大人気マンガ、「ジョジョの奇妙な冒険」の台詞を英訳し、そこから英語を学ぶというコンセプトの本です。
全部で4章から成っており、名シーンで英語を学ぶもの、感情表現から英語を学ぶもの、有名な決め台詞で英語を学ぶもの、その他名台詞で英語を学ぶものに分かれていますが、解説の有無やページ構成から、1章とそれ以外に分けることができます。
ジョジョの持ち味よりも英語学習を重視した内容
最初の章である「名シーンで英語を学ぶ」のパートの解説は文法にも言及しており、実際の会話で用いられる文法や表現についても触れています。
また、英訳は基本的に一般的な表現に置き換わっており、元々のマンガの持ち味である「奇妙さ」は感じられません。その意味で、「ジョジョの奇妙な冒険」の熱心なファンが読むべき内容というよりも、英語学習の方に比重を置いている読者が好む内容であると言えます。元々会話が持ち味のマンガということもあって、会話の際に覚えておくと良い事柄なども解説されています。
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北浦尚彦『ジョジョの奇妙な冒険で英語を学ぶッ!』 |
ただし、全体を通して、これといって特定のレベルを想定して書かれている内容ではなく、1章の後はほとんど解説がありません。そのため、「この台詞は英訳するとこのようになる」といった紹介になっています。用いられている文法は、全体的に中学校卒業程度のものになっています。
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北浦尚彦『ジョジョの奇妙な冒険で英語を学ぶッ!』 |
原文の奇妙さは盛り込まず、教科書的な素直な英訳を採用
既に触れた通り、英訳は元々の台詞を一般的な意味で表現していて、原文の面白さや奇妙さを巧みに表現したものではありません。これは英語学習者にとっては「そういう言い方ができるのか」という発見に繋がりますが、ジョジョというマンガが好きな人にとっては物足りなく感じる可能性もあります。
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北浦尚彦『ジョジョの奇妙な冒険で英語を学ぶッ!』 |
また、英訳はキレイめで、fuckなどの表現を用いていません。実際、ジョジョの世界の会話では強い強調語や下品なワードを用いるような場面もあるはずですが、実用的な英語としての英訳を意識しているためか、そうした表現も一般的かつ教科書的な範疇に収まっています。
ジョジョを意識したページデザイン
実際のジョジョのマンガのコマをちりばめながら、赤、黒、白を基調とした配色のページ構成になっています。一般的な英語の解説書としては見やすいとは言えませんが、ジョジョという世界観を考えると妥当なデザインと言えるでしょう。その意味で、ファンブックのような扱いで読むのも良いかも知れません。
まとめ
・「ジョジョの奇妙な冒険」の名シーンや名台詞で英語を学ぶコンセプト。
・ジョジョ的な言葉遊びやリズム感は無いが、応用が利きやすく実用的な英文を収録。
・実際の英会話で重要な文法事項が解説されているため、理解しやすい。