「ロックスターの英語」は多数のロックスターへのインタビューを元にしたリーディング・リスニング教材です。
ロックファンの興味を引くインタビュー内容
この本は海外のロックスターへのインタビューを文章にしたものを題材にしています。アルク社の同シリーズにはメグ・ライアン等の映画スターのインタビューを収録した「ハリウッドスターの英語」も出版されています。
収録されているインタビューはポール・マッカートニー(The Beatles)、カルロス・サンタナ(Santana)等のオールディーズ時代から現在まで活躍しているミュージシャンをはじめ、ブライアン・メイ(QUEEN)、ブライアン・ジョンソン(AC/DC)等のハードロック系ミュージシャンまで、各ジャンルのベテランがそろっています。9人のミュージシャンのインタビューが収録されていますが、ロックファンなら全員を知らないということはまずないでしょう。
インタビュー内容も、ポール・マッカートニーの曲作りの方法や、ロックの金字塔と言われる名曲、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」のジミー・ペイジによる解説、バンドメンバーから見た他メンバーの印象等、ロックファンのコレクション対象になってもおかしくないと言える面白い内容になっています。
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アルク英語出版編集部『ロックスターの英語』 |
台本のないインタビューでロックスターの思いを地声で聞き、読む
他の英語リスニング教材にはない本書の最大の特徴は、「ロックスターが自分の思いを、自由に答えているインタビューを収録している」という点にあります。
英語リスニング教材といえば、いわゆる台本をネイティブが朗読しているものは多く出版されています。もちろん英語学習者として利用は必須の教材であることに間違いはありませんが、本書では出身国も年齢も違うロックスターが、台本に基づかず地声で話しているという点で他の類書とは異なった学習効果が期待できます。
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アルク英語出版編集部『ロックスターの英語』 |
まず、台本のないインタビューなので、言い直しや答えを探していると考えられる間や間投詞が各所に見られることです。これは実際の会話では日本語でも英語でも起こることですが、他のリスニング教材では元々台本があるためにこういったものをそのまま収録していることはほぼありません。台本のない、実際の会話に慣れるという意味でこういった生の会話を多く聞いておくことは良い予行演習になります。
次に、出身国や出身地がそれぞれ異なるミュージシャンのインタビューを、ミュージシャン自身の声でそのまま収録しているので、やや訛りのある英語や、癖のある声で話される英語も多く聞くことができます。学んだ英語を実践の現場で使う際、現実には標準的な英語を話す人たちとばかり会話するわけではありません。更にアメリカ人やイギリス人だけでもなく、ドイツ人やスペイン人、フランス人等英語を母語としない国の人たちと英語で会話するような場面も場合によってはあるでしょう。
そう考えると、標準的かつ綺麗なネイティブの読み上げたリスニング教材ばかりでなく、本書のような訛りもそのまま収録している生の教材に多く触れることには、大きな意義があると言えます。
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アルク英語出版編集部『ロックスターの英語』 |
各インタビューの最後には○×方式の理解度チェックページもあり、ちゃんと聞きとれているか確認できる仕掛けも用意されています。
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アルク英語出版編集部『ロックスターの英語』 |
ロックスターの生の英語が聴けるリスニングCDが付属
吹き込み音声の速度は約140語~160語/分で、英語教材のCDとしては標準的です。しかし、学習用に録音された音源ではなく、ロックスターへのインタービューの音声そのものを収録しているため、教材の綺麗な録音は聞き取れる方でも容易に聞き取れないと思われます。笑い声やどもり、言い直し、ため息など、全て含んでいる生の英語となっています。
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アルク英語出版編集部『ロックスターの英語』付属CD(1枚組) |
英語スピーキング力を高めたい人や悩みのある人におすすめ
本書はロックスターのインタビューをそのまま収録しているものです。各インタビューの語彙・表現レベルも目安として収録されていますが、全体としてビジネス英語等とは違いあまりにも語彙が高度でついて行けないということは少ないでしょう。
話の大筋をつかむ理解レベルであれば、TOEICスコア500点程度から、十分について行ける内容になっています。そのため、初級者はリーディング教材として多くの英語に触れる材料として使う方法が良いでしょう。
一方、上級者はリスニングレベルを高めるため、聞き取りやすい発音や綺麗な声質だけでなく、やや粗い声質や話し方にも慣れるため、またやや訛りや癖のある英語にも十分対応できるようになるための教材として使うと良いでしょう。
収録されているロックスターのファンなら楽しく、また興味深く、多少のレベルの違い等ものともしないで話の内容に引き込まれることは請け合いです。コアなファンなら貴重な地声でのインタビューを収録した資料としてコレクションの一部に加える、という利用も良いでしょう。
まとめ
- ベテランロックスター9名のインタビューをそのまま収録した英語教材。
- 台本に基づかない、ロックスターの本音のインタビューを地声で収録。
- バンドの裏話や名曲の解説等もあり、ロックファンは引き込まれる内容。
- 語彙レベルは高くなく、初学者はリーディング教材として利用可能。
- 上級者はリスニング教材としての使い方をメインにしましょう。