「1級に合格したいけれども、何を、どのように勉強すればいいのか…。」とくに、国内・独学で進めようとするならば、不安を覚えるかもしれません。そのような声に応えるべく、『英検1級合格マップ』はあります。
システムエンジニアが本業のJun氏は、国内・独学での英語学習にまい進し、10回以上の1級合格を重ねるだけでなく、TOEICテストなどの各種検定試験で高スコアを叩き出しています。その実績を生み出した戦略と努力の賜物を、惜しみなく1級合格を目指す仲間に提供しているのです。
受験者タイプ別の合格ロードマップを提示
2つの受験者タイプ別に、1級合格に向けたスタートからゴールまでの道筋を明確にしています。タイプAは1次試験の突破に課題がある人、タイプBは2次試験対策に課題がある人です。後者に関しては、アウトプット技能の伸長を重視した対策を提示しています。このような合格までのロードマップは、受験者に勝つための戦略を練り、必要な学習に絞ることの大切さを教えてくれるのです。
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Jun『英検1級合格マップ』 |
1級対策でおすすめの参考書・メディアを紹介
CHAPTER 1での各問題の出題傾向の解説を踏まえ、CHAPTER 2では攻略法とおすすめの参考書を紹介しています。ここに書かれていることは、けっして特別なものではありません。
たとえば、1級受験者の多くが苦戦する筆記の大問1・短文の空所補充問題の対策。単語集や単語学習アプリなどを使い、繰り返し学習で記憶の定着を図ることは、1級を目指す英語上級者ならば知っていることでしょう。高い目標を達成しようとする人に向けて、地道な勉強の積み重ねの大切さをあらためて教えてくれているのです。
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参考書の紹介に関しては、初版発行の2016年12月以前のデータとなります。書籍によっては改訂版が出ているものもあるでしょうし、アプリやポッドキャストは配信停止もありえるので、実際の学習に役立てる際には確認をしてください。
強力な英語学習者コミュニティの存在
インターネットなどの情報網、およびTwitterやFacebookなどのSNSの発達のおかげで、国内・独学での英語学習者コミュニティが作りやすくなっている昨今。Jun氏も、そこで知り合った仲間との交流を通して学びを深め、この1級合格指南書を上梓する経緯に至った一人です。その完成には、氏の地道な活動で築き上げた英語学習コミュニティの存在が欠かせません。
その一つが、過去問データの分析・考察を得意とするHiroshi氏による「Hiroshi's Eye」。何を、どこから手を付ければいいのかを根拠を示したうえで明らかにした、読みごたえのあるコラムです。また、巻末の合格者体験談は、学習方法の参考になるだけでなく、同じ目標を志す仲間がいる気持ちになります。
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すべての1級受験者に贈る、温かみのある言葉
1級合格に向けての学習ガイダンスの役割に徹しているかのように、筆者の語り口は丁寧そのもの。受験対策をするうえで不安を覚える読み手に、安心感を与えるような文面です。読者層としては、準1級に合格した直後に1級を目指す人から、何度も1級に挑戦するものの合格にはあと一歩及ばない人までとなるでしょう。
ただし、書かれている勉強法がかならずしも、すべての1級受験者に当てはまるとは限りません。その点が、読み進めていくうえでの注意点として挙げられるでしょう。ご自身の状況に応じて、取捨選択をしてみてはいかがでしょうか。いずれにしろ、合格に向けて対策に取り組み、成果を出していくのかはその人にかかっています。やるべきことをしっかりとやれば、国内・独学でも1級合格の可能性があるのです。
まとめ
- 英検1級合格に向けた勉強法を、ロードマップ形式で紹介した受験指南書です。
- 1級の各大問の出題傾向と攻略法、おすすめ参考書を紹介しています。
- コラム記事や合格体験談は、1級合格を目指す人の励みになります。
よくTOEIC満点を何十回と取得しているTOEIC講師の方がいらっいますが、これは「営業のため(=TOEICを熟知していることを証明するため)」だということが理解できます。しかし、本書の著者・Jun氏については本業が英語関連というわけでもなく、どうも趣味で英検1級やTOEIC満点を何度も取っているようです。大学受験に例えれば、早稲田大学に1回合格できるのであれば、ブランクがない限り何度でも早稲田大学に合格できるわけで、同じ水準の試験を何度も受けることに意味があるのだろうか……!?と私などは思っているのですが、検定試験マニアの世界はそのようなもの…みたいです。マニアじゃない普通の人は、同じ試験を何度も受けるより他の専門知識の勉強や仕事に時間を当てたほうが良いと思います!