語彙の難しさで知られる英検1級。合格に必要な語彙数は1万~1万5千とも言われます。そこで、英検1級攻略の重要なパートナーとなる単語集2冊を比較してみました。
旺文社の『英検1級 でる順パス単』、そしてジャパンタイムズの『出る順で最短合格 英検1級 単熟語EX』です。その差は、語句の掲載順にありました。
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『英検1級 でる順パス単』と『出る順で最短合格!英検1級 単熟語EX』とは?
『英検1級 でる順パス単』、そして『出る順で最短合格・英検1級 単熟語EX』は、英検1級用単語集としては“双璧”と呼ばれどちらも人気があります。
価格については、『でる順パス単』が税別1700円、『単熟語EX』は税別1800円。サイズは『単熟語EX』のほうがやや大きく、厚みはほぼ同等といったところです。
まずカバーする語彙数から見てみましょう。『でる順パス単』は単語2100に熟語300、合計2400となっています。
そして『単熟語EX』は、単語2040、熟語324を合わせて2364、さらに専門用語・派生語など447項目で合計2811。『単熟語EX』のほうが少し多い結果となっています。ただ索引を見ると、扱っている単語はほとんど重複していますので、それほど内容に違いはなさそうです。
音声はどちらも無料でダウンロード可能。『でる順パス単』はスマホアプリと併用もできます。
英検1級の場合、どちらの単語集を使っても「この1冊やればすべてカバーできる!」というものでもありません。
実際の試験では、こうした単語集に載っていない語句にも必ずお目にかかるはず。あくまで基本的な、頻度の高いものをきっちりおさえておくためのラインアップです。日頃から英字新聞やニュースなどに接するなかで、語彙を増やしていくことが肝要です。
違いは語の掲載順・配列にあり
本文を見ていきます。掲載項目としてはどちらも単語及び発音記号・意味・例文・和訳となっています。単語集のなかでもいわゆる「例文型」と呼ばれるものです。
2色刷りで赤シートを使えるところも同じ。デザイン上、『単熟語EX』は一語ごとにピンクと白のしま模様になっているところが違うくらいです。それほどの差はないように思えます。しかし、語句の掲載順には差がみられました。
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旺文社『英検1級 でる順パス単』 |
2冊とも出題傾向を分析し、「でる順」で選んだ語句を載せています(『でる順パス単』は過去5年分、『単熟語EX』は最新24回分、つまり8年分を分析)。
『でる順パス単』は、「でる度」として出題頻度をABCに分け、さらにそれを「動詞→名詞→形容詞・副詞」と品詞別にまとめてあります。
いっぽう『単熟語EX』は、語句を重要度別に配列しているのですが、品詞についてはまとめずランダムに掲載しています。
ちなみに『でる順パス単』の最初の単語は動詞「thrive」ですが、この単語は『単熟語EX』だと253番目に掲載されていました。
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The Japan Times『出る順で最短合格!英検1級 単熟語EX』 |
また、熟語の配列に関しても違いがあります。
『でる順パス単』の熟語編はアルファベット順に整理されており、辞書を引くように使うことができますが、『単熟語EX』ではバラバラなので、特定の熟語をチェックするには索引を見なければなりません。このあたりは好みが分かれるところでしょう。
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旺文社『英検1級 でる順パス単』 |
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The Japan Times『出る順で最短合格!英検1級 単熟語EX』 |
どちらがよいかは学習スタイルによる
学習の際、品詞を意識することはとても大切です。文法の理解に直結するからです。
そのため動詞は動詞、名詞は名詞とまとめて勉強したい人もいるでしょう。その場合は、品詞順にまとめられた『でる順パス単』がおすすめです。
しかし品詞順に暗記していくと何となく飽きてくる…そんな感じを持つ人もいるのではないでしょうか。
実際の文章を読むときに、名詞ばかり、動詞ばかり…と続くことはありません。「これは動詞」「これは形容詞」と即座に判断しながら読んでいるわけです。
そう考えると、バラバラ配列のほうがその都度品詞を意識するトレーニングになるのかもしれません。ならばすべてランダムな配列の『単熟語EX』がいい、と考える人もいるでしょう。 英検1級合格レベルの英単語・熟語を、「例文型」で暗記していくタイプの単語帳です。かつて旺文社『英検Pass単熟語1級』と呼ばれていた書籍の改訂版となります。 英検1級の語彙は『TIME』『Newswe ... 続きを見る
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まとめ
- 語彙数は『単熟語EX』のほうが少し多いが、掲載単語にあまり差はない。
- 「品詞ごとにまとめているか否か」「熟語をABC順にしている否か」に違いがある。
- 品詞別がよければ『でる順パス単』、ランダム配列なら『単熟語EX』がおすすめ。
編集長からひとこと
ボキャビルは必ずしも「単語帳」で行わなければいけないわけではありません。英検1級を受験する層であれば、すでに語彙レベル高めの洋書や英字雑誌も読み始めているはずです。語彙レベルが高い英文を読むと、たいてい英検1級以上の単語で詰まりますが、丹念に辞書を引いて読んでいきましょう。知らないうちに上記の二つの単語帳収録の単語はかなり覚えている状態になります(加えて英検1級を超えた領域の単語も習得できるので、15000語以上の語彙力になるのも早いです)。