません。その意味では、『Time』や『Newsweek』を読むだけの下地は充分にできている段階であると言えます。
具体的な『読み方』と注意点
では、どうすればこうした英語雑誌を読みこなすことができるようになるのでしょうか。その答えは月並みですが、とにかく読む数をこなすことです。ひたすら数をこなして読むことで、以前に読んだ記事と関連する記事を読むことになったり、なんとなく読み飛ばしていた単語が何度も頻出したりすることになるでしょう。そうすれば、少しずつ文脈を理解したり、本当の意味での頻出単語を学習したりすることができます。
ただし、英字誌を読む場合は、該当する「日本語版」が必ずしも手に入るとは限りません。小説の場合は邦訳されたものを探すこともできますが、雑誌の場合は一期一会の記事を載せていることがほとんどで、大きなニュースを別にすれば、日本語で対訳的に使えるように訳されているようなものを得ることは難しいでしょう。
そのため、自分で読んで理解した内容が本当に正しいのかどうかが分からない、ということがありえます。その際、身近に内容を確認できる相手が居れば良いのですが、必ずしもそのような相手が存在するとも限りません。
このような問題があるため、自分の英語力にまだまだ疑問があるという場合は、無理にこうした雑誌を読む必要は無い、というのが僕自身の見解です。もちろん、一つの記事についてしっかりと読み込んで語彙や文法を解きほぐしていくようにして精読するのであれば、それは無駄ではないでしょう。しかし、自分で自分の英語力に自信が持てないうちに、日本語で新聞を読む感覚でこうした雑誌に目を通そうとしても、あまり効果は無いように思います。
ただ、時事を題材とした学習書は少なからず存在します。そのため、まずはそうした本からスタートし、英語でのニュース記事がどのような書き方をされているのか、どういった文法や文章の運びになっているのか、どういった語彙が用いられるのか、といったことについて研究するのも良いでしょう。
また、こうした類いの英語の語彙は、英検というよりもむしろTOEICで必要とされるビジネス英語に近い場合も多く、英検1級を取得したあとでTOEICの高得点を狙いたいという場合の橋渡しとしてこのような媒体を利用するのも一つの手です。慣れてきたら、英語ニュースのリスニングにも挑戦してみてはどうでしょうか。