大学受験生向けの文法解説書兼問題集で、『山口俊治 英文法 講義の実況中継』シリーズの第一巻です。著者の山口俊二氏は、元・日本医科大学教授で現在は翻訳業をされているようです。
山口俊治 英文法講義の実況中継の概要:どうしても文法って面白くない…そんなこと今日から言わせない!
文法の学習の取っつきにくさは、本サイトのお悩み相談でも取り上げられています。
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文法を制することは英語学習の要でもありますが、確かに、嫌になってしまう気持ちも分かります。そんな人にオススメしたいのが本書です。
講義に定評がある著者の講義を一語一句書き取った学生がいて、その学生の偏差値が30台から70台にアップした!という経験を踏まえて、この「実況中継型」の解説書が誕生したそうです。
執筆当時囲碁6段の腕前からも分かるように、論理的で明快な説明が特徴の文体は無駄がなく、非常に分かりやすいです。今まで文法に強烈な苦手意識があった人でもこの一冊で意識が変わるはずです。
大学受験生向けだが、文法に苦手意識があるなら検討の価値アリ
『山口俊治 英文法講義の実況中継』は大学受験向け、ですが著者は検定受験生にも使ってもらえるのはないかと前書きに書いていました。
確かに大学受験のテクニック本という印象はなく、英文法を確実に理解して使えるようになる、ということに重点を置いてあるように感じます。
大学受験用の本に多い「大学受験特化」という雰囲気や形式は良い意味で「無い」ので、文法がただ単に苦手意識のある社会人、など対象者は広いと思います。大学受験レベルの英文法が怪しい人は受験予定の有無に関わらず利用を検討してみてください。
問題がとにかく随所に豊富!
『山口俊治 英文法講義の実況中継』の第一巻は251ページで30回構成です。第一巻で取り上げられていない文法単元は第二巻に収録されています。別冊は113ページあります。
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山口 俊治『山口俊治 英文法講義の実況中継 1』 |
各回は問題がいくつか出てきて、それを著者が語り口調で解説していくスタイルです。ところどころに図が出てきて理解を助けてくれます。
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山口 俊治『山口俊治 英文法講義の実況中継 1』 |
別冊問題集は各回で学習したことを直接活かせる貴重な場でもあるので必ず取り組んでほしいです。解説もついています。
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山口 俊治『山口俊治 英文法講義の実況中継 1』 |
本当に苦手な人は赤文字を押さえて!問題集演習までが勉強だと心得て。
大学受験生をメインにお勧めします。英文法は読解や英作文で正確な知識と理解が問われますから、本書でぜひ基本的な考え方をマスターしてほしいです。
本当に苦手意識のある人はまずは「赤文字を押さえる」ことから始めてもいいと思います。(著者もポイントはまず赤文字を押さえることだと書いていました。)
講義を理解した上で別冊問題集を解くことも重要です。得てして、英文法は解説に納得して演習をサボってしまう傾向にあります。別冊の問題集もフル活用して理解を深めることが重要です。
前日の晩に解説パートを読んで、日中に別冊だけ持ち歩いて演習をして、その日の晩に復習と次の解説パートを読む、というサイクルなんていかがでしょうか。 高校英語が難しく感じる理由 中学校までは暗記でなんとか対処してきたけれど、高校英語のレベルになると、急に難しくなったと感じる人も多いのではないでしょうか。 覚えるべき単語数が増えるというのも理由の一つ ... 続きを見る
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まとめ
- 分かりやすい解説が冴えた実況中継型の文法解説書です。
- 別冊の問題集で演習量もカバーできます。
- 大学受験生や文法に苦手意識がある人には是非検討してほしい一冊です。
編集長からひとこと
英語の参考書には大学受験生向けと一般向けの2種類がありますが、社会人だからといって大学受験生向けを読んではいけないというルールはありません。社会人や大学生だとTOEICのスコアアップを目標として英語を勉強している方が多いのですが、TOEIC本にこだわる必要は全くなく、大学受験コーナーにも目を向けて自分にとって理解しやすい本を選択しましょう。特に文法は大学受験コーナーに良書が揃っていますよ?