英単語攻略のためのさまざまな仕掛けを施した、大学入試向け単語集です。難関大受験まで見すえた英単語2202語を掲載しています。
ちょっと異色な大学入試向け単語集
『大学受験単語王2202』は、1日33語、9週半で2202語の大学入試頻出語を学べるとした単語集です。一見、オーソドックスな単語集という印象ですが、本文ページをよく見ていくと、「ん?」とひっかかるところがあります。ほかの英単語集にはあまり見られない“仕掛け”がいろいろと隠されているのです。
派生語の学習を重視したつくり
本文には英単語、発音記号、品詞、意味、例文といった基本的な項目が掲載されています。しかしよく見ると、英単語の下の品詞記号に「?」マークがつけられていることに気づきます。この本の使い方を説明したページを読んでおかないと、戸惑うかもしれません。
例として「ambiguous」という単語欄を見てみましょう。単語の下に、「?」マークつきの「名」「同」「反」という記号があります。これは、ターゲットとなる単語について「この単語の名詞形は何か?」「同義語は何か?」「反意語は何か?」という意味を示しています。つまり、ひとつの単語を覚える際に、派生語も同時に意識させようとしているわけです。
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中澤 一『単語王2202』 |
大学入試では派生語に関わる問題もよく出題されますので、しっかりとおさえておきたいところですね。単語を覚えるつど、その派生語を意識するようにすれば、記憶のヒモづけにきっと役立つことでしょう。
暗記を助けるオリジナルメモリーボードが付属
本文中に「先輩はこうして覚えた」という合格体験記的なコラムがありますが、これは別教材の広告としての意味合いが強そうです。広告的な要素を煩わしく思う人もいるかもしれません。しかし単語帳そのものとしては多くの情報を盛り込んでいますし、定着のための小ワザも工夫されているのは評価ポイントでしょう。
たとえばこの単語集には、おなじみの赤シートではなく、切り取って使うL字のような形の厚紙がとじ込まれています。これは「メモリーボード」と呼ばれるもので、本文ページにあてがって使います。L字になっているのは、覚えたかどうかのチェックの際、必要な部分だけを見られるようにするためです。また、「多義語」や「重要項目」などのアイコンを用いて注意ポイントを表示。入試で気をつける部分を確認できるようにしています。
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中澤 一『単語王2202』 |
掲載単語のレベル分類もユニーク
単語レベルの分類も、よくある「基礎レベル」や「発展レベル」といった分け方ではなく、「確信の807語」「飛躍の674語」「勝利の545語」「栄光の176語」と、受験生のモチベーションを上げるような名称をつけてあります。見たところ、「確信」「飛躍」でセンター試験・英検2級、「勝利」「栄光」で英検準1級くらいの難易度と思われます。すべて攻略すれば、早慶上智など難関大学入試まで対応できるラインアップです。ウェブ上で復習テストもできるよう配慮されています。
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中澤 一『単語王2202』 |
この単語集では、日ごとに難しい単語になっていくのでなく、1日目から難しい単語にも出会う構成になっています。さらに、ひとつの単語欄に多くの情報を入れていることもあり、基本的な単語の意味をすでにある程度理解している学習者でないと、消化不良を起こすかもしれません。センター試験レベルの単語がおぼつかない人は、もっと基本的な単語集から始めることをおすすめします。そこをクリアした人が、単語学習の総仕上げとして使うのによい単語集です。
まとめ
- 一見、オーソドックスな大学入試用単語集ですが、ユニークな仕掛けが施されています。
- 派生語学習を非常に重視したつくりになっています。
- センター試験レベル等、基本的な単語をある程度習得してから使うべき単語集です。
大学受験界隈では時々耳にする単語帳ですが、個人的には「う~ん…そんなにいいのかなあ…?」という感想です。ただ、所々挟まっている合格体験記では、早慶や医学部合格者も使っているみたいで、実績は十分にあるようですね。どちらかというと、メインではなくサブ向き?他の単語帳(DUO3.0やALL IN ONE、速読英単語)を使ったことがある学習者だと、私と似たような感想になるかもしれません。単に私の好みではないというだけかもしれませんが(笑)旺文社のパス単やターゲットが好みという学習者には良いと思います。