英検1級筆記試験において、厳しいハードルのひとつと言われる英作文問題。その攻略法を具体的・実践的に学べる参考書です。2次試験対策としても利用できます。
英検1級試験における英作文
英検1級の1次試験(筆記)について、2016年度第1回検定から、出題形式および配点の基準が一部変更されました。
https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/2016renewal.html
https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/2016scoring_w_info.html(英検公式サイト)
1次試験全体における英作文の得点比重は1/3を占めます。1次試験を突破するためには、英作文の攻略は欠かせません。
しかし英作文といっても、何をどのようにしたらいいか……と悩む人も多いことでしょう。書店で参考書を探しても、英検1級向けはラインアップも少なく、まして英作文用となれば見つけにくいのが実情です。そんな状況のなか、旺文社発行の『英検1級 英作文問題』は、1級受験者にとって待望の一冊でした。
英作文問題をどう攻略するかを学べる
この参考書の特色は、大きく3つあげられます。第一に、英語でのエッセー(作文)の書き方が、詳しく解説されていること。第二に、豊富なテーマの練習問題があること。さらに、優れた別冊資料がついていること、です。
「Chapter1(ウォーミングアップ)」として解説されている「英作文の書き方」は、非常に役に立つ内容です。出題の形式など概要から、テーマの傾向、評価基準や時間配分まで、わかりやすく具体的に説明がなされています。
受験者なら誰もが気になる疑問について、明確に、ていねいに解説されていますので、ここはじっくりと読みこんでください。英作文の試験で「すべきこと、してはいけないこと」が、すっきりと頭に入ります。
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旺文社『英検1級 英作文問題』 |
注:本書は2014年初版発行です。現行の試験内容と若干異なる記述もありますが、基本的な部分は活用できるはずです。最新の情報は、前述の英検公式サイトおよび旺文社の「英検新試験情報サイト」を参考にしてください。
https://www.obunsha.co.jp/webroot/pr/new_eiken/
豊富な練習問題
「Chapter2(練習問題)」「Chapter3(模擬テスト)」は、計13問の模試形式の練習問題となっています。(章分けされてはいますが、内容は同じです)
Chapter2はUnit1~Unit 10まで、10項目のテーマを設定。Chapter3は社会・国際・サイエンスの頻出3分野に絞った模試となっています。
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旺文社『英検1級 英作文問題』 |
どのテーマも「賛成」「反対」の両パターンについて模範解答があり、日本語訳とその解説という構成です。この模範解答については、語彙・構文ともに「模範」解答らしく、きっちりとまとまった文章となっています。ここまで完成度が高くないとダメだろうか、とおじけづく人もいるかもしれません。
しかし文法的にミスがなく、言いたいことが論理的に書かれていれば、もう少しシンプルな文章でも十分合格点が取れるはずです。あくまで、自分なりの文章を書く参考として利用していけばよいでしょう。
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旺文社『英検1級 英作文問題』 |
2次試験や準1級試験の対策にも有効
別冊で付属している「時事解説&単語ブック」は、最近話題のトピック30について対話形式で論じた文章が載っています。見開き左ページに英文、右ページに解説と語彙・フレーズという構成です。1級受験者向けということからか、英文の日本語訳はついていません。
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旺文社『英検1級 英作文問題』 |
「少子高齢化」「夫婦別姓」など、英作文問題だけでなく、2次試験の面接にも取り上げられそうなトピックが満載。スピーチ展開の参考にもなるでしょう。文中、太字で強調されている重要語句のほか、関連する語彙・フレーズもぜひチェックしておきたいものばかりです。
また、2016年より準1級でも英作文の内容が変わりました。これまでの「Eメール形式」から、旧1級試験でおなじみの「POINTS」を用いたエッセー形式となっています。要求される文字数こそ違いますが、内容は準1級の英作文にも応用可能です。「1級向け」にひるまず、準1級受験者にもぜひ使っていただきたい参考書です。
まとめ
- 英検1級・英作文問題を一から学べる、実践的な参考書です。
- 豊富な練習問題で、テーマに対して賛成・反対、両方の解答を学べます。
- 1級の2次試験や、準1級の英作文対策にも利用できます。
試験でもない限りトレーニングすることを後回しにしがちなのが「英作文」です。英検1級では英語で小論文を書くことが求められているわけですが、これが英検が実用的ではないと言われる原因ともなっていますね(日常生活で小論文を書く機会はあまりないですから…)。日本語で小論文を書くことが苦手な人は、どんなに英語力が高くても(ネイティブスピーカー並でも)英作文問題は苦手ということになってしまいます(時事問題も苦手な人が多いです)。英検は純粋な英語力を測っていないのが、検定試験としてどうなのか?と思ってしまいますね(スピーチもまたしかり)。