洋画で実際に使われた台詞から、日常的に使えるフレーズをピックアップして覚えていくタイプの、参考書というよりも新書に近い本です。
実際の英語から学ぶことができるので実用性は高く、単なる息抜きとして読む本としても、ボキャブラリや表現力を高めるための本としてもオススメです。著者は字幕翻訳者として名高い、戸田奈津子氏です。
7チャプターから成る様々な英語表現を学べる
挨拶・マナーに関するもの、旅先で用いるフレーズ、お店やレストランで使えるフレーズ、喧嘩などの際の言い回し、恋人同士で使えるフレーズ、友達と語り合う際に使えるフレーズ、その他、といった7つのチャプタがあり、それぞれに対して汎用性の高いフレーズが古今様々な映画から引用されています。2015年の比較的新しい映画からも引用されており、中には実際に映画館で耳にしたフレーズもあるかもしれません。
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戸田 奈津子『ときめくフレーズ、きらめくシネマ』 |
固定化された言い回しから、スラングに近い言い回しまで
いわゆるイディオムの解説のほか、スラング的な言い回しまで幅広くカバーしているため、学習到達度に関わらず多くの学習者が学ぶべき点がある本です。また、現在の英語の傾向や若者言葉の特徴などにも触れているため、これらを覚えておくことで実際に映画を鑑賞するときに理解しやすくなるでしょう。
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戸田 奈津子『ときめくフレーズ、きらめくシネマ』 |
全体で100本の映画や俳優のインタビューからフレーズが引用されています。100ものフレーズを一度に覚えることができ、しかも映画の中で使われるほどに一般的かつ洗練された表現ばかりなので、会話のパターンや表現を増やしたいという人にはうってつけです。
加えて、映画自体に関する解説もコラムとして掲載されているため、面白い映画を探すためのガイドとして用いることもできます。洋画を見て英語を勉強したいけれど何を見て良いか分からないという人は、この『ときめくフレーズ、きらめくシネマ』で戸田奈津子氏が推奨する洋画から選んでみてはいかがでしょうか。
日本語訳の幅の広さを再確認することも
戸田奈津子氏は、原文を活かすために時にクセのある意訳を行うことで知られています。その同氏が紹介する英文はそれ自体がとても面白いものですが、それに対して充てられている訳にも注目する価値があります。
逐語的に訳すだけでなく、文意を押さえて一見して全く違う日本語にする大胆さを学ぶ機会にもなるでしょう。本書を読んでみれば、映画を吹き替えで鑑賞することが好きな方でも、字幕で見ることに興味が湧くかもしれませんね。
まとめ
- 引用されている映画は100本、映画自体の解説も付いています。
- スラングからイディオムまで、使用頻度の高いフレーズが満載。
- 洋画が好きな英語学習者には特にオススメです。
洋画「だけ」を使った学習は英語の基礎ができていない初心者には全くお勧めできない方法です。洋画だけで勉強してもほとんどの場合、断片的なフレーズを覚えるにとどまってしまいます(もちろん、学習の一環として洋画を使ってリスニング学習、フレーズ学習をするのはOKです)。洋画を見続けていれば、洋画を字幕なしで理解できるようになるかというと、そんなに甘いものではありません。英検1級合格者だろうがTOEIC満点だろうが、半分くらい理解できればかなりマシなほうですから…