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【レビュー】イギリスの小学校教科書で楽しく英語を学ぶ:イギリスの国語教科書を生のまま収録したリーディング教材

イギリスの小学校教科書を用いたリーディング教材です。英文のレベル別にStage1からStage7の7章構成になっています。

イギリスの小学校教科書で楽しく

『イギリスの小学校教科書で楽しく英語を学ぶ』の英文はイギリスの小学校学習用図書、「Oxford Reading Tree(以下ORT)」から収録されています。1文だけの小学校1年生レベルから始まり、短文程度の小学校3~4年生レベル程度の内容になっています。英語圏の「生」の教材ですので、自然な言い回しが多く収録されています。

易しい英語で「自然な表現」を学ぶ

英文レベルは単に固有名詞の羅列のみの簡単なものから始まって、小さな事件を描写した900word弱の短いものまでとなっており、易しいものになっています。

語彙の面から見ると現状TOEIC500点以下のレベルであっても難しさを感じることは恐らくありません。本書は語彙力のアップを目的とはしておらず、自然な英語を学ぶことと、その方法を提案することに主眼があります。

TOEIC700~900の中上級者でも中々自然な英語が話せない、アメリカ・イギリスの英語を母語とする国の人と話すと、どこか違和感のある顔をされるということがままあります。

例えば「怒る」という言葉では、get angry、lose one’s temper、be offended等の表現がありますが、このうちニュアンスが違う言葉を使ってしまった等、「意味は通じているけれどちょっとおかしい」等の場合です。本書では、英文こそ簡単ですがこのような点を克服するための学習法を提案しています。

英文が簡単で挿絵が豊富についているためイメージがわきやすく、万一わからない言葉があっても辞書を引いて止まる必要がないというのもポイントです。

辞書を引くのではなく挿絵から意味を理解する
イギリスの小学校教科書_1S イギリスの小学校教科書_2S
古川昭夫『イギリスの小学校教科書で楽しく英語を学ぶ』

「通じるけれど不自然な英語」の克服に

「通じるけれどちょっと不自然な英語」というのはTOEIC等のスコアに関係なく日本の英語学習者が良くぶつかる壁です。こうなってしまうのは、英語学習で使う教材が主に「日本で加工された英文だから」という部分も大きなファクタです。

実際ORTのシリーズを読んでみると生の英語が挿絵イメージと一緒に入ってきますので、上級者であればあるほどそれまで蓄積した英語知識がつながって一気に表現の幅が広がる実感を得られることが期待できます。

生のイギリス英語を挿絵と一緒に覚える
イギリスの小学校教科書_3S イギリスの小学校教科書_4S
古川昭夫『イギリスの小学校教科書で楽しく英語を学ぶ』

初心者向きのかなりゆっくりとした録音のCDが付属

吹き込みCDの速度はStage7の長文で測定したところ、約120語~130語/分でした。初心者向きのかなりゆっくりとした録音です。各登場人物の台詞の部分は感情を込めた発声となっています。全体としてメリハリのあるクッキリとした発音で、初心者に優しいリスニング教材となっています。

イギリスの小学校教科書_CD
古川昭夫『イギリスの小学校教科書で楽しく英語を学ぶ』付属CD(1枚組)

ネイティブレベルを目指す人におすすめ

ネイティブレベルを目指すのであれば、「使える」だけでなく「自然な」英語を身に付ける必要があります。そのためには中上級者であっても、簡単なものからもう一度見直してみることも有用、かつ必要なことです。

もちろん初学者のうちからそれを念頭に置いて、一見遠回りに見えてもネイティブの小学校レベルから始めることも有用です。本書は現在のTOEIC等のスコアにかかわらず、「自然な」英語を身に付けたい人全般向けの間口の広い本と言えます。

なお、自然な英語を目指すのであればどうしても生の英語を多く読むことは避けられません。本書でもORTシリーズの購入ガイドはついていますが、このシリーズにとどまらず多くの教材を紹介し、多読のやり方を詳しく紹介している「英語多読入門」も参考にすると更にブラッシュアップが図れます。

ORTシリーズの購入ガイド
イギリスの小学校教科書_7S イギリスの小学校教科書_8S
古川昭夫『イギリスの小学校教科書で楽しく英語を学ぶ』

まとめ

  • イギリスの小学校教科書を題材にしたリーディング教材。
  • 現在のレベルにかかわらず「自然な」英語を目指す方におすすめ。
  • 英文・語彙の難易度は低く初学者から使える。
  • 中上級者向けには表現力のアップに。

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さかえ

さかえ

上智大学法学部国際関係法学科卒のビジネスマン。大学在学中は、純正日本人でありながら帰国子女率80%の上級英語クラスに所属していた。『TIME』『Newsweek』は辞書なしで読解可能。愛読誌は『The Wall Street Journal』『The Economist』。 詳しいプロフィール / 記事一覧

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