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【レビュー】The New York Times:アメリカの知的水準が高い層向けの英字新聞

The New York Times は、アメリカの日刊新聞です。主な購読者は知的水準の高い人向け、アメリカで発行部数第3位にランクされています。

単独で定期購読もできますが、現在は The Japan Times を購入すると The New York Times の国際版が付いてきます。そのため、地域にもよりますがコンビニや駅ナカの売店でも手に取りやすい米国紙になっています。

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一般紙のためテーマを限定しない記事が手に入る

英字新聞や英字雑誌にはある専門分野を扱ったもの、例えば経済関連中心の The Economist や FORTUNE、経済・金融の The Wall Street Journal、科学関連の New Scientist などがあります。

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これらはそれぞれの記事のテーマが扱う専門分野で働く人が情報収集や市場分析のために読むためには非常に有用なのですが、英語の他に経済や科学などの基本知識を持っている人が読むのが前提となっています。
そのため単に英語で数多くの記事を読んで英語力をつけたい、という人にはやや厳しいものがあるでしょう。

そのため、特に分野を限定しないで純粋に英語の勉強をしたいという場合は一般紙を読むことが良い方法であると考えます。

The New York Times は一般紙で特段英語以外の知識などがなくても読める記事が多いですから、その点では良い教材となり得るでしょう。

ニュース部分を読みこなせるようになったら論説部分にも挑戦

紙面は日本国内の一般紙がとっている構成とほぼ同じで、大項目としてニュース、論説、特集記事となっています。

英語の勉強という観点から見ると、まずは「誰が、どこで、何を、なぜ、どうした」というようないわゆる5W1Hがはっきりと書かれているニュース欄及びスポーツや芸術などを扱った特集欄の記事を読みこなせるようになることが第一歩です。

それなりに難しい語彙は頻出しますし、当然ながら英語学習者向けに加工された記事ではないので、ニュース・特集欄の記事を読みこなすだけでもかなりの語彙力は要求されます。また、毎日読むとした場合は日刊紙ですから読む英文量も相当なものになります。

記事の量や知らない語を調べる手間がかかりすぎて挫折する・投げ出してしまうことを避けるための目安レベルは、TOEICスコアで言うなら850前後から、英検ならば準1級を取得した程度からが無難でしょう。まだそのレベルに達していない場合は通常の学習書で地力を養う方が無駄はありません。

ニュース欄の記事を読みこなせるようになったら、論説の記事、書評の記事をメインに読むと良いでしょう。文章構成がしっかりしているため、読解力養成だけではなく文書作成・段落構成力を磨く上でも役に立ちます。

Web版のOPINION記事:
https://www.nytimes.com/pages/opinion/index.html

論説はいわゆる社説・読者からの投稿の2つがメインとなっていますが、新聞を読む場合この部分が最も読解力が試される部分です。

事実を報道するニュース欄と異なり論説は意見を述べるものですから、その新聞社の考え方が大きく反映される部分です。The New York Times はよくリベラルな論調(アメリカで言えば民主党支持派)であると言われますから、保守的な考え方を持っておられる方にはやや記事の考え方が合わない部分もあるでしょう。

ただ、「書かれていることをありのまま読む」のが読解力養成の前提条件で、「読んだ意見をどう考えるか」はその次の問題ですから、この点は分けて考えなければいけません。

国語(日本語)も英語もそうですが、読解力と「どう考えるか」ということは分けて考える必要があります。The New York Times の論説は政治・経済の考え方にやや特定の傾向はあるものの、文章構成は非常に巧みです。

単なる読解力だけではなくアウトプット力もつけてもうワンランク上の英語力が欲しいという方にはぜひ論説部分の記事まで挑戦してほしいと思います。

私も論説欄は上記のように客観的に読むことを心掛けているものの、たまに見かける本紙の書評(ブック・レビュー)部分はかなり辛口な書評を書くため、私はこの点で「さすがにここまで書くか」と思ったことが何度かありますが…。

英語学習としてなら定期購読よりコンビニなどでの単品購入がお勧め

冒頭にも書きましたが、本紙の国際版は The Japan Times を書店などで購入すれば一緒についてきます。英語学習者として多くの英文を読んで英語力をつけたいという目的であれば、定期購読までする必要はあまり高くはないと考えられます。

英字新聞を読む場合だけではなく、学習で最も気をつけなければならないことは、「あれもこれもと手を広げた結果、結局どれも中途半端になってしまった、量に圧倒されてどれもやらずに終わってしまった」という状態になることです。

そのため、まだ The Japan Times の記事をスラスラ読めないということであれば、英語の地力を地道に伸ばすことを優先してください。具体的には学習書や日本国内の事件・内容を扱った英字新聞(The Japan Times のほか、The Japan News など)を読むことなどを進めておく方が良いでしょう。

これらがスラスラ読めるようになるまでは、The New York Times、The Washington Post などの外国紙、しかも毎日新しいものが届く日刊紙の定期購読はやや背伸びのし過ぎだと思われます。

そのため、学習者レベルとしては例えば週末などの時間のある時に The Japan Times を購入して付いてくる本紙の記事のいくつかに挑戦してみる、その他の時間は学習書で勉強を進める、という、ある意味気楽な読み方にとどめておく方が結局は効果的で無駄がないと言えます。

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まとめ

  • アメリカ国内で発行部数第3位の日刊紙。
  • 想定読者は知的レベルが高めの層。
  • 論説記事の構成が巧みで、文章構成のお手本にもピッタリ。
  • 上級者レベルになってから挑戦するのがおススメ。
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さかえ

さかえ

上智大学法学部国際関係法学科卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。『TIME』『Newsweek』は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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