『TOEIC L&R テストレベル別問題集』シリーズの最終巻です。
このシリーズは他にも470点、600点、730点、860点突破レベルの4冊が刊行されています。そのため、すでにスコア860点を超えている学習者が満点を目指すための教材だと言えるでしょう。
世界を舞台に活躍したい人向け
『TOEIC L&R テストレベル別問題集 990点制覇』はTOEICの魅力に取りつかれ、本試験で満点を狙うTOEICオタクやトーイッカーと呼ばれる人達だけに向けられた本ではありません。
TOEICの問題集を通じてトップレベルの英語力を身に付けたい人や世界を舞台に活躍し、世界に貢献する「人財」になりたい人といったより広い視野でTOEICを学習している人を対象としています。
ただスコアアップさえできればそれで終わりといった趣旨の参考書が多い中、この本は異彩を放っていますが、それには大いに賛同できます。
経済のグローバル化が進行し、社内の公用語を英語にする企業が増える中、ビジネス英語の知識が豊富な社員、つまりTOEICテストのスコアが満点付近にいる社員はクライアント企業とのタフな交渉やプレゼンテーションもしっかりとこなせる人物として評価されるのが当然です。
TOEICを単なる趣味に終わらせるのではなく、「グローバルビジネスの最前線に立つ人物になって欲しい」そのようなメッセージがこの教材に詰まっているのではないでしょうか。
忙しい人でも毎日学習できるレイアウト
『TOEIC L&R テストレベル別問題集 990点制覇』は社会人など多くの空き時間が取れない人でも継続して学習できる配慮がされています。
24日間で全ての問題を終えるようになっており、前半がリスニングパート、後半がリーディングパートです。
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安河内 哲也『TOEIC L&R テストレベル別問題集 990点制覇』 |
1日10分前後で終えられる問題数であり、通勤時間中でも解けます。リスニング、リーディングどちらにも偏ることなく学習したいということであれば、2日分並行して解くのをお勧めします。
この分量だと990点を目指し始めたばかりの人が、多くの難問を前に挫折することなく最後まで解き終えることができるでしょう。
語彙力の重要性を認識できる
『TOEIC L&R テストレベル別問題集 990点制覇』は著者によるコラムが全く無く、問題をどんどん解いていくスタイルとなっています。
また、解答・解説ではパート3、4、6、7に回答のポイントとなる文やフレーズが紫色で表示されているので、すぐに参照することができます。
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安河内 哲也『TOEIC L&R テストレベル別問題集 990点制覇』 |
中でも特に目を引くのが、語彙が解答・解説と取り組んだDAYの最後にまとめて掲載されていることです。一般的なTOEICの参考書だと単語や句動詞は解答・解説に一度掲載されれば終了となりますが、二度掲載されているケースはあまりありません。
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安河内 哲也『TOEIC L&R テストレベル別問題集 990点制覇』 |
満点取得を目指す人は語彙力の強化に努めることがいかに大切か身をもって知ることができるでしょう。
まとめ
- 世界に貢献したいという大きな目標を持っている人も対象となる問題集です。
- リスニングとリーディングを片方だけもしくは両方を少しずつ進められるので忙しい人に最適です。
- 語彙力を上げることがいかに大切であるかを認識できる教材です。
TOEIC900~990でもクライアントとの交渉やプレゼンとなるとお手上げという方も現実には多いですね。単にTOEICのスコアアップしたいがための勉強をすると、こうなってしまいます。英検1級も同じで、単に試験に合格するための勉強をすると検定試験はハイレベルなのに、なぜか「検定試験とは関係がない洋書は読めない」「海外に行っても会話が通じない」というおかしな英語力になっていまいます。TOEICや英検は所詮ペーパーテストというところがありますので、スコアや級にこだわりすぎるのはダメです。何よりも大切なのは「実践で使えるかどうか」ですから。