明快な文体と洗練されたイラストで、文法・語法の本質(コア)をわかりやすく説明する英文法書です。共著者の一人である、現役の高校英語教師の視点が生かされています。
表現英文法を概観する
「英語=日本語」の一対一対応で明示される受験英文法では、丸暗記学習が当然とされています。けれども、苦労のわりには忘れやすく、記憶再生のための手がかりに乏しいです。
一方、表現英文法では、文脈に左右されない本質的な意味を持つ文法・語法のコアを、シンプルなイメージ図で把握します。その概念がわかれば、言葉への気付きが促されるでしょう。さらには、類似する文法・語法の違いが明確になり、使える英文法知識としての理解が深まるようになるのです。
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田中 茂範『イメージでわかる表現英文法』 |
視覚化された英文法のコアへの理解を促す構成
理解につまずきやすい文法・語法項目を扱う8つのパート構成です。各パートは、3~4つのセクションが割り当てられています。
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田中 茂範『イメージでわかる表現英文法』 |
最大の特徴は、文法・語法のコアな意味をイメージ図と平易な表現で提示することにあります。それを可能にしているのは、読み手の理解を促すためのシンプルなイラストでしょう。
イラストを担当する神山きの氏は、中学・高校の英語教員の経験があるグラフィックデザイナー兼イラストレーターです。「CORE IMAGE」の囲みコラムと要所にあるイラストは、その英語指導経験が生かされているものとなっています。
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田中 茂範『イメージでわかる表現英文法』 |
英文法学習の視点を捉え直すきっかけを与える
読者に語り掛けるような文面とシンプルなイラストのおかげで、難解な文法説明に抵抗がある方にとっては、気軽に読める英語学び直し教材となるでしょう。また、分析的な英文法学習を得意とする方には、言葉に対する新たな着眼点を与えてくれます。
意味の区別が付きにくい文法・語法の概念を丁寧にまとめ、読み手の理解を捗らせる内容となっています。けれども、厳選された項目数のわりには、ページ数・文字数ともに分量が多いです。そのため、文法の全体像を体系的に速習したい方には、理解への負担がかかるものになるでしょう。
文法項目と使用語彙・構文は、中学・高校の学習内容が中心です。TOEICテストスコア400~550、もしくは英検準2級程度の英語力があれば、独学で読み進められます。それ以上の中・上級英語学習者は、イラストとともに英文法の奥深さを味わうというスタンスで読んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
- 文法・語法の本質をイメージ図とともに解説する英文法書です。
- 表現英文法の視点から、言葉への気付きを促します。
- シンプルなイラストのおかげで、英文法概念への理解が捗ります。