NHKラジオの英語ドラマ『リトル・チャロ』のストーリー部分をつなげた本です。英語に抵抗感がある人でも、子犬のチャロの物語を通して楽しみながら長文読解の学習ができます。
英語で物語を読む楽しさを知ることができる本
『リトル・チャロ』は、子犬のチャロがニューヨークの空港で飼い主とはぐれてしまったところから冒険が始まり、全部で17のエピソードが収録されています。
本文は一部に日本語の語句が挿入されていますが、それ以外は全て英語です。和訳は本の後半に掲載してあり、リーディング学習用では一般的な「英和対訳方式」のレイアウトにはなっていません。また、受験参考書のような文法を解説するスタイルでもありません。
![]() |
![]() |
NHK出版『Little Charo リトル・チャロ 完全版 1 Lost in New York』 |
英語力に自信がない人には、英語で物語を読むなんでとんでもない!と思っている方もいるのではないでしょうか?『リトル・チャロ』は学習者が理解しやすいように考えられたセリフで構成されているので、長文でもモチベーションを維持して物語を読み進めていけます。
セリフが理解しやすいのは、難しい語句は簡単な語句に言い換えたり説明したりしているからです。途中で挫折せず読み進めたくなるようなストーリー展開となっており、英語学習にとって大切な「継続」という観点でも優れた本です。
『リトル・チャロ』は記憶に残る感動的なストーリーが展開していきます。英語の長文を読んでも、内容に興味がなければ英文を必死に暗記しなければいけません。
しかし、『リトル・チャロ』ならその感動とともに、英文が自然と記憶に残っていきます。他の英文を読んだとき「リトル・チャロのあの部分で使われていた語句だ!」という風に、後から記憶を呼び起こすことができるのです。
日本語に頼らずに英語の長文を読む練習ができる
学校での英語の授業に慣れていると、英文の下に日本語があって照らし合わせることが当たり前だと感じてしまいます。
しかし、英語で長文を読めるようになるためには、日本語に頼らず、英語で文章をたくさん読むことが重要です。本の前半は英語の本文で、後半はその和訳という構成になっています。
![]() |
![]() |
NHK出版『Little Charo リトル・チャロ 完全版 1 Lost in New York』 |
英語で長文を読むことに慣れていて、ある程度の英語力がある学習者なら、後半の和訳なしで英語本文をどんどん読み進めましょう。ストーリー全てを英語で読み終えてから、不明点や理解が浅かった部分を和訳で確認することをお勧めします。
英語力にあまり自信がない場合は、本文が理解できているかを「エピソード」ごとに和訳で確認します。自信がないからと言って、英語を1文読んで和訳も1文、というように交互に読んでいくのはお勧めできません。時間がかかるばかりでなく、英語の長文を読んでいる意味がなくなるからです。「エピソード」ごとに英語と日本語の切り替えをしていきましょう。
まとめ
- 洋書を読む感覚で英語の長文を読むことができる。
- 記憶に残りやすい感動的な物語で英語力をつける。
- 日本語にとらわれずに英語で文章を読む訓練ができる。
日常会話の基礎が詰まっているとても良い本です。確かにつまらない会話本を読むよりも、面白いストーリーを読んだ方が会話文が記憶に残りやすく感じます。リトル・チャロの音読とリスニングを何度も繰り返せば、基礎的なスピーキングは問題なく習得できるのでないでしょうか?CDが別売なのがやや残念なところです(NHKケチだな(笑))。レビューしているのは2008年の古いバージョンですが、興味がある方は近年のバージョンを購入することをお勧めします。