言わずと知れた日本最難関の大学「東京大学」の入試から、英語の問題と解答だけを集めた赤本です。
東大受験生のみならず、他の最難関レベルの大学受験生(医学部・京大・一橋・早慶上智等)や英検準1級、TOEIC730点、TOEFLの対策にも有効な問題が載っています。 現代の大学入試では英語の配点が高くなっています。国公立大学文系であれば大体の大学で二次試験は英語と国語・数学の配点が同程度ですし、私立大学文系であれば英語に他の科目の1.5倍~2倍程度の配点が割り振ら ... 続きを見る
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東京大学の英語入試問題の構成
東大の英語入試問題は、おおむね以下のような出題構成になっています。この構成はここ数年安定していると言えます。
大問1. 読解問題
1-A. 要約問題
1-B. 段落補充問題 または 段落の並べ替え問題
大問2. 英作文
図表などの描写・説明問題、意見を述べる問題、段落補充問題、要約問題のカテゴリから2問
大問3. リスニング
大問4. 文法・語法、英文和訳
4-A. 文法・語法問題
4-B. 英文和訳
大問5. 読解問題
空所補充、記述などの総合読解問題
※以下の記事では大問番号は省略します。例えば大問1-A.→1-A.のように記載します。
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東京大学英語問題の特徴
東京大学の英語の特徴を一言で言うと「語彙レベルは私立大学ほど難しくはなく奇をてらった問題や重箱の隅をつつくような問題は全く出題されないが、論理把握力とつかんだ論理を正確にアウトプットする能力はかなり高いレベルで求められる」となります。
1-A.の読解問題は、おおむね20行~30行程度の文章を日本語換算で80字程度に要約するという設問です。ここでは、ダイレクトに文意を正確につかめているかということが求められています。
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1-B.のセンター試験や他大学の問題であれば、単語や熟語レベルの空所補充であったり、せいぜいワンセンテンス程度の空所補充であったりしますが、東大では1段落自体を補充するばかりか、たとえば2011年度1-B.の問題のように4~5つの段落が空欄になっており、その全てを補充できなければ解答できない問題すら出題されます。
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他の文法・語法問題、英文和訳問題に関しても長文の中で設問が設けられている出題形式が多く、センター試験などのような一問一答式の出題ではありません。読解問題は1.では論文調や新聞記事調の問題もみられますが、5.では小説やエッセイが多い題材とされており、総合的な読解力が試される出題傾向と言えます。
東大英語に対応するための考え方
東大を志望する受験生の平均的なレベルを考えてみましょう。
何といっても日本で最難関の大学ですから、出願する受験生も各高校の最高レベルの実力を「入試直前には」持っています。わざわざ「入試直前には」と言ったのは、現役生であれば高校3年4月の時点のレベルは一年余計に勉強している浪人生には及ばないのが通常でしょうし、1年あれば十分に対応できる難易度であろうと考えられるからです。
今の成績は関係ありません。この記事や高校・予備校などの発表する情報を吟味しながら勉強を続ければなんとかなる試験です。
話を元に戻します。
東大は入試本番の時点で受験生のうちでもトップ集団が受験する大学ですから、基本的な事項の取りこぼしは許されません。特に文系は合格する受験生のレベルではどの受験生もかなりの得点をしてくるため英語ではほぼ差がつかないということを肝に銘じておきましょう。
理系であっても平均点はかなりの高得点を取ってくるのではないでしょうか。数学を苦手とする受験生は多いところですから、英語で7割~7割5分は得点しておきたいところです。
英語に関してはオーソドックスな入試問題の形式がかなりハイレベルになったというだけのことですので、奇をてらった勉強をしていく必要はありません。
音読(可能であればシャドーイングも)、語彙チェック、リスニング練習、パラグラフリーディング練習を日常から積み重ねておけば、英作文や語法の聞かれ方への対応を練習することで十分対応可能です。 この記事ではパラグラフリーディングとは何か、アウトラインを解説します。英語のパラグラフリーディングとは一言でいうと「国語現代文と同じレベルで英文を読解する」技術です。 詳細なパラグラフリーディングの方 ... 続きを見る
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偏差値は母集団による変動が大きいですが、あえて言うなら最終的な推奨偏差値は英語で65~75以上、センター試験問題で言えば最低でも175点、できれば190点は当たり前に取れるレベルが目標です。
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東大英語向けの勉強方法~英文法・読解問題
語彙自体は難関私立大学に比較すると難しいものは出題されません。また、語法問題・英文和訳問題でも前後に英文がある中で空欄や下線部を設けて出題されますから、英文和訳問題の下線部に分からない語彙が含まれていても、前後の文脈から意味を推測することで十分に対応可能です。
東大英語に対応する基本の考え方は、「一に読解力、二に読解力、三にリスニング、四にアウトプット力で五に単語力」くらいでちょうど良いです(他の大学でも基本的にそうですが…)。もちろんそれらの基本となる文法力はしっかり固めておくことが前提です。
全般的な勉強方法は本サイト「難関大学受験生には必須の『赤本』に取り組むまでの英語勉強法」で解説しているので割愛しますが、基本的にその勉強方法にプラスしてパラグラフリーディングの練習を積むことで全ての問題形式に対応できると考えます。私のとったパラグラフリーディングの練習方法では問題を解く際に、 この記事では、大学受験生向けに英語の勉強方法の概説、具体的には大学入試の過去問であるいわゆる「赤本」に手をつけるまでにどのように勉強すれば良いか提案します。 私が大学受験生の時、受験勉強をしていた期間 ... 続きを見る
