TOEICで600点と言えば全体のおよそ6割ですが、730点となると7割以上になります。そしてこのレベルになると、まぐれで取れる点数ではなくなってきます。この辺りは、良くも悪くも実力がはっきりと出る点数であると言えるでしょう。
では、実力として730点を取得するにはどのように勉強するのが良いのでしょうか?
まずは現状の確認をする
600点を取得した学習者が730点を目指す際にまず何よりも必要なのは自分のどの能力に一番伸びしろがあるかを確認することです。
600点を取得した時点で、リスニングもリーディングも文法も語彙も全てバランスが取れているということはまずありません。恐らくはどこかに、特に苦手とする分野があり(それと同時に得意とする分野があり)、その苦手とする分野が足を引っ張っていると考えられます。
例えばそれがリスニングならTOEIC対策を銘打つ市販のリスニング教材で集中的に勉強するのが良いでしょうし、語彙や文法ならそれに合った参考書を紐解いてみるのが良いでしょう。
その苦手分野を克服してなおも点数が足りないようであれば、次の苦手分野の克服に取りかかりましょう。そうしていくうちに全体の能力のバランスも取れてきて、総合的な点数が上がっていくのを感じられるはずです。
TOEICで730点はどれくらいの難易度なのか
英検で言えば英検準1級程度と考えられますが、TOEICと英検のそれぞれで問われる語彙は大きく異なりますし、英検準1級にはライティング問題も入ってくるため、単純な比較はできません。英検準1級を取得できてもTOEICは730に届かないということもあるでしょうし、TOEICで730点を取れたからといって英検準1級に受かるだけの力が付いているとも限りません。
しかしTOEICで730点を取れるということは、少なくとも知識としては、英語の重要なポイントをおさえられていると言えるでしょう。基本的な文法事項や簡単な英単語、フレーズなどについて、運用レベルに至っているかは別としても知識としては理解があると考えられます。
とは言え、TOEICは『英語の試験』というよりも『英語でどれだけの処理ができるかという試験』です(特に最終リーディング問題群はその傾向が顕著です)。そのため、単に知識として蓄えている情報がそのまま点数に結びつくわけではありません。この意味で、TOEICで730点を取れたとしても、洋書や英字新聞を読むのが楽になるということは期待できません。
TOEICを何のために受けるのか
TOEICで点数を取れたとしても洋書や英字新聞を読めるとは限らないという話をしましたが、逆に洋書や英字新聞を読めるならTOEICでもそれなりの点数が取れるでしょう。
それは、TOEICはあくまで試験であるため、試験としてのTOEICへの対策が可能だからである一方、洋書や英字新聞を読むというのは英語の地頭的な能力であるからであり、その地頭的な能力こそTOEICで問われている能力だからです。
言い切ってしまえば、TOEICの点数に意味などないのです。それは学習到達度を示すスコアに過ぎず、その受験者の能力を保証するものではありません。しかしこのスコアが対外的なアピールとして(少なくとも現在は)有効であることも間違いなく、そのためにTOEICを受験するというのなら、ひとつの受験動機としては間違ってはいません。
この場合はテストとしてTOEICを捉え、そのための対策をしていくことになるでしょう。その対策としては、自分が点を落としている弱点の部分について特に対策する、TOEICによく出る語彙を学ぶといったことが考えられます。
一方、TOEICをテストでなく自分の学習到達度のスコアメーターとして活用するなら、TOEICでは測定できない技能があることも忘れてはいけません。例えばスピーキングやライティングはTOEICの990点の中には含まれていませんし、英語から日本語にする能力、日本語から英語にする能力も、TOEICでは測れません。こうした能力を伸ばす学習もしていく必要がある場合もあるでしょう。
まとめ
TOEICはあくまでも学習到達度のスコアであり、『何点を取ったからどうである』ということは言えません。そして対外的なアピールのために点数を取得したいという場合であっても、『TOEICの点数』が最終的な目標なのではなく、その点数を足がかりとして得たい何か(例えば就活や昇進のチャンス)があるはずなのです。
つまり、いかなる場合であっても、点数を最終的な目標として学習したその先には何もないと言っても過言ではないでしょう。何かを学ぶときは、自分が何故それを学んでいるのかを忘れないようにしたいものです。たとえそれが、自己研鑽といった内側に向いた動機であっても。