『The Japan Times ST』は、ジャパンタイムズ社が発行している英語学習者向けの週刊誌です。
本誌である The Japan Times のようにびっしりと英文のみで構成された英字新聞ではなく、TOEICなどの学習者向けに構成された紙面になっています。
英語学習者向けに編集された読みやすく学習しやすい紙面
紙面の量も20面程度と薄く、記事の内容も一つ一つが短くなっています。また、内容もおおよそ4割程度が日本語で、まだあまり学習が進んでいない方ならば目がチカチカするかもしれない、びっしりと英文で埋め尽くされている、といった紙面ではありません。
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ジャパンタイムズ社『The Japan Times ST 2017/2/17版』 |
上の画像のとおり、記事によっては見出しや記事の要約が入っていますから、英文を読む前に大まかな内容が分かる構成となっています。
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ジャパンタイムズ社『The Japan Times ST 2017/2/17版』 |
また、いくつかのトピック記事には英文の和訳も紙面に掲載されていますし、紙面に和訳の掲載がない記事でも、公式サイトから全訳を参照することができます。
英文を読むこと自体にまだ不安がある方、頑張って英文を読んだけれど本当に間違いなく読めていたかは分からないという不安を抱えている方は、これを利用して和訳を読んでチェックすることが可能です。学習者向けに語彙の脚注や文法の解説が適宜入れられていますから、辞書を用意しなくても読むことが読み進めることができます。
全般的に、基本的な学習書や単語集を一通り終えていつかは英字新聞や英字誌を読みこなしてみたいと思っておられるレベルの方が、本格的な英字新聞に挑戦する前に読んだ英文量を増やして慣れておきたいというときにピッタリでしょう。
記事の内容は総合誌と同じく広範囲
記事の構成や語彙レベル、紙面は学習者向けに加工されていますが、内容については本格的な総合誌と同様かなり広い範囲になっています。
基本的に1面で国内の時事問題、スポーツなど比較的親しみやすいトピックを扱った3面のEASY READINGのコーナーなどをはじめ、社会情勢から映画・音楽などの文化記事、国際ニュースまで幅広くカバーしています。
英文については内容のエッセンスを凝縮して短くすること、語彙や文法知識の解説を適宜挿入することで学習者向けに記事を加工しつつも、内容については記事を読んでいくだけである程度その週のニュースを網羅できる構成になっています。
The Japan Times 本誌など、学習者向けに編集されていない本格的な英字新聞に取り組む際に挫折の可能性を高める大きな原因には、英語力不足のほかに「その記事のトピックについてなじみがないため読みこなせない」ということもあります。
その点からみても、「英文の難易度や構成は学習者向けに加工されていつつも、内容についてはある程度の範囲・分野を広くカバーしている」記事を読むということは、大きなメリットがります。
【レビュー】The Japan Times:TOEIC900以上も十分に狙える日本の英字新聞の代表格
学習者向けのコンテンツも充実
TOEICテスト向けの「TOEICテスト ReadingSection 徹底演習」や、英作文練習向けの「目からウロコの英文ライティング」など、学習者向けのコーナーも充実しています。
特に英文ライティングのご担当は代々木ゼミナール講師の大矢復先生で、読者から投稿された英作文答案を紹介し、どこが間違っているか、どう直せばよいかを丁寧に解説しています。
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ジャパンタイムズ社『The Japan Times ST 2017/2/17版』 |
課題はシンプルな英文和訳から、漫画の内容を英語で説明するといったちょっと変化球のような問題が出題されるときもあります。ちなみに蛇足かもしれませんが、絵や漫画の内容を英語で説明、という問題は特に東京大学の入試問題で頻出の出題パターンでもあります。
課題はシンプルな英文和訳については日本語で2~3行程度の短い文章ですが、文法知識の急所、接続詞の急所をおさえた問題が出題されています。
文法知識・語彙力レベルを確認するために英作文は最も良い訓練ですから、このコーナーに掲載されている問題は学習者の視点からすると特に取り組んでほしい部分です。
TOEIC向けのリーディング練習、英検や大学受験の英作文対策に最適
TOEICは「初級者も上級者も同じ問題を解く」という試験の性質上、上級者でなければ英文もわからなければ内容も全く分からないようなハイレベルの英文がリーディングで出題されるようなことはあまりありません。
また、一つ一つの英文の長さもさして長いものではありません。TIME や The Economist、FORTUNE といった本格的な英字誌は、TOEIC向けのリーディング練習という観点だけを考えるのであれば完全にやりすぎです。
(本格的に英語を使ったビジネスをしたい、国際的な活躍をしたい、ということであればこれらの本格的な英字新聞や雑誌を読むことは避けて通れないと思いますが。)
TOEICのリーディングセクションについてスコアを伸ばすことだけを考えるのであれば効果的な学習方法は、「適度な長さの、ある程度読みやすいレベルの内容の英文を、本数を多く読むこと」で、本紙の構成がぴったりマッチします。
そのため、TOEICのリーディングセクションの得点を伸ばしたい人には最適な教材です。英文レベルからみると、TOEICスコア500点以上の人から取り組むことができるでしょう。
上限を見るのであれば、リーディングセクションで9割、トータルのスコアで800点くらいを取れる人が900点台に乗せる、といったレベルまでは対応できると考えます。
大学受験の英文読解ならTOEICで750程度のスコアが取れる実力があれば、英語についてはほぼどの大学でも問題なく合格できると思われますので、大学受験生にもおススメです。
大学受験生の場合、特に英作文に苦手意識を持っている学生も多いと感じています。講師も代ゼミの先生ですし、「英文ライティング」のコーナーは大きなヒントになるでしょう。
まとめ
- ジャパンタイムズ社が発行する初~中級の英語学習者向けの英字紙。
- 英語学習者の便宜を考慮した紙面構成と英文レベルで学習しやすい。
- 記事の内容は広範囲をカバーしているので、本格的な英字新聞にチャレンジする前のステップアップに。
- 学習者向けのヒントとなるコーナーが充実しており、TOEICスコアを伸ばしたい方や大学受験生におススメ。
学習用の The Japan Times とはいえ、語彙レベル自体は本誌の記事と大きくは変わらないので、時事英語のボキャビル素材としても極めて優秀な週刊誌です。本誌を読むのは、この The Japan Times ST を脚注なしで理解できるようになってからでも遅くはありません。別売のCDを使えばリスニングの練習もできます(The Japan Times 本誌にはCD等はもちろんありません)。The Japan Times ST を読む前段階の学習書としては、Z会『速読速聴・英単語 Core 1900』あたりをお勧めしておきます。