“洋書を読める人”のイメージとは?
以前、病院の待合室でペーパーバック(廉価版の洋書)を読んでいたとき、隣に座った人から突然「英語読めるんですか、すごいですね」と言われて驚いたことがあります。実は軽い読み物的なもので、単語レベルも中学英語に毛が生えた程度だったのですが…。
洋書を読むには、かなりの英語スキルがないと無理、というのが一般的なイメージかもしれませんね。しかし、実際にはそんなことはありません。英検3~4級程度のビギナーからでも、洋書を楽しむことは可能です。ぜひ気軽にトライしてみてください。
レベルにあわせた本選びを
洋書の導入段階におすすめなのは、ラダーシリーズやペンギンリーダースなどの多読入門用シリーズです。これらのシリーズは、レベル別に語彙数を制限し、やさしい言葉で書いてありますので、辞書をいちいち引かずとも読めるようになっています。なじみのある物語や映画、有名人のストーリーなどを扱っていて、内容に関してある程度察しがつくのもよい点です。短くコンパクトにまとめてあり、本自体も薄いので、読み切った達成感も味わうことができます。
初めて取り組むなら、「簡単すぎるかな?」と思うくらいのものを選んでください。具体的には、実際にページをめくってみて、ほとんどの単語に見覚えがある、くらいのレベルがよいでしょう。
ペーパーバックや英字新聞はハードルが高い
こうした入門シリーズではなく、いきなりペーパーバックに挑む人も意外といるようですが、実際のところ、これはなかなか大変です。たとえば「ハリー・ポッターなら子供向けだから読めるかも…」などと思ったら大間違い。途中で挫折した人も多いのではないでしょうか?このシリーズは、なじみのない固有名詞や造語をはじめ、背景知識なしでは理解できない言葉遊びだらけです。DVDを何度も見ていてほぼ中身を覚えている、というような人を除けば、少なくとも英検準1級程度の力がないと厳しいでしょう。
ハリー・ポッターに限らず、人気映画の原作本などを読みたい気持ちはわかりますが、中級者以下は、前述の初心者向けシリーズから始めるのが無難。そして少しずつ難度を上げていきましょう。そのほうが、やがてさまざまな作品を無理なく楽しめるようになります。
では英字新聞はどうでしょうか。新聞は最新のニュースを取り上げていますので、旬の話題に関する単語が学べるのも利点です。ただ、学習のためにと読み始めたものの続かない…というのは「英語学習あるある」かもしれませんね。これも、日刊ではなく学習者向けの週刊タイプのものにするとか、楽に読める量・難易度のものを選ぶのがコツです。いきなり政治・経済などの長文記事にチャレンジするより、テレビ欄や天気予報欄などから慣れていく、というのも一案です。
辞書を引きながら読むのはダメ?
よく、辞書を引かずにひたすら読めということも聞きますが、これはケースバイケースだと私は考えます。自分の読みのスピードやリズムに応じて、臨機応変に考えればよいのではないでしょうか。
大切なのは、読もうとする気持ちを萎えさせないということです。辞書引きばかりでちっとも進まないのでは、途中で嫌になってしまいます。かといって分からない言葉ばかりでは面白さを感じられませんね。こちらも嫌になってしまえば同じこと。必要に応じて辞書を引いてもかまいませんが、できれば辞書に頼らなくてもすむように、やさしいものや対訳式の本を選ぶのがセオリーです。対訳式なら、少し難しい語彙や構文が出てきても訳を参照できますので、ストレスが少ないです。
もしマンガ好きなら、英訳された日本のマンガはいかがでしょうか。これならストーリーを理解しやすいです。最近は英語版コミックを置いている書店も多くなりましたね。
図書館などをうまく利用しよう
ただ、洋書は購入するとなると思ったより値が張ります。ブックオフなどの古書店を利用するのもいいですが、私のおすすめは図書館です。ペーパーバックだけでなく、絵本や事典類もあったりして、ビギナーからでも楽しめます。私はついでに翻訳版も一緒に借りたりしました。自分の訳と、翻訳文とを比べてみるのも勉強になりますよ。
いずれにせよ、「難しそう…」と敬遠せず、まずは簡単そうなもの、とっつきやすいところから試してみることです。勉強のために…というより、楽しむために読む。そんなふうに考えたほうが、きっと長続きすることでしょう。
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洋書を入手するもう一つのおすすめの方法はスマホアプリ「Kindle」です。書店で買うよりもかなり安いですし、Kindle Unlimitedを契約していれば図書館ライクに10冊まで借りて読むことができます。スマホで本を読むメリットは「どこでも読むことができる(※隠れキリシタンのようにこっそり洋書を読めます(笑))」「タップ一発で辞書引きできる」「PC版Kindleでも同じ本が読める」「エッチな小説でも買いやすい」ということですが、逆に発光している画面で読むため目が疲れやすかったり、文字が小さくて見にくいと感じることもあるかもしれません。私自身はKindle派です…!英語に限らず参考書や専門書なら書き込み易い紙の本が好きですね。