英字新聞『The Japan Times』の社説集を通じて時事英語の長文読解・語彙が学べる本です。社説以外にも記事を読み上げたCDが付属しており、長文リスニングのトレーニングも可能となっています。
年間を通じて上半期版と下半期版が出版されていますが、本記事は2016年の下半期版のレビューです。
The Japan Times の社説が税別1600円で読める
The Japan Times は1897年に創刊された日本最古の英字新聞です。
TOEICの上級者であれば、TOEIC関連書籍でジャパンタイムズ社から出版された本があるため、名前を知っているという人も多いはずです。そして、国内で英字新聞を読むことを日課としている人はこの新聞の存在を知らないひとはまずいないでしょう。
月額5143円、半年で29314円(いずれも2017年9月現在)の購読料がかかりますが、米国のNYタイムズと業務提携しており、NYタイムズの記事との2部構成で販売されています。The Japan Times と The New York Times の記事を併せて読めるのでお買い得感はありますが、一般的な感覚では、やはり月に5000円以上の出費は大きいのではないでしょうか。
一方、『The Japan Times 社説集』は1600円で半年分の社説をまとめて読むことができますので、The Japan Times の記事を読みたいけど、高くて手が出ないという人はこの本を活用するのが良いでしょう。
【レビュー】The Japan Times:TOEIC900以上も十分に狙える日本の英字新聞の代表格
国内外の主要な政治経済ニュースを英語で学べる
取り上げられているニュースの分野は国際、国内政治・外交、経済・財政、社会・文化といったバリエーションとなっていますが、主に国際、国内政治・外交が多くを占めます。
2016年6月に行われたイギリスのEU離脱の国民投票や小池百合子東京都知事の当選後の課題、GDPのデータが示す未来、天皇陛下の生前退位についてなど、2016年下半期の重大ニュースをほぼ網羅しています。
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ジャパンタイムズ『The Japan Times 社説集 2016年下半期』 |
国内のニュースを日本語で読むなら日本の新聞を、海外のニュースだけを読みたいのであれば、欧米の新聞を読むべきですが、日本のニュースと海外のニュースを両方とも英語でかつ主要ニュースだけを厳選して読みたいのであれば、この本は非常に優位性があると言えるでしょう。
TOEICのスコアに直結する文章
この社説集の1記事あたりの文章はとても長いため、段落分けされています。段落一つの文字数はとても多いわけではありませんので、すき間時間や一日に読む段落数を決めて読むことができます。
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ジャパンタイムズ『The Japan Times 社説集 2016年下半期』 |
また、読解力に自信がない人でも「About This Editorial」という記事の概要を日本語で説明したものや語注を参照すれば読み進めることができるでしょう。また、各章の最後に全訳もありますので、自分の理解が合っているかどうかの確認もできます。
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ジャパンタイムズ『The Japan Times 社説集 2016年下半期』 |
文章自体も「represent」や「vacancy」「endorse」「outcome」などTOEICの本試験に頻出する単語を使用して書かれており、TOEIC受験経験者にとっては慣れ親しんだ文章となっています。
しかし、中には難単語や専門用語も含まれており侮ることはできません。全体的にバランスのとれた難易度になっていると言えるでしょう。TOEICスコアが800点以上あると内容理解もスムーズにいくのではないでしょうか。
社説をそのまま読み上げたリスニングCDが付属
読み上げ速度を測定したところ、約140~150語/分で収録されていました。学習書付属のCDとしては標準的な速度ですが、そもそも読んでも難しい英字新聞の社説なので、リスニング一発で理解できれば、相当な上級者と言えます。
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ジャパンタイムズ『The Japan Times 社説集 2016年下半期』付属CD(1枚組) |
理解しやすい英会話系のCDとは異なり、文法力・読解力・リスニング力・語彙・時事に関する知識が全て揃っていなければ、簡単に理解できるものではありません。
まずは、テキストの読解・音読から始め、慣れてきたらCDを何度もリスニングする方法をお勧め致します。
まとめ
- 高価な The Japan Times の社説記事を税別1600円(CD付)で読むことができます。
- 日本のニュースと海外のニュースの両方を英語で知るにはうってつけの教材です。
- TOEICライクな文章のため、TOEICスコアの上昇も見込めます。
The Japan Timesが余裕で読めるようになったとき、TOEICスコアは900点を超えています。TOEICで高得点を取るためには、対策本でちまちまマークシートの問題を解いているよりも、普段読む英文の読解負荷を高く(難易度の高い英文を読む)したほうが早いし、何より実践的な読解力が身に付きますね。