高校の世界史教科書として定評がある東京書籍『世界史B』を全文英訳した1冊。『世界史B』で高校の授業を受けている、あるいは高校時代に使っていた学習者にとって、英語で世界史を勉強するための良きパートナーになること間違いなしです。
ワンランク上の英語力を目指す方へ
英語学習を進めていくと、いくつもの壁が現れることがあります。英語で知的な会話をしようとすると、自分の語彙力のなさにくやしい思いをすることも増えてきます。これは、日本人が学校教育を全て日本語で受けているため、学問的な英語力が欠けていることが原因の1つです。
外国の文化や芸術を理解する上で、歴史的な知識は必須になります。それを会話の中で使えるようにするためのステップとして、世界史の全てを英語で読破するというのが本書のコンセプトです。
ルビも最低限に留めた本格的なレイアウト
まさに外国の学校で使われている世界史の教科書といったレイアウトになっています。
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本村 凌二『英語で読む高校世界史』 |
チャプターの名称と、難しい単語に振られた最低限のルビ以外に、日本語の説明は一切載せられていません。『世界史B』の完全対訳という位置付けであるため、日本語の原書を所有していることを前提に学習を進めることになります。
世界史学習と英語学習をセットで行う
高校で世界史を勉強している生徒が、授業の進行に合わせて読むという使い方がおすすめです。日本語で勉強した内容をすぐに英語で復習できるので、意味を取り違えるという心配がありません。
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本村 凌二『英語で読む高校世界史』 |
ただし、文章はあえて平易な英語では書かれていないため、TOEICスコア600点以上レベルの学習者でなければ、英文の構造的に戸惑うところも少なくありません。
そこで、単に読み物としてだけではなく、英文読解の教材として利用することがおすすめです。積極的に本に書き込みを入れていき、主語と述語の対応や、修飾関係を見えやすくしていけば、長文読解の良き練習相手になります。もちろん社会人の方も、懐かしい教科書を引っ張り出してきて、もう一度世界史を勉強するきっかけとして使えます。
巻末の索引が便利
巻末には日英両方の索引が掲載されています。一般的な英語辞書にも載っていないような歴史関係の単語が多く載っているので、学習の最終段階の理解度の自己チェックにも活用が可能です。
まとめ
- 高校の教科書として定評のある東京書籍『世界史B』を全文英訳した1冊。
- ルビ訳は最低限であり、本格的に世界史を英語で勉強したい人にとって唯一無二の教材。
- ワンランク上の英語力目指す学習者にとって、良質な英文が詰まった良きパートナー。
レビューア推奨は「高校で世界史を勉強している生徒が併用する」ですが、推奨学習者はTOEIC600以上(大学受験換算では難関大合格水準)ということで、ほとんどの高校生は英文の難しさに戸惑うかもしれません。高校生の場合全部読む必要はないので、興味のある個所を日本語の世界史の教科書と対比して読んでいきましょう。難関大学の長文対策としても、かなり有効な本です。検定試験なら英検準1級合格を狙う学習者にちょうどよいレベル感&題材ですね。