ネイティブ向けのラジオドラマを題材とした英会話教材です。TOEIC500点以上の中級者にお勧めします。
映像の助けがなく「音声」のみなのでリスニングに集中できる
本書に収録されているのはカナダのCBCでラジオ放送された、Rumours&Bordersと呼ばれるコメディードラマです。通常のドラマと違って映像がなく音声のみのドラマなので、映像の助けを借りずにリスニングのみで内容を聞き取り理解する必要があります。
登場人物それぞれの個性を出すために、セリフがしっかりと考えられているので英語の表現力を増やすのに効果的です。働く女性のセリフや老婦人のセリフ、男性のセリフなど主人公になりきったつもりで、真似をしてみるのも良いでしょう。
このラジオドラマは、英語学習者の英会話教材として作られたものではなく、ネイティブスピーカーのために作られ放送されたドラマです。そのため自然な英語を聴くことができます。ジョンソン一家と下宿人の老婦人のお話しで、内容も魅力的でリスナーを飽きさせることがありません。1話の長さは映画やドラマよりも短いのため、リスナーが聴くことに集中できるように工夫されています。
ポイントを押さえて聴く
PreListening Guide を読んで、リスニングの際に注目すべき箇所を意識しながら聴く練習ができます。なんとなく英文を聴くよりも、質問に対する答えを探しながらリスニングをすることで集中力が高まります。
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HMアーカイブ編集部『英語でドラマを楽しもう』 |
CDのトラックごとに注目ポイントが1つずつあるので、それを読んでからトラック1つ分の英語ドラマを聴きます。CDを聴いた後に質問に対する答えがどれかを選んで、答え合わせをしましょう。
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HMアーカイブ編集部『英語でドラマを楽しもう』 |
どれだけ内容理解ができたかの確認になって、反省すべき点が見えてきます。質問の答えが間違っているときは必ずもう一度同じトラックを聴いて、今度こそ内容がきちんと理解できたかどうか見直しをするようにします。答え合わせと確認が済んだら、次のトラックも同じようにして取り組みます。
リスニングをして質問に答える形式はTOEICでも出される形式なのでテスト対策や練習にもなります。
口語でよく使われる語句を学ぶことができる
英文の下にある語注で語句の解説がされていますが、本書で特徴的なのは口語でよく使われる語句が多く紹介されているということです。
I’m coming. が省略されたComing!の形など口語では省略形もよく使われるため、日常英会話を学びたい人にとって有効な教材です。語句をひたすら暗記しても記憶には残らず、実際に会話で使えないという状態になることが多いです。英会話で使える語句の学び方は文脈の中で語句を学んで覚えることです。
本書ではCDでラジオドラマを聴き、わからないところは英文を読んで補います。語注を読んで知らなかった語句を学び、また英文を聴くことで文脈の中で新しい語句を覚えることができるため、後に英会話で役に立ちます。
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HMアーカイブ編集部『英語でドラマを楽しもう』 |
英文自体は比較的易しいが、意外に速い音声を収録したCD
吹き込み音声の速度を測定したところ、約170語/分でした。本書の対象レベルは「初級以上」と記載されていますが、想定以上に速い音声が収録されています。
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HMアーカイブ編集部『英語でドラマを楽しもう』付属CD(1枚組) |
英文自体のレベルは比較的易しいですが、教材用にゆっくり発音された音声ではないため、リスニング初級者は聞き取りに難儀するでしょう。書籍記載の対象レベルを鵜のみにすると痛い目に会いそうです。少なくともTOEIC500~600以上取得できる方でないと、聞き取るのは難しいのではないかと感じました。初級者の場合は「耳を慣らす」目的で聞いてみましょう。
まとめ
- リスニングに集中できる音声のみのドラマで学習できる。
- 質問の答えを探しながら聴くことで集中力が高まる。
- 語注では口語表現が多く紹介されている。