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(1) 問題文全体の文意を把握し
(2) 各段落がどのような意味を持っているのか分析し
(3) 文章全体の意味を完全に把握する
という手順を踏みます。
日常学習では加えて
(4) 文章の要約文を作る
(5) わからない言葉を辞書や和訳文で調べて赤で書き込み、最低10回は音読する
という手順を踏みました。
東大の読解問題では(1)~(4)の手順が繰り返し聞かれていますから、日常学習自体が東大の読解問題と同じパターンで進んでいることになります。そのため、後は入試本番で文章が読めるかどうかということだけが焦点ですから、読解力に関しては上記記事を参考にしてください。
問題集は基本的に何を使っても良いとは思いますが、英文法・語法、英作文に関してはまず1冊を完璧に仕上げることを目標にします。
後は模試や過去問を解く中で、この形式では思うように点数が取れない、というところの問題集を適宜補充して弱点を補強すれば良いでしょう。
英文読解についてはやや事情が異なります。読解力は一朝一夕につくものではなく、ある程度の期間の練習が必要になります。そのため、読解問題集についてはできる限り多く解くようにしましょう。可能であれば他の難関国立大学の読解問題も直近5年分程度はやって音読までしておきたいところです。その中で語彙も覚えられますから、単語学習のウエイトはやや低めでかまいません。
ひとつ、東大の特徴として最後の大問で小説文がテーマとして取り上げられることが多いということがあります。「論理をつないでいく」新聞記事や論文のパラグラフリーディングと異なり、小説は「心理や情景をつなぐ」パラグラフリーディングになりますが、丁寧に読んでいけば必ず解くことができます。また、解釈がぶれるため正解がいくつも存在すると思われるような問題は、少なくとも直近25年分の東大英語では出題されていません。
小説の問題形式に慣れるためには、まずセンター試験の小説大問の問題練習をしてから過去問に入るとよいでしょう。
注意すべきことを挙げるとすれば、「東大だから難しい単語がゴロゴロ出る」と思ってやたらと単語帳だけを追い求めるような勉強方法はアウトということです。
東大の語彙力レベルは難関私大に比較するとそれほど高いというわけではありません。実際にはZ会『速読英単語・必修編』及び『速読英熟語』、旺文社『英単語ターゲット1800』の語彙をマスターした上で、過去問の長文音読を全部10回程度できていれば対応できる程度の語彙レベルでしかありません。
当然それではわからない語彙は出てきますが、前後の文脈から類推する方法を身に着けておけばあまり怖いものではないでしょう。余力のある人はZ会『速読英単語・上級編』をやっておけばそれ以上単語帳をやる必要はありません。
東大の英語は読解力がなければ解けない問題ばかりですから、長文の音読を通して語彙を身に着けておき、単語帳はチェック程度に使うという勉強方法が最短の方法です(これは全ての大学で同じですが、東大は特にその傾向が強いです)。
『速読英単語 上級編』は、英文を読みながら英単語の記憶を行う長文型単語帳です。大学入試向けの教材である『速読英単語』シリーズの最終巻であり、最高難易度の本です。 『速読英単語 上級編』は最難関大学を目 ... 続きを見る 『速読英熟語』は文脈主義で大学入試必須の語彙を習得することを提唱する教材の代表、Z会の速読英単語シリーズの熟語版の参考書です。 英熟語の習得だけではなく、語法問題対策にも効果大 タイトルは『速読英熟語 ... 続きを見る
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東大英語向けの勉強方法~英作文
英作文の出題形式は図の描写問題、意見を述べる問題、英文を英文で要約する問題、英文の1段落が空欄になっておりその段落を補充する問題の4つの形式からランダムに2問出題されます。図の描写問題や意見を述べる問題は、ある程度の話の流れを組み立ててそれに沿って英作文をすれば十分です。
英文を要約する問題、段落補充問題は出題されている英文が読めていないと当然的外れな解答をしてしまいますから、やはり読解力が試されています。読解力+アルファの問題です。
パラグラフリーディングの練習を数多くこなし、英文音読を数多くやっていれば基本的に対応できると思いますが、英作文のコツは「難しい語彙や難しい構文を使う必要はない」ということです。
各大問の配点は決まっていますから、鮮やかで高度な解答をしても加点されるということはありません。それよりも基本的な構文・基本的な語彙・基本的な文法知識で堅実な解答をしていくことを心がけましょう。
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社会人が東大英語に取り組む意味
社会人の方が東大の問題を使って勉強するメリットを紹介します。
社会人が英語を勉強するのは主に英検やTOEIC、TOEFL対策と思いますが、TOEIC、TOEFLの読解力対策に東大の読解問題の出題形式はピッタリだと思います。とかく社会人が英語を勉強する際は「語彙とフレーズ」に特化しがちで、ある程度のまとまりをもった本格的な文章を読むトレーニングをしている人の割合はあまり多くありません。
東大の段落並べ替え形式の読解問題はダイレクトに読解力がどの程度あるか聞いている問題で、ごまかしが一切ききませんから、自分がしっかり英文を読めているかのチェックには最適です。英検の読解問題対策には大問5.の長文読解問題も役に立つでしょう。
ただ、大学受験の赤本は過去問を解けるレベルに達している大学受験生向けに書かれていますから、全般的に解説があっさりで基礎的な知識がないと読みこなせるものではありません。文法・語彙をある程度固めてから一読してみることをおすすめします。 現代の大学入試では英語の配点が高くなっています。国公立大学文系であれば大体の大学で二次試験は英語と国語・数学の配点が同程度ですし、私立大学文系であれば英語に他の科目の1.5倍~2倍程度の配点が割り振ら ... 続きを見る
